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1.
ナティアンヌ・ストロヴェリーは
ストロヴェリー侯爵家の長女だ。
「ナティは母上に似てないね」
弟が言う。
ストロヴェリー侯爵夫人はかなりの美人だ。
キラキラ光る金髪、澄んだ碧い目。
弟妹は夫人にそっくり。
ナティアンヌは、父母の悪いとこを受け継いで、平凡を通り越して醜い。
だからなのか、ナティアンヌにだけ、お誕生日パーティーがなかった。プレゼントをもらったこともない。
父母も弟妹よりはナティアンヌに対して冷たい。
毎日、叱られる。暴力を振るわれたことはないが、言葉も暴力だった。
「お前など私たちの子どもではない。働けるようになったら、出て行け」
ナティアンヌが醜いのはナティアンヌのせいではない。
でも、誰も味方してくれなかった。
使用人たちにも嫌われていた。
ナティアンヌには夢があった。
いつか、誰かに努力を認めてもらい、
頭を撫でてもらうのだ。
弟妹のように。
最初は父母に望んでいたことだが、
ナティアンヌは悟った。
そんな日は永遠に来ない。
醜いナティアンヌを父母が認める日は永遠に来ない。
もうすぐ8歳になるナティアンヌはまだ知らない。たとえ血のつながりがあろうと、人がどんなに残酷になれるかを。
ナティアンヌは、8歳の誕生日に青空が広がり、何か良いことが起こりそうな気持ちになった。
「ナティアンヌ、応接間にいらっしゃい」
母に呼ばれた。
珍しくお誕生日プレゼントをもらえるのかしら、とナティアンヌは急いで応接間へ向かった。
ノックして入室の許可を得ると、
そこには見たことがないおじさんがいた。
父もいる。
「これがナティアンヌという」
おじさんは、ニヤリと笑った。
ナティアンヌは嫌な気がした。
「さて、いくらになる?」
それはナティアンヌの値段なのだった。
「お貴族様とはいえ、この器量じゃ店には出せない。年齢もまずい。
これくらいが限度でさあ」
ナティアンヌは売られて娼館というところで働くらしい。
「お前はもう貴族ではない。我が家の籍からは抜いた」
ストロヴェリー侯爵家の長女だ。
「ナティは母上に似てないね」
弟が言う。
ストロヴェリー侯爵夫人はかなりの美人だ。
キラキラ光る金髪、澄んだ碧い目。
弟妹は夫人にそっくり。
ナティアンヌは、父母の悪いとこを受け継いで、平凡を通り越して醜い。
だからなのか、ナティアンヌにだけ、お誕生日パーティーがなかった。プレゼントをもらったこともない。
父母も弟妹よりはナティアンヌに対して冷たい。
毎日、叱られる。暴力を振るわれたことはないが、言葉も暴力だった。
「お前など私たちの子どもではない。働けるようになったら、出て行け」
ナティアンヌが醜いのはナティアンヌのせいではない。
でも、誰も味方してくれなかった。
使用人たちにも嫌われていた。
ナティアンヌには夢があった。
いつか、誰かに努力を認めてもらい、
頭を撫でてもらうのだ。
弟妹のように。
最初は父母に望んでいたことだが、
ナティアンヌは悟った。
そんな日は永遠に来ない。
醜いナティアンヌを父母が認める日は永遠に来ない。
もうすぐ8歳になるナティアンヌはまだ知らない。たとえ血のつながりがあろうと、人がどんなに残酷になれるかを。
ナティアンヌは、8歳の誕生日に青空が広がり、何か良いことが起こりそうな気持ちになった。
「ナティアンヌ、応接間にいらっしゃい」
母に呼ばれた。
珍しくお誕生日プレゼントをもらえるのかしら、とナティアンヌは急いで応接間へ向かった。
ノックして入室の許可を得ると、
そこには見たことがないおじさんがいた。
父もいる。
「これがナティアンヌという」
おじさんは、ニヤリと笑った。
ナティアンヌは嫌な気がした。
「さて、いくらになる?」
それはナティアンヌの値段なのだった。
「お貴族様とはいえ、この器量じゃ店には出せない。年齢もまずい。
これくらいが限度でさあ」
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