6 / 28
6
しおりを挟む
ドラゴンの極上ステーキ(レア焼き)を堪能した後。
私たちは満腹感と共に、荒野の夜空を見上げていた。
「素晴らしいお味でしたね、お嬢様」
「ええ。特にこの尻尾の身の弾力……最高だったわ。美容にも良さそう」
セバスが満足げに口元を拭う。
しかし、現実は厳しい。
ここは屋根のない荒野だ。
夜になると気温は氷点下近くまで下がり、吹き荒れる強風が体温を容赦なく奪っていく。
「さて、セバス。今夜の寝床だけれど」
「はい。テントを設営いたします。風除けの魔法をかければ、なんとか凌げるかと」
セバスが馬車からテントを取り出そうとする。
私はそれを手で制した。
「いいえ、必要ないわ。あんな布切れ一枚じゃ、私の安眠は守れないもの」
私は立ち上がり、月明かりに照らされた岩場を見渡した。
「それに、明日は筋肉痛が来るかもしれないから、ふかふかのベッドで寝たいの」
「……お言葉ですがお嬢様、この荒野にベッドなどございません」
「ないなら、作ればいいじゃない」
私はドレスの袖をまくり上げた。
「私の『生活魔法』の出番ね」
「生活魔法……ですか?」
セバスが首を傾げる。
一般的に、貴族の令嬢が嗜む生活魔法とは、『クリーン(洗浄)』でシミを落としたり、『ライト(灯り)』を灯したり、『ドライ(乾燥)』でハンカチを乾かしたりする程度のものだ。
可愛らしく、ささやかな魔法。
それが世間の常識である。
「ええ。お母様にも言われていたわ。『女の子は身の回りのことくらい、魔法でパパッと片付けられるようになりなさい』って」
私は前方にそびえる小高い岩山に狙いを定めた。
まずは整地だ。
「生活魔法、『ガーデニング(お庭の手入れ)』!」
ドォォォォォォォン!!
轟音と共に、地面が波打った。
私が魔力を流し込むと、硬い岩盤がまるで粘土のようにぐにゃりと形を変え、邪魔な岩山が沈み込み、あっという間にテニスコート五面分ほどの平地が出現した。
「……は?」
セバスが眼鏡を落としかける。
「あ、あのお嬢様? 今の魔法は……」
「お庭の雑草を抜いて土を均す魔法よ? ちょっと出力(と対象のサイズ)が大きかったかしら」
私は気にせず次へ進む。
平らになった地面に、建物の基礎を作る必要がある。
私は近くの岩壁から、数トンはある巨大な岩を切り出し、サイコロステーキのように綺麗にカットした。
それを『念動力(という名の腕力投擲)』で指定の位置に並べていく。
ズドン! ズドン! ズドン!
杭打ち機のような音が響くたび、大地が揺れる。
「次は、建材の結合ね。セバス、そこの川の水を汲んできて」
「は、はい!」
セバスが持ってきた水を、岩と岩の隙間に流し込む。
そして。
「生活魔法、『ドライ(洗濯物乾燥)』!」
バシュゥゥゥッ!!
