【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?

ここ

文字の大きさ
11 / 12

第十一話

しおりを挟む
その夜、アリサは頭が割れるように痛いとな泣き出し、医者に来てもらった。
治癒魔法もかけた。それでなんとか寝れるくらいの頭痛になったのだが、完全には痛みが消えなかった。

そして目が覚めると、知らない天井の見たこともない豪華なベッドで寝ていた。
あれ?
そう思いながら、アリサは今日の仕事の予定と、学園に行く時間を考えた。
そして、1か月くらい記憶がないことに
気づいた。
あれ、あれ?
そして、滝の水のように一気に記憶が蘇った。この1か月。
アリサは子ども帰りして、リュエル公爵令息に大切にされていた。
まるで親子のように。
アリサがずっとできなかった甘え方が
記憶喪失のアリサにはできたのだ。
甘えも大事だなとアリサは思った。
それにしても、甘すぎる記憶に赤面が隠せない。
もう一度ベッドに潜って、バタバタと暴れた。
リューさまって何よ
定位置が足の間っておかしくない?
あーんてほぼ毎日やってなかった?

どんな顔してリュエルに会えばいいのだ。
リュエルはがっかりするだろうか。
記憶を取り戻したアリサは甘え下手で気の強い、外見はごく平凡な15歳だ。

トントンとノックがされた。
「アリサ様、入ってよろしいでしょうか?」
「どうぞ」
マーガレットとルリナが入室し、朝の洗面や着替えなどを手伝ってくれる。
一通り終わったあたりで、アリサは告白した。
「あのね、私記憶が戻ったみたいなの」
「やっぱり、そうじゃないかと思ってました」
「え、なんで?」
「そうですね。表情とか言葉遣いとか」
「じゃあ、リュエル様もすぐ気づくかしら?」
「ええ。たぶん顔を見ただけで気づかれるかと」
アリサは黙り込む。どうしたらいいだろう。正直に話すしかないけれど。

トントンと優しく扉をたたく音がした。
リュエルだ。
「はい、どうぞ」
「記憶が戻ったんだね!」
顔を見るどころか、ノックへの返事だけでわかったらしい。
「おはよう」
リュエルはアリサの部屋に満面の笑顔でやってきた。
「おはようございます。大変お世話になりました」
「ってことは、この1か月の記憶もあるんだね?消える時もあるらしいから」
「はい。後から一気に思い出しました」
「それはよかった」
「そうなんですか?」
「だって忘れてたら、一からやり直しでしょ」
何を?とアリサが首をかしげると、
「どうやら、元の完全なアリサより、ちょっと可愛い成分多めに中和されたんだね」
まだ納得できないアリサだが、リュエルや他の人々への感謝は変わらない。
「本当にありがとうございました。なんだか生き直した気分です」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。

パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、 クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。 「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。 完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、 “何も持たずに”去ったその先にあったものとは。 これは誰かのために生きることをやめ、 「私自身の幸せ」を選びなおした、 ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。

結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。

しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。 友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。 『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。 取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。 彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

危害を加えられたので予定よりも早く婚約を白紙撤回できました

しゃーりん
恋愛
階段から突き落とされて、目が覚めるといろんな記憶を失っていたアンジェリーナ。 自分のことも誰のことも覚えていない。 王太子殿下の婚約者であったことも忘れ、結婚式は来年なのに殿下には恋人がいるという。 聞くところによると、婚約は白紙撤回が前提だった。 なぜアンジェリーナが危害を加えられたのかはわからないが、それにより予定よりも早く婚約を白紙撤回することになったというお話です。

白い結婚を終えて自由に生きてまいります

なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。  忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。  「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」 「白い結婚ですか?」 「実は俺には……他に愛する女性がいる」   それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。 私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた ――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。 ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。 「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」 アロルド、貴方は何を言い出すの? なにを言っているか、分かっているの? 「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」 私の答えは決まっていた。 受け入れられるはずがない。  自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。    ◇◇◇ 設定はゆるめです。 とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。 もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!

婚約者に実力を隠すよう命令された私は、婚約破棄で楽しい学園生活になりました

天宮有
恋愛
伯爵令嬢のセシリアは、婚約者のリオクより優秀だった。 学園で婚約者より劣っていると思われたくないリオクは、セシリアに実力を隠すよう命令する。 半年もの間セシリアが実力を隠していると、公爵令息のヨハンが実力を隠していると見抜いたらしい。 追求されたセシリアは、ヨハンにだけリオクの命令と話すことにした。 その後リオクは子爵令嬢のファムと付き合うために、セシリアの成績を理由に婚約破棄を宣言する。 退学の危機になるもヨハンが助けてくれて、セシリアは本来の実力を発揮することにした。

「義妹に譲れ」と言われたので、公爵家で幸せになります

恋せよ恋
恋愛
「しっかり者の姉なら、婚約者を妹に譲ってあげなさい」 「そうだよ、バネッサ。君なら、わかるだろう」 十五歳の冬。父と婚約者パトリックから放たれた無慈悲な言葉。 再婚相手の連れ子・ナタリアの図々しさに耐えてきたバネッサは、 その瞬間に決意した。 「ええ、喜んで差し上げますわ」 将来性のない男も、私を軽んじる家族も、もういらない。 跡継ぎの重責から解放されたバネッサは、その類まれなる知性を見込まれ、 王国の重鎮・ヴィンセント公爵家へ嫁ぐことに。 「私は、私を一番に愛してくれる場所で幸せになります!」 聡明すぎる令嬢による、自立と逆転のハッピーエンド。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

処理中です...