一人の恋の話

にしぬん

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歪む恋心

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あれから相手とは話す機会が減ってしまった

登下校すらしなくなって1人で歩く頻度が上がった。普段なら話しながら向かうので着くのが早かったが、今は遠く道のりが長く感じてしまう

朝の登校のときにふと思ってしまう。相手はもしかしたらあの女性が好きになったのだろうか

愛らしい見た目で触ったら傷ついてしまう相手のことを…
相手は異性が恋愛対象だ。それに釣り合わないだろうと勝手に決め込んでは落ち込みながら学校に向かう。

俺のような男より愛らしい女性の方が相手に似合っている。ならばこの恋心は諦めて誰にもバレないようにしないと…俺は誰かを傷つけてしまいそうだ

自分に呪文のようにこの恋心を諦めるようにいうが簡単にはいかずどうすることも出来ない悔しさといらだちが募る

そんな自分の目の前に微笑み合う相手と女性が素通りしていく

心の何かが壊れた音がした気がしたが気にせず、その場を立ち去っては屋上に向かう。屋上は人が居ないため、鬱憤晴らしにはちょうど良かった

『なんでだよ……』

嫉妬が自分の心を侵食してしまう。今すぐ相手を壊してまで自分のものにして相手から離したいというわがままで強欲な気持ちが溢れてきては蓋をしようと必死に抑えるも溢れていく

あぁ…自分はこれほどまでに醜くなってしまったのか

そう考えては笑ってしまう。嫉妬深いなんて思わなかったがこれほどまでに傲慢で醜い本性を持っているなど考えたことがなかった

相手が微笑んでいる相手が自分ならばどれだけ幸せなのだろう

相手が見つめる相手が自分なら

そんな現実ではありえない妄想をしてしまうほど相手のことを愛してしまう

もしこの恋心を否定され、関係が壊れてしまったらもう相手と話すことが出来ないのか

それだけは避けたい

『誰か俺を助けてくれ…』

ぽつりと呟きながら涙を流す。他の誰かが来てもおかしくない場所でひとしきり泣いては一限と二限をサボってしまった

仰向けになり、ぼーっと空を眺めていると足音が近づいてきて、それは思わぬ人が近づいてきていた。

相手だった

『なんで……』

驚いた顔をしながら上半身を起き上がらせて見つめていると「サボってるなよ」と声をかけてきた相手を見ては、数秒黙ってしまう。

「もしかして俺と帰ってないから寂しくなっちゃったのか?」

茶化すような相手のもの言いに何を言えばいいのか分からず、黙ってしまう。なにか話そうとした時に後ろから例の女性が現れては言葉にする機会を奪われてしまった

「何してるのー?」

気さくに話しかける相手に憎悪が湧いてきた自分に吐き気がするも黙りながら2人を見つめては「こいつサボったんですよ」と俺を除け者として2人で楽しく話す2人を見つめては『2人は付き合ってるんですか?』と言うはず無かったのに言ってしまう

するとお互いに頬や耳を赤らめてそっぽをむく姿を見ては(あぁ…失言してしまった)となにか冷めた気持ちになってしまった

この2人はそのうち付き合って口付けをして、そういう関係になる運命なのだろう

そこに俺はいらない。いや関係ない存在になるんだ。

だったら死んだ方がマシなのかな

冷えきった死んだ目で2人を見つめてしまっているとハッとした顔で2人をもう1度見る。今一瞬自分が死ぬという考えてしまったことに驚きながらここにいたら変なことを考えてしまうと思い、慌ててここから離れたくて立ち上がっては何も言わずに走り去ってしまう

その姿を見たふたりは不思議そうに見つめながら「大丈夫かな………そういえばさっきの質問なんだけど…」と自分がいなくなった後に2人会話してるなんて知らず、その日は仮病を理由に早退をして、自宅に帰省をした

俺は相手のことを考えるとこんなに醜くなるのか…いや元々この本性だったのに気がついていなかっただけかもしれないなと思いつつ、自宅の寝室のベッドによこたわる。

頭を整理させようとするも出来ず、時間だけが過ぎるのを感じているとあっという間に夕方になる。今日は両親はおらず1人で夕飯を食べることになっていた。だが、食べる気が起きずに寝室にいたままだった時にピンポーンとインターホンが鳴る。誰だろうとモニターを見に寝室から出てリビングに行き、確認をすると相手がいた

「なんで?」

疑問を持ちながらも玄関に向かいながらどんなことを言うか考えながらドアを開けると『よう』と声をかける相手を見る。変に耳が赤く、息が上がっているのを見ては「どうしたの?」と声をかけて

『今日急に帰るから心配だった』

相手が心配してくれるのは嬉しいが、相手の様子がおかしいのは自分のせいでは無い。多分嫌な予感がするが相手の様子がおかしいのは女性のせいだろう

「そう…」

『あと俺さ…………へへっ…実は彼女できたんだよね』

『お前には言いたくてさ…なんたって親友だしな!』

照れくさそうに話す相手にドロっとした嫉妬と憎悪が湧く。押さえ込んでも溢れ出てくるそれはもう止められずに無意識のうちに相手の腕を掴んでは自分の方に引っ張っては強引口付けをする。驚いた相手は抵抗をしなかったのを見てはニヤッと微笑みながらそのまま床に押し倒す。そこからは意識がなく、無意識に相手を乱暴に抱いていた。気がついた瞬間、相手は小刻みに震えながらこちらを嫌悪の目で見つめていた

やってしまった

『最悪だっ…』

小さな声で泣きながら相手はそうつぶやく

その姿を見て自分は相手に欲情した

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