猛烈な熱風が吹き荒れた。
私が掌から放ったのは、生乾きのシャツを乾かす程度の温風ではない。
工業用ドライヤー数千台分に匹敵する、超高熱の爆風だ。
水を含んだ泥は一瞬で水分を蒸発させられ、岩同士をガッチリと結合するセメントのように硬化した。
「よし、基礎は完璧ね」
私は満足げに頷く。
セバスは口をパクパクさせている。
「お、お嬢様……それは『ドライ』ではなく、もはや『灼熱地獄(インフェルノ)』では……」
「あら、焦げてないからセーフよ」
さあ、ここからが本番だ。
私は馬車に積んであった予備の木材(本来は焚き火用)と、現地調達した石材を組み合わせ、柱を立てていく。
トンカチなどいらない。
拳で「コンッ」と叩けば、釘などなくても木材同士が分子レベルで結合する(気がする)。
壁は土魔法で生成したレンガを積み上げ、屋根にはドラゴンの鱗(耐火・耐水性抜群)を瓦代わりに並べる。
作業開始から三時間。
私の手は止まることを知らなかった。
ゾーンに入った職人のように、あるいは巣作りをする野生動物のように、無心で建築を続ける。
「ここには広いお風呂場を……あ、浴槽は大理石をくり抜いて作りましょう」
「キッチンは広く。ドラゴンの丸焼きができる特大オーブンが必要ね」
「寝室は南向き。朝日と共に目覚めて、すぐにスクワットができるバルコニーを併設して……」
楽しすぎる。
誰にも文句を言われない。
「公爵令嬢らしさ」なんてクソ食らえだ。
私が住みたい家を、私の力で作る。
これぞDIY(デストロイ・イット・ユアセルフではない、ドゥ・イット・ユアセルフだ)。
そして、朝日が昇る頃。
「……完成したわ」
私は額の汗を拭い、腰に手を当てて作品を見上げた。
そこに立っていたのは、当初予定していた「雨風を凌ぐ小屋」ではなかった。
石造りの二階建て。
ドラゴンの鱗が朝日に輝く屋根。
バルコニー付きの寝室に、煙突から煙がたなびくリビング。
堅牢な城壁(ついでに作った)に囲まれたそれは、もはや「砦」か「別荘」と呼ぶべき代物だった。
「……ふぅ。とりあえずの『仮宿』としては上出来ね」
私は謙虚に評価した。
後ろで徹夜の見学を強いられたセバスが、干からびた声で呟く。
「……仮宿? これが……ですか?」
「ええ。内装がまだ簡素だし、庭に噴水もないもの。本格的な屋敷を建てるまでのつなぎよ」
「一夜で城を建てておいて『つなぎ』とは……。王宮の建築士たちが聞いたら発狂して裸足で逃げ出しますよ」
セバスは呆れ果てたように首を振ったが、その目には確かな敬意(と畏怖)が宿っていた。
「さあ、中に入りましょうセバス。朝食の時間よ」
私は真新しい玄関の扉(鉄製・厚さ十センチ)を開けた。
中は驚くほど暖かかった。
石壁には断熱効果の魔法を付与してあるし、床暖房(地下の温泉熱を利用)も完備している。
「快適……!」
私は広々としたリビングの真ん中で大の字になった。
硬いフローリングの感触が心地よい。
王都のふわふわした絨毯よりも、この硬さが筋肉には優しいのだ。
「お嬢様、素晴らしいです。これなら冬も越せそうです」
「でしょう? ふふ、見てなさいアレック殿下。貴方がくれた『不毛の地』は、私にとっては最高の素材の山よ」
私は窓の外に広がる荒野を見つめ、不敵に笑った。
水もある(掘った)。
食料もある(ドラゴン)。
家もある(建てた)。
もはや、死角はない。
「さて、今日は家具を作りましょうか。石のソファーなんてどうかしら?」
「……お尻が痛くなりそうですが、座布団を用意しましょう」
こうして、私たちの拠点は爆誕した。
誰が見ても「遭難者」ではなく「征服者」の拠点である。
だが、この時の私はまだ知らなかった。
私の作ったこの規格外の建物と、昨日倒したドラゴンの噂を聞きつけて、予期せぬ「訪問者」が近づいていることを。
平和なスローライフ(物理)に、早くも波乱の予感が近づいていた。
私たちは満腹感と共に、荒野の夜空を見上げていた。
「素晴らしいお味でしたね、お嬢様」
「ええ。特にこの尻尾の身の弾力……最高だったわ。美容にも良さそう」
セバスが満足げに口元を拭う。
しかし、現実は厳しい。
ここは屋根のない荒野だ。
夜になると気温は氷点下近くまで下がり、吹き荒れる強風が体温を容赦なく奪っていく。
「さて、セバス。今夜の寝床だけれど」
「はい。テントを設営いたします。風除けの魔法をかければ、なんとか凌げるかと」
セバスが馬車からテントを取り出そうとする。
私はそれを手で制した。
「いいえ、必要ないわ。あんな布切れ一枚じゃ、私の安眠は守れないもの」
私は立ち上がり、月明かりに照らされた岩場を見渡した。
「それに、明日は筋肉痛が来るかもしれないから、ふかふかのベッドで寝たいの」
「……お言葉ですがお嬢様、この荒野にベッドなどございません」
「ないなら、作ればいいじゃない」
私はドレスの袖をまくり上げた。
「私の『生活魔法』の出番ね」
「生活魔法……ですか?」
セバスが首を傾げる。
一般的に、貴族の令嬢が嗜む生活魔法とは、『クリーン(洗浄)』でシミを落としたり、『ライト(灯り)』を灯したり、『ドライ(乾燥)』でハンカチを乾かしたりする程度のものだ。
可愛らしく、ささやかな魔法。
それが世間の常識である。
「ええ。お母様にも言われていたわ。『女の子は身の回りのことくらい、魔法でパパッと片付けられるようになりなさい』って」
私は前方にそびえる小高い岩山に狙いを定めた。
まずは整地だ。
「生活魔法、『ガーデニング(お庭の手入れ)』!」
ドォォォォォォォン!!
