【完結】わたくし、悪役令嬢になるんですの

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まずは聖女様にご飯を食べてもらわなければなりません。リアンに相談して、胃がびっくりしないようにパン粥を用意してもらいました。
「ミユ、お腹空いてない?」
聖女様は、お腹をおさえて、よくわからないと言いました。
「ママとご飯を食べましょう?」
「ミユ、ママとご飯食べる!」
そうして異世界に来た聖女様は初めてこの国のご飯を召し上がりました。
「おいしかったかしら?」
「ミユ、ママがいたら、何でもおいしい」
それからしばらく話しているとミユは異世界で放置されていた子どもであることがわかりました。母親とは月に一回10分くらいしか会えてなかったようです。だから、私をママと間違えているのです。
「ママがミユとずっと一緒にいてくれてうれしい」
なんだか悲しくなりました。聖女様は、ずっと寂しい生活をしてきたのです。

「ミユ、このお水もおいしいのよ」
子ども用のポーションです。聖女様の体調を整えるため、神殿の薬師からもらってきました。将来、私の愛する人を奪うとはいえ、今はただ小さな力のない子どもです。私を必要としている幼子を放っておくことなどできません。悪役令嬢についても、今は考えないことにします。ただただミユの健康を取り戻すことに集中したいのです。
「ママ、このお水おいしいね」
まだ頬はこけていますが、かわいい笑顔に私はほっとしていました。
「ミユ、もう少しママと寝よう」
「うん!」
昼寝より前に朝ごはんで体力を使ったであろうミユを寝かしつけながら、私も寝てしまいました。

「シャル、シャルなら大丈夫だと思っていたよ。聖女さまは寝られない、食べられないで神官長も参っていたらしい」
「セリス。なんて言ったらいいのかしら、聖女さまは元いた世界でお母様とあまり暮らしたことがないみたいなの。だって普通は母親を間違えたりしないでしょう?」
「俺ならシャルがいいけど」
またこの調子です。セリスは笑顔で私の頭を撫でました。 
「シャルの母上は天国にいて会えないから、聖女さまの気持ちがわかるんじゃないかと思ったんだよ」
「セリス」
聖女さまが15歳の時、セリスは30歳。あまり釣り合いがとれないふたりですが、すでにセリスは聖女さまを大事に思っているのでしょうか。ミユはかわいいけれど、セリスを取り合うのは悲しいです。悪役令嬢になるにはたくさんの試練があるようです。

「シャル」
お兄様がなんだか心配気な顔で私の頭をポンポンと触りました。
「最近、本当に元気がないな。何やら画策してるようだし」
大変です。お兄様は何か察知してしまったようです。
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