【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?

ここ

文字の大きさ
2 / 12

第二話

ミゲルは、正直なところ、外見は90点で中身はマイナス100点だとアリサは思っている。
学園で人気がある理由がさっぱりわからない。くどくどうるさい男の何がいいのか。
ミゲルの唯一の取り柄は外見だ。
その外見にたくさんの令嬢が擦り寄ってくる。
アリサはそれを見ても嫉妬したことはない。だいたい子爵家にとって重要なのは格上の伯爵家と結びついて、商会の客層を上位貴族にまで広めることだ。
それができるなら、伯爵家に多少資金を貸したところで、困りはしない。

しかし、アリサはそろそろ限界だなと思っている。ミゲルの説教じみた言葉に疲れてしまった。1番多いのは、アリサの外見への不満なのだ。ある程度努力するにしても、そんなに大変身したりはできない。それにミゲルには最近、ずいぶん仲の良い令嬢がいる。
マーシャ・ソリアート侯爵令嬢。銀髪紫瞳の見目麗しくおっとりとした令嬢だ。
それはそれでいい。
アリサには問題ない。
婚約解消するなら、それが一番いい。
けれど、ミゲルから、その話はなかなか出てこない。

「はぁ、やっと終わった」
ミゲルが満足するまで話を聞くのは、商会で厳しい仕事相手とやりとりするより
疲れる。
「疲れたかい?無理はしないでいいんだよ」
父の優しい声に顔を向けると、最近任され始めた女性向け商品のことで、アリサが疲れたと思ったらしい。
「いえ、仕事は順調よ。来週にはだいたい決まります。でも、ミゲル様がちょっと」

「あぁ。恋人がいると聞いているよ。だから、婚約解消の申し出を待っているんだけどね。アリサもそれで構わないだろう?」
そんなにわかりやすかったかしら?
アリサは自分の気持ちが父に伝わっていたことがちょっと悔しい。ポーカーフェイスはうまいはずだったのに。
「はい。大丈夫です。お父様」
「まったく。向こうの有責にもかかわらず、まだ何も言ってこない。やはり親戚にならなくて正解だ」

父がいいと言ったから、アリサは気持ちが楽になった。ミゲルが何を企んでいても、自分には強い味方がいる。
父は、優しい人だが、長年商会で会頭を勤めているだけあって、物事へのさじ加減がうまい。
今度のことも任せていれば解決するだろう。
「すまなかったね。アリサには余計な苦労ばかりさせて」
「お父様、大丈夫です。楽しいときもありました。夜会で素敵なドレスをプレゼントされて、ダンスしたり」
婚約がだめになったアリサにはもう素敵な結婚の道はない。後妻か第二夫人か。
それでも、このまま、ミゲルと結婚するより、ずっといい。

あなたにおすすめの小説

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。

パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、 クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。 「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。 完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、 “何も持たずに”去ったその先にあったものとは。 これは誰かのために生きることをやめ、 「私自身の幸せ」を選びなおした、 ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。

危害を加えられたので予定よりも早く婚約を白紙撤回できました

しゃーりん
恋愛
階段から突き落とされて、目が覚めるといろんな記憶を失っていたアンジェリーナ。 自分のことも誰のことも覚えていない。 王太子殿下の婚約者であったことも忘れ、結婚式は来年なのに殿下には恋人がいるという。 聞くところによると、婚約は白紙撤回が前提だった。 なぜアンジェリーナが危害を加えられたのかはわからないが、それにより予定よりも早く婚約を白紙撤回することになったというお話です。

記憶が戻ったのは婚約が解消された後でした。

しゃーりん
恋愛
王太子殿下と婚約している公爵令嬢ダイアナは目を覚ますと自分がどこにいるのかわからなかった。 眠る前と部屋の雰囲気が違ったからだ。 侍女とも話が噛み合わず、どうやら丸一年間の記憶がダイアナにはなかった。 ダイアナが記憶にないその一年の間に、王太子殿下との婚約は解消されており、別の男性と先日婚約したばかりだった。 彼が好きになったのは記憶のないダイアナであるため、ダイアナは婚約を解消しようとするお話です。

結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。

真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。 親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。 そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。 (しかも私にだけ!!) 社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。 最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。 (((こんな仕打ち、あんまりよーー!!))) 旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。

【完結】公爵令嬢は、婚約破棄をあっさり受け入れる

櫻井みこと
恋愛
突然、婚約破棄を言い渡された。 彼は社交辞令を真に受けて、自分が愛されていて、そのために私が必死に努力をしているのだと勘違いしていたらしい。 だから泣いて縋ると思っていたらしいですが、それはあり得ません。 私が王妃になるのは確定。その相手がたまたま、あなただった。それだけです。 またまた軽率に短編。 一話…マリエ視点 二話…婚約者視点 三話…子爵令嬢視点 四話…第二王子視点 五話…マリエ視点 六話…兄視点 ※全六話で完結しました。馬鹿すぎる王子にご注意ください。 スピンオフ始めました。 「追放された聖女が隣国の腹黒公爵を頼ったら、国がなくなってしまいました」連載中!

夫は私を愛していないそうなので、遠慮なく離婚します。今さら引き止められても遅いです

藤原遊
恋愛
王妃付き護衛騎士である夫に、「お前を愛したことはない」と告げられた。 理由は単純。 愛などなくても、仕事に支障はないからだという。 ──そうですか。 それなら、こちらも遠慮する必要はありませんね。 王妃の機嫌、侍女たちとの関係、贈り物の選定。 夫が「当然のように」こなしていたそれらは、すべて私が整えていたもの。 離婚後、少しずつ歯車は狂い始める。 気づいたときにはもう遅い。 積み上げてきた信用は、静かに崩れていく。 一方で私は、王妃のもとへ。 今さら引き止められても、遅いのです。

婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが

マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって? まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ? ※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。 ※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。