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第一話
「ええ、わかりました」
ルーディは急いで自分の部屋に走った。もう涙はこぼれ始めていた。誰にも見られないように、自分の部屋を目指した。もうすぐ自分のものではなくなる部屋を。14歳になったルーディは、先ほどまで、パーティーの主役だった。今となっては、このお家での最後の誕生日になる。伯爵家の娘として、どこへ出しても恥ずかしくない淑女に育ったつもりだ。そのルーディはもうすぐ伯爵家から、孤児院に帰ることになったのだ。もともとルーディは、孤児院の前に捨てられていたのを拾われた孤児なのだった。ルーディはそれを今日知った。赤ちゃんの時にミルエンズ伯爵に引き取られて、伯爵の娘として育った。だから、本当のことを知らなかった。ミルエンズ伯爵家には子どもが一人もできなかった。だからといって孤児院から引き取るのは非常に稀だ。孤児院にいる子どもの大半は貴族の子どもかどうかわからない。普通は身内から選ぶ。遠い親戚などが一般的だ。ルーディは、髪の色と目の色が夫妻にそっくりだった。そのため、慰問に訪れた際に、この子がいいとミルエンズ伯爵夫人が望んだ。夫人に弱い伯爵もすぐに賛成した。ルーディは愛情をたっぷり注がれて毎日すくすくと成長した。
ところが、ミルエンズ伯爵夫人が妊娠した。通常20代で子だくさんの家も少なくない中、ミルエンズ伯爵夫人は30代で妊娠、無事に男の子を産んだ。初めは、ミルエンズ伯爵夫妻も実の子とルーディを平等に育てられると思っていた。14歳まで育て一緒に暮らしたのだ。ルーディも弟を大切に思い、可愛がっていた。それなのに、何かのときに、どうしても実の子をかばってしまう。ルーディにきつく当たってしまうのだ。これではルーディがかわいそうだと親戚たちも横槍を入れてくる。悩みに悩んだが、ルーディを孤児院に帰すことにした。ルーディを可愛いと思う気持ちはあったけれど、実子のライドを贔屓してしまう気持ちがどうしても消えなかった。
ルーディは楽しい誕生日パーティーの後に
ミルエンズ夫妻にすべて本当のことを聞いた。自分が孤児で、ミルエンズ夫妻の子どもではないこと、どうしてもライド贔屓になってしまうこと。明日から孤児院に帰る支度をして、三日後からは孤児院で暮らすこと。孤児院にいられるのは16歳までだということ。つらいことばかり一度に聞かされて、ルーディは泣きそうになった。それでも、感情をなるべく隠して言った。
「ええ、わかりました」
ルーディは涙を見られまいと急いで自分の部屋を目指した。
荷造りはすぐにできた。孤児院がどんなところか、学園の生徒会で慰問に行った知識しかないけれど、子どもたちは共有する道具はいくつかあるようだけれど、自分のものはあまり持っていなかった。だから、ルーディはドレスやアクセサリーは持ち出さない。両親だったふたりが買ってくれた中で1番安いブローチだけをお守りがわりに持って行くことにした。あとは、下着やタオルだ。お気に入りの石鹸一つくらいならと思ったけれど、孤児院にお風呂はたぶんない。余計なものは未練になる。もう自分は貴族のお嬢様ではないのだから。お友達もたくさんいたけれど、貴族ではないルーディを友達だとは誰も思わないだろう。頑張ってきた学園も退学するのだ。ルーディは生徒会の書記をやっていて、将来を期待され、みんなの人気者だった。それもすべて終わりだ。そして、密かに憧れていた先輩との距離は永遠に届かないものとなった。
ルーディは急いで自分の部屋に走った。もう涙はこぼれ始めていた。誰にも見られないように、自分の部屋を目指した。もうすぐ自分のものではなくなる部屋を。14歳になったルーディは、先ほどまで、パーティーの主役だった。今となっては、このお家での最後の誕生日になる。伯爵家の娘として、どこへ出しても恥ずかしくない淑女に育ったつもりだ。そのルーディはもうすぐ伯爵家から、孤児院に帰ることになったのだ。もともとルーディは、孤児院の前に捨てられていたのを拾われた孤児なのだった。ルーディはそれを今日知った。赤ちゃんの時にミルエンズ伯爵に引き取られて、伯爵の娘として育った。だから、本当のことを知らなかった。ミルエンズ伯爵家には子どもが一人もできなかった。だからといって孤児院から引き取るのは非常に稀だ。孤児院にいる子どもの大半は貴族の子どもかどうかわからない。普通は身内から選ぶ。遠い親戚などが一般的だ。ルーディは、髪の色と目の色が夫妻にそっくりだった。そのため、慰問に訪れた際に、この子がいいとミルエンズ伯爵夫人が望んだ。夫人に弱い伯爵もすぐに賛成した。ルーディは愛情をたっぷり注がれて毎日すくすくと成長した。
ところが、ミルエンズ伯爵夫人が妊娠した。通常20代で子だくさんの家も少なくない中、ミルエンズ伯爵夫人は30代で妊娠、無事に男の子を産んだ。初めは、ミルエンズ伯爵夫妻も実の子とルーディを平等に育てられると思っていた。14歳まで育て一緒に暮らしたのだ。ルーディも弟を大切に思い、可愛がっていた。それなのに、何かのときに、どうしても実の子をかばってしまう。ルーディにきつく当たってしまうのだ。これではルーディがかわいそうだと親戚たちも横槍を入れてくる。悩みに悩んだが、ルーディを孤児院に帰すことにした。ルーディを可愛いと思う気持ちはあったけれど、実子のライドを贔屓してしまう気持ちがどうしても消えなかった。
ルーディは楽しい誕生日パーティーの後に
ミルエンズ夫妻にすべて本当のことを聞いた。自分が孤児で、ミルエンズ夫妻の子どもではないこと、どうしてもライド贔屓になってしまうこと。明日から孤児院に帰る支度をして、三日後からは孤児院で暮らすこと。孤児院にいられるのは16歳までだということ。つらいことばかり一度に聞かされて、ルーディは泣きそうになった。それでも、感情をなるべく隠して言った。
「ええ、わかりました」
ルーディは涙を見られまいと急いで自分の部屋を目指した。
荷造りはすぐにできた。孤児院がどんなところか、学園の生徒会で慰問に行った知識しかないけれど、子どもたちは共有する道具はいくつかあるようだけれど、自分のものはあまり持っていなかった。だから、ルーディはドレスやアクセサリーは持ち出さない。両親だったふたりが買ってくれた中で1番安いブローチだけをお守りがわりに持って行くことにした。あとは、下着やタオルだ。お気に入りの石鹸一つくらいならと思ったけれど、孤児院にお風呂はたぶんない。余計なものは未練になる。もう自分は貴族のお嬢様ではないのだから。お友達もたくさんいたけれど、貴族ではないルーディを友達だとは誰も思わないだろう。頑張ってきた学園も退学するのだ。ルーディは生徒会の書記をやっていて、将来を期待され、みんなの人気者だった。それもすべて終わりだ。そして、密かに憧れていた先輩との距離は永遠に届かないものとなった。
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