轟音と共に、地面が波打った。
私が魔力を流し込むと、硬い岩盤がまるで粘土のようにぐにゃりと形を変え、邪魔な岩山が沈み込み、あっという間にテニスコート五面分ほどの平地が出現した。
「……は?」
セバスが眼鏡を落としかける。
「あ、あのお嬢様? 今の魔法は……」
「お庭の雑草を抜いて土を均す魔法よ? ちょっと出力(と対象のサイズ)が大きかったかしら」
私は気にせず次へ進む。
平らになった地面に、建物の基礎を作る必要がある。
私は近くの岩壁から、数トンはある巨大な岩を切り出し、サイコロステーキのように綺麗にカットした。
それを『念動力(という名の腕力投擲)』で指定の位置に並べていく。
ズドン! ズドン! ズドン!
杭打ち機のような音が響くたび、大地が揺れる。
「次は、建材の結合ね。セバス、そこの川の水を汲んできて」
「は、はい!」
セバスが持ってきた水を、岩と岩の隙間に流し込む。
そして。
「生活魔法、『ドライ(洗濯物乾燥)』!」
バシュゥゥゥッ!!
猛烈な熱風が吹き荒れた。
私が掌から放ったのは、生乾きのシャツを乾かす程度の温風ではない。
工業用ドライヤー数千台分に匹敵する、超高熱の爆風だ。
水を含んだ泥は一瞬で水分を蒸発させられ、岩同士をガッチリと結合するセメントのように硬化した。
「よし、基礎は完璧ね」
私は満足げに頷く。
セバスは口をパクパクさせている。
「お、お嬢様……それは『ドライ』ではなく、もはや『灼熱地獄(インフェルノ)』では……」
「あら、焦げてないからセーフよ」
さあ、ここからが本番だ。
私は馬車に積んであった予備の木材(本来は焚き火用)と、現地調達した石材を組み合わせ、柱を立てていく。
トンカチなどいらない。
拳で「コンッ」と叩けば、釘などなくても木材同士が分子レベルで結合する(気がする)。
壁は土魔法で生成したレンガを積み上げ、屋根にはドラゴンの鱗(耐火・耐水性抜群)を瓦代わりに並べる。
作業開始から三時間。
私の手は止まることを知らなかった。
ゾーンに入った職人のように、あるいは巣作りをする野生動物のように、無心で建築を続ける。
「ここには広いお風呂場を……あ、浴槽は大理石をくり抜いて作りましょう」
「キッチンは広く。ドラゴンの丸焼きができる特大オーブンが必要ね」
「寝室は南向き。朝日と共に目覚めて、すぐにスクワットができるバルコニーを併設して……」
楽しすぎる。
誰にも文句を言われない。
「公爵令嬢らしさ」なんてクソ食らえだ。
私が住みたい家を、私の力で作る。
これぞDIY(デストロイ・イット・ユアセルフではない、ドゥ・イット・ユアセルフだ)。
そして、朝日が昇る頃。
「……完成したわ」
私は額の汗を拭い、腰に手を当てて作品を見上げた。
そこに立っていたのは、当初予定していた「雨風を凌ぐ小屋」ではなかった。
石造りの二階建て。
ドラゴンの鱗が朝日に輝く屋根。
バルコニー付きの寝室に、煙突から煙がたなびくリビング。
堅牢な城壁(ついでに作った)に囲まれたそれは、もはや「砦」か「別荘」と呼ぶべき代物だった。
「……ふぅ。とりあえずの『仮宿』としては上出来ね」
私は謙虚に評価した。
後ろで徹夜の見学を強いられたセバスが、干からびた声で呟く。
「……仮宿? これが……ですか?」
「ええ。内装がまだ簡素だし、庭に噴水もないもの。本格的な屋敷を建てるまでのつなぎよ」
「一夜で城を建てておいて『つなぎ』とは……。王宮の建築士たちが聞いたら発狂して裸足で逃げ出しますよ」
セバスは呆れ果てたように首を振ったが、その目には確かな敬意(と畏怖)が宿っていた。
「さあ、中に入りましょうセバス。朝食の時間よ」
