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第五話
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王妃様はほっとしていた。ミラルカが帝国に行くなんて考えられない。いつ殺されるかわからないような狂った皇帝なのだ。レディオナを王宮内に住まわせておいてよかったと初めて思った。
出発の日にだけ、レディオナを見に行ったが、どことなく洗練されて、彼女の母親を思い出させた。
王妃様はレディオナのことはすぐに忘れて、ミラルカの婚約者、宰相の令息のことを考え始めた。
まずは、王宮で顔合わせをする必要があるだろう。ふたりの相性がよいといいが。夫である国王が宰相の息子に勝手に決めたときは腹立ちもしたけれど、今は気持ちを切り替えて、宰相の息子とミラルカがうまくいくように、取り図るつもりでいた。
ミラルカは、自分で決めなくてよくなって安心していた。宰相の息子とは、王宮で時々出会う。どちらかというと可愛い系美少年だった。見た目は素敵だなと思っている。少しだけ話したことがあるが、賢くて、幼い自分では釣り合いが取れないのではと心配していた。
宰相の息子は、ミラルカに一目惚れしていたから、この婚約はうまくいきそうだった。
レディオナは国境まで王国の馬車、騎士に守られて進み、国境で帝国の馬車、騎士と交代すると聞かされていた。
王都から皇帝のいる帝都カルバナまでは1週間かかる。乗り心地のよい馬車とはいえ、体が固まってしまうし、時々休憩を入れつつ馬車は進んだ。
リルディが生まれた花と離れても平気なのかがレディオナの心配ごとだったが、
「あの花がなくなっても、名前をくれたレディオナがいれば、大丈夫だよ」
というので、一安心だった。
それにしても、自分が庭師の娘じゃなくて王女だったとは驚いた。
なんだかまだ信じられない。
レディオナは、不思議な気分だった。
この1か月少しも休むことなく、いろんな知識を詰め込んだ。
帝国の言葉もかなり使えるようになった。最初の挨拶は繰り返し覚えてきた。
歴史の授業で、帝国がかなり残忍な国であることも学んだ。
血に狂った皇帝とも呼ばれる現皇帝は23歳。レディオナとは16歳差だ。レディオナはまだ成人していないので、そういう相手にはなれない。皇帝がどんなつもりで王国を脅しているのかわからないけれど、レディオナは自分がやれることを必死にやるだけだ。
でも、どうせなら、仲良くなれるといいなとは思った。
国境に着くと迎えの馬車はすでに待っていた。レディオナが乗り換えると、王国の人々はさっさと帰って行く。
「王女殿下、こちらに」
迎えにきた中でおそらく1番身分の高い騎士がレディオナを呼ぶ。
レディオナは今日は淡いグリーンのドレスを着ていた。あの小屋にいたときとは別人だった。騎士たちは、レディオナの立ち居振る舞いの美しさに見惚れた。
出発の日にだけ、レディオナを見に行ったが、どことなく洗練されて、彼女の母親を思い出させた。
王妃様はレディオナのことはすぐに忘れて、ミラルカの婚約者、宰相の令息のことを考え始めた。
まずは、王宮で顔合わせをする必要があるだろう。ふたりの相性がよいといいが。夫である国王が宰相の息子に勝手に決めたときは腹立ちもしたけれど、今は気持ちを切り替えて、宰相の息子とミラルカがうまくいくように、取り図るつもりでいた。
ミラルカは、自分で決めなくてよくなって安心していた。宰相の息子とは、王宮で時々出会う。どちらかというと可愛い系美少年だった。見た目は素敵だなと思っている。少しだけ話したことがあるが、賢くて、幼い自分では釣り合いが取れないのではと心配していた。
宰相の息子は、ミラルカに一目惚れしていたから、この婚約はうまくいきそうだった。
レディオナは国境まで王国の馬車、騎士に守られて進み、国境で帝国の馬車、騎士と交代すると聞かされていた。
王都から皇帝のいる帝都カルバナまでは1週間かかる。乗り心地のよい馬車とはいえ、体が固まってしまうし、時々休憩を入れつつ馬車は進んだ。
リルディが生まれた花と離れても平気なのかがレディオナの心配ごとだったが、
「あの花がなくなっても、名前をくれたレディオナがいれば、大丈夫だよ」
というので、一安心だった。
それにしても、自分が庭師の娘じゃなくて王女だったとは驚いた。
なんだかまだ信じられない。
レディオナは、不思議な気分だった。
この1か月少しも休むことなく、いろんな知識を詰め込んだ。
帝国の言葉もかなり使えるようになった。最初の挨拶は繰り返し覚えてきた。
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でも、どうせなら、仲良くなれるといいなとは思った。
国境に着くと迎えの馬車はすでに待っていた。レディオナが乗り換えると、王国の人々はさっさと帰って行く。
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迎えにきた中でおそらく1番身分の高い騎士がレディオナを呼ぶ。
レディオナは今日は淡いグリーンのドレスを着ていた。あの小屋にいたときとは別人だった。騎士たちは、レディオナの立ち居振る舞いの美しさに見惚れた。
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