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第十一王女の外交官生活7

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トリティア皇国の大切なお客様を迎えて、王宮では、歓迎のパーティーのための準備が行われています。私たち外交官チームは、準備に外交官2人、雑用に1人がパーティー準備のチェックと相談に乗るため、パーティー会場である王宮の庭に待機、残りが陛下たちの御用をすぐに聞けるところに待機と二つに分かれました。

国が違えば、言葉だけではなく習慣もちがいます。ある国では素晴らしいマナーだったとしても、ある国では侮辱になってしまうこともあるのです。
外交官チームは、パーティーでそのような悲劇を起こさぬように準備から、細かなチェックに入ります。

「赤いグラスは青に変更願います」
「陛下の一杯目の飲み物は、グラス酒に変更願います。」
「この床の敷物はやめておきましょう」
準備をしている王宮使用人たちはよくわからないまま、指示に従ってくれます。
ここで揉めることも多いらしいですわ。

「ルティアさん、大変です!」
そんなときにいきなりの大声。
びっくりして顔を上げれば、そこには陛下待機チームの雑用担当の方が。
「どうしました?」
「陛下が大層お怒りでして。ルティアさん、来ていただけませんか?」

何が起きたのでしょう。
急いで行くしかありません。
「陛下、何かありましたでしょうか?」
緊張しながら、声をかけてみますと、
「ルティア外交官、何か担当分けをするときは、あなたは必ず私たちのそばにいるように」
「かしこまりました。その他にご不便はありませんか?」
「問題ない」
「それではそばにおりますゆえ、いつでもお声がけください」

「ルティア外交官、ホートレス外交官から話は聞いている。私もあなたのお手製カクテルを飲みたい」
「ご用意いたします。一杯目はグラス酒で大丈夫でしょうか?」
「かまわない」
「ありがとうございます」

なんとなくあたりがざわついています。
何かありましたでしょうか?

陛下が笑ってる‥初めて見たかも‥

そんな声が聞こえてきました。
トリティア国の男性は武に秀で、寡黙な方が多いので、笑顔のイメージが薄いのでしょうね。
そんな感想を抱いた私ですが、周囲の方は少しちがったようです。
ルティア外交官はトリティアの男性のタイプなんじゃないか?なんて。
うーん、ちがうと思いますが、この噂、外交官としてはどうなんでしょうね。
ちょっと焦ります。
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