私は真新しい玄関の扉(鉄製・厚さ十センチ)を開けた。
中は驚くほど暖かかった。
石壁には断熱効果の魔法を付与してあるし、床暖房(地下の温泉熱を利用)も完備している。
「快適……!」
私は広々としたリビングの真ん中で大の字になった。
硬いフローリングの感触が心地よい。
王都のふわふわした絨毯よりも、この硬さが筋肉には優しいのだ。
「お嬢様、素晴らしいです。これなら冬も越せそうです」
「でしょう? ふふ、見てなさいアレック殿下。貴方がくれた『不毛の地』は、私にとっては最高の素材の山よ」
私は窓の外に広がる荒野を見つめ、不敵に笑った。
水もある(掘った)。
食料もある(ドラゴン)。
家もある(建てた)。
もはや、死角はない。
「さて、今日は家具を作りましょうか。石のソファーなんてどうかしら?」
「……お尻が痛くなりそうですが、座布団を用意しましょう」
こうして、私たちの拠点は爆誕した。
誰が見ても「遭難者」ではなく「征服者」の拠点である。
だが、この時の私はまだ知らなかった。
私の作ったこの規格外の建物と、昨日倒したドラゴンの噂を聞きつけて、予期せぬ「訪問者」が近づいていることを。
平和なスローライフ(物理)に、早くも波乱の予感が近づいていた。
0
あなたにおすすめの小説
冷徹王子に捨てられた令嬢、今ではその兄王に溺愛されています
ゆっこ
恋愛
――「お前のような女に、俺の隣は似合わない」
その言葉を最後に、婚約者であった第二王子レオンハルト殿下は私を冷たく突き放した。
私、クラリス・エルデンは侯爵家の令嬢として、幼い頃から王子の婚約者として育てられた。
しかし、ある日突然彼は平民出の侍女に恋をしたと言い出し、私を「冷酷で打算的な女」だと罵ったのだ。
涙も出なかった。
あまりに理不尽で、あまりに一方的で、怒りも悲しみも通り越して、ただ虚しさだけが残った。
婚約破棄された令嬢ですが、なぜか王族も騎士も魔導師も、全員私に跪いてきます。
ゆっこ
恋愛
――婚約破棄。
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥で何かが冷たく凍りつくのを感じた。
「リディア・フォン・アルステッド。お前との婚約はここで破棄する!」
高らかに言い放ったのは、私の婚約者である王太子レオンハルト殿下だった。金色の髪を持ち、誰もが振り返るほどの美貌を誇る殿下。その隣には、彼の腕にしなだれかかる茶髪の令嬢――侯爵令嬢セリーヌがいた。
広間はざわめきに包まれ、私を見下ろすような視線が幾つも降り注ぐ。
「リディア、お前は冷酷でわがままな性格だと聞いている! セリーヌを虐げた罪、決して許されぬ!」
契約婚のはずが、腹黒王太子様に溺愛されているようです
星月りあ
恋愛
「契約結婚しませんか? 愛を求めたりいたしませんので」
そう告げられた王太子は面白そうに笑った。
目が覚めると公爵令嬢リリカ・エバルディに転生していた主人公。ファンタジー好きの彼女は喜んだが、この国には一つ大きな問題があった。それは紅茶しかないということ。日本茶好きの彼女からしたら大問題である。
そんな中、王宮で日本茶に似た茶葉を育てているらしいとの情報を得る。そして、リリカは美味しいお茶を求め、王太子に契約結婚を申し出た。王太子はこれまで数多くの婚約を断ってきたため女性嫌いとも言われる人物。
そう、これはそのためだけのただの契約結婚だった。
それなのに
「君は面白いね」「僕から逃げられるとでも?」
なぜか興味をもたれて、いつしか溺愛ムードに突入していく……。
婚約破棄された伯爵令嬢は隣国の将軍に求婚され、前世の記憶を取り戻す
nacat
