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第十一王女の外交官生活6

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国王陛下からの挨拶の後は、トリティア皇国御一行には、まずは王宮の客室を案内し、一休みしていただく予定です。今夜は王宮での歓迎会があり、明日からはトリティア皇国前皇帝陛下のご希望の場所を見学していただくことになっています。

ランドール皇子の年齢から、二部屋にすべきか一部屋にすべきか、外交官チームで多少の話し合いがありましたが、二部屋用意して、あとは勝手にしてもらうことになりました。

「陛下、殿下、まずはお部屋に案内させていただきます。私は、滞在の間、ずっとおそばにつかせていただきます。ルティアと申します。ご不便なことがございましたら、お申し付けください。また外交官も兼ねておりますため、そちらの業務も何かお困りのときは声をかけてくださいませ」
まずはトリティア語で挨拶をいたしました。
この挨拶を聞いたとき、ランドール皇子は少しびっくりしたようでした。軽く目を見張り、私をじっと見たのです。トリティア皇国には女性外交官はいません。そもそも侍女や家庭教師など決まった職だけしか女性は働けないのです。
それゆえ、ランドール皇子には、私の存在が珍しかったのでしょう。年齢も近いため、余計に驚いたのだと思います。

ここから先は私には知りえない部分ですが、この物語のために追記いたします。
語り手は、トリティア皇国からやってきた侍女の1人マルタです。私とはまた後で会いましょう。

サーティス王国の外交官たちが護衛だけ残して、いったん下がったとき、ランドール皇子は、祖父である前皇帝陛下にこう話しかけられました。
「さっきの可愛らしい方は本当に外交官なのですか?」
「ランドール、さっきからソワソワしてると思ったら、ルティア嬢が気になるのか?お前の妃に迎えたいのか?」
そうからかわれた皇子は、真っ赤な顔をして、
「ちがいます!ただ珍しかっただけです!」
「そう言うが、いつもとずいぶん態度がちがうではないか」
陛下は皇子をからかうのがお好きです。
こうなってしまうと、まだ年若い皇子には勝ち目がありません。
「だって外国の方で、あんなにトリティア語が上手な方に初めて会いました。しかも女性で!あんなに小さくて若くて」
「ランドール、やはり好きになったのではないか?一目惚れか?」
おふたりはしばらくこの話題で盛り上がっておられました。
さて、物語の進行役をお返しします。マルタよりルティア様へ
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