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第十話
「ふふふ。ルーディ、嬉しさを隠しきれてないわよ。今から二人で向こうのご両親と話し合ってくるわ。まあ細かい調整するだけだから、すぐ帰ってくるわ」
「ええ、わかりました」
ルーディはしばらくミルエンズ伯爵家に滞在することになった。二年前に言った言葉をこんなにちがう状況で言うことになるなんて。
ライドは、ルーディを覚えてないだろうけれど、なぜだか懐いていた。
「にぇーさま」
と舌足らずに呼んで、一緒に遊びたがった。ルーディはライドが可愛いから、好きなだけ一緒に遊んでいる。
「ただいま、ルーディ」
「お母様」
お父様もいるが、こんな時にはミルエンズ夫人の方が主導権を握っている。
「サンタナ公爵家は大歓迎って感じだったわ。何の問題もないから、結婚式の細かい分担を詰めて来たわ。ルーディのウェディングドレスは自分で考えたいわよね?」
「お店のみんなと考えることになりそうです」
「そうよね。いいと思うわ。ミルエンズ伯爵家で支払うから最高級のドレスになさい。公爵家に嫁ぐのだから」
公爵家に嫁ぐ、ルーディには想像したことがなかった現実だ。貴族ではなくなって、家族もなくなって、学園もなくなって、好きな人もなくなった。でも、今、すべてが帰ってきた。ルーディは油断していると、涙がこぼれそうだ。ミルエンズ伯爵家のルーディの部屋はそのままだった。懐かしくなって、もうサイズ的に着られないドレスや小さな宝物をいろいろ手に取って、見ては泣き笑いしていた。自分はもう貴族に戻ることはないと思っていたが、アーデル先輩と結婚するには、伯爵令嬢の方がすんなり進む。今回だけは身分を借りようと思った。
「ルーディ、おめでとう。結婚しても一緒に働いてくれるわよね?」
リハ店長と他の店員が見守る中、ルーディはおじぎした。
「これからも変わらずよろしくお願いします。それで相談なんですが、ウェディングドレスをこのお店で作りたくて」
「まぁ、本当?公爵家の贔屓の店で作ると思ってたわ。なんて素晴らしいのかしら。ルーディ、チームを作りましょう。お店の宣伝にもなるから、憧れて誰もが着たいって思うような‥あ、でも、公爵家にふさわしいドレスだと難しいかしら」
「それなんですけど、真似しやすい特徴を入れようかと」
ふむふむ、みんながルーディの考えを共有した。細かなデザインは、ルーディよりも得意な店員が担当する。ルーディはアイデアを出すのが得意だ。
「あとは、ウェディングドレスは無理でも、お祝いの食事会に着替えるドレスを作ったらいいかなって。少し安くて特徴的なデザインで」
「いいわね、みんなで細部をつめましょう。素敵な結婚式になるわね」
ルーディはお店のみんなが大好きだった。自分を必要としてくれるお客様も含めて。
きっとこれからも、ルーディはドレスを作り続ける。みんなが憧れて幸せになれるドレスを。アーデル先輩はこういうことには役に立たないけれど、結婚式前に爆弾を落とした。
「子爵位もらっちゃった」
ルーディは平民のつもりだったのに、優秀すぎるアーデルは、叙爵されたのだ。まぁ、もう貴族でも貴族でなくても、ルーディは変わらない。今日もドレスショップでお客様を待っている。
「いらっしゃいませ。何をお探しですか?」
「ええ、わかりました」
ルーディはしばらくミルエンズ伯爵家に滞在することになった。二年前に言った言葉をこんなにちがう状況で言うことになるなんて。
ライドは、ルーディを覚えてないだろうけれど、なぜだか懐いていた。
「にぇーさま」
と舌足らずに呼んで、一緒に遊びたがった。ルーディはライドが可愛いから、好きなだけ一緒に遊んでいる。
「ただいま、ルーディ」
「お母様」
お父様もいるが、こんな時にはミルエンズ夫人の方が主導権を握っている。
「サンタナ公爵家は大歓迎って感じだったわ。何の問題もないから、結婚式の細かい分担を詰めて来たわ。ルーディのウェディングドレスは自分で考えたいわよね?」
「お店のみんなと考えることになりそうです」
「そうよね。いいと思うわ。ミルエンズ伯爵家で支払うから最高級のドレスになさい。公爵家に嫁ぐのだから」
公爵家に嫁ぐ、ルーディには想像したことがなかった現実だ。貴族ではなくなって、家族もなくなって、学園もなくなって、好きな人もなくなった。でも、今、すべてが帰ってきた。ルーディは油断していると、涙がこぼれそうだ。ミルエンズ伯爵家のルーディの部屋はそのままだった。懐かしくなって、もうサイズ的に着られないドレスや小さな宝物をいろいろ手に取って、見ては泣き笑いしていた。自分はもう貴族に戻ることはないと思っていたが、アーデル先輩と結婚するには、伯爵令嬢の方がすんなり進む。今回だけは身分を借りようと思った。
「ルーディ、おめでとう。結婚しても一緒に働いてくれるわよね?」
リハ店長と他の店員が見守る中、ルーディはおじぎした。
「これからも変わらずよろしくお願いします。それで相談なんですが、ウェディングドレスをこのお店で作りたくて」
「まぁ、本当?公爵家の贔屓の店で作ると思ってたわ。なんて素晴らしいのかしら。ルーディ、チームを作りましょう。お店の宣伝にもなるから、憧れて誰もが着たいって思うような‥あ、でも、公爵家にふさわしいドレスだと難しいかしら」
「それなんですけど、真似しやすい特徴を入れようかと」
ふむふむ、みんながルーディの考えを共有した。細かなデザインは、ルーディよりも得意な店員が担当する。ルーディはアイデアを出すのが得意だ。
「あとは、ウェディングドレスは無理でも、お祝いの食事会に着替えるドレスを作ったらいいかなって。少し安くて特徴的なデザインで」
「いいわね、みんなで細部をつめましょう。素敵な結婚式になるわね」
ルーディはお店のみんなが大好きだった。自分を必要としてくれるお客様も含めて。
きっとこれからも、ルーディはドレスを作り続ける。みんなが憧れて幸せになれるドレスを。アーデル先輩はこういうことには役に立たないけれど、結婚式前に爆弾を落とした。
「子爵位もらっちゃった」
ルーディは平民のつもりだったのに、優秀すぎるアーデルは、叙爵されたのだ。まぁ、もう貴族でも貴族でなくても、ルーディは変わらない。今日もドレスショップでお客様を待っている。
「いらっしゃいませ。何をお探しですか?」
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