恋愛
婚約者である王太子に身に覚えのない罪を着せられ、婚約破棄された伯爵令嬢エリシア。
廷臣たちの嘲笑の中、隣国の若き将軍ライナルトが現れ、「ならば、俺が君を妻にしよう」と求婚する。
彼はただの救い手ではなかった。エリシアの“前世の記憶”と深く結びついた存在だったのだ——。
かつてすべてを失った令嬢が、今世では誰より強く、愛され、そしてざまぁを下す。
溺愛と逆転の物語、ここに開幕。
婚約破棄された令嬢は、“神の寵愛”で皇帝に溺愛される 〜私を笑った全員、ひざまずけ〜
夜桜
恋愛
「お前のような女と結婚するくらいなら、平民の娘を選ぶ!」
婚約者である第一王子・レオンに公衆の面前で婚約破棄を宣言された侯爵令嬢セレナ。
彼女は涙を見せず、静かに笑った。
──なぜなら、彼女の中には“神の声”が響いていたから。
「そなたに、我が祝福を授けよう」
神より授かった“聖なる加護”によって、セレナは瞬く間に癒しと浄化の力を得る。
だがその力を恐れた王国は、彼女を「魔女」と呼び追放した。
──そして半年後。
隣国の皇帝・ユリウスが病に倒れ、どんな祈りも届かぬ中、
ただ一人セレナの手だけが彼の命を繋ぎ止めた。
「……この命、お前に捧げよう」
「私を嘲った者たちが、どうなるか見ていなさい」
かつて彼女を追放した王国が、今や彼女に跪く。
──これは、“神に選ばれた令嬢”の華麗なるざまぁと、
“氷の皇帝”の甘すぎる寵愛の物語。
冷遇された令嬢は婚約破棄されましたが、最強王子に一途に溺愛されています
nacat
恋愛
社交界で“地味令嬢”と蔑まれていた侯爵令嬢リシェル。婚約者の王太子が妹を選び、盛大な婚約破棄を言い渡したその瞬間、彼女の運命は大きく動き出す――。
笑顔で去ろうとした彼女を引き止めたのは、冷徹と名高い第二王子。
「君を手放すなど、馬鹿げているな」
裏切りと陰謀の果てに明かされる真実、そして待ち受けるのは“ざまぁ”と“溺愛”の極上ハッピーエンド。
恋と正義が交錯する、痛快王道ラブファンタジー。
わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
※完結しました。
離婚約――それは離婚を約束した結婚のこと。
王太子アルバートの婚約披露パーティーで目にあまる行動をした、社交界でも噂の毒女クラリスは、辺境伯ユージーンと結婚するようにと国王から命じられる。
アルバートの側にいたかったクラリスであるが、国王からの命令である以上、この結婚は断れない。
断れないのはユージーンも同じだったようで、二人は二年後の離婚を前提として結婚を受け入れた――はずなのだが。
毒女令嬢クラリスと女に縁のない辺境伯ユージーンの、離婚前提の結婚による空回り恋愛物語。
※以前、短編で書いたものを長編にしたものです。
※蛇が出てきますので、苦手な方はお気をつけください。
「無能」と婚約破棄されたら、冷酷公爵様に見初められました
ほーみ
恋愛
「――よって、この婚約は破棄とする!」
広間に響き渡った王太子アルベルト殿下の宣告に、会場はどよめいた。
舞踏会の最中に、衆目の前での断罪劇。まるで物語に出てくる悪役令嬢さながらに、わたくしは晒し者にされていた。
「エレナ・グランチェスター。お前は魔力を持たぬ無能。王妃教育を施しても無駄だった。王太子妃の座は相応しい者に譲るべきだ!」
殿下の傍らには、媚びるように腕を絡ませる侯爵令嬢ミレーユの姿。彼女は柔らかに微笑みながら、勝ち誇ったように私を見下ろしていた。
――無能。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる