レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

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第二章 美少女とはじめる、むっつりスケベの冒険

第27話 魔王を…倒すな?

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「どしたんだ?レイカ。」


無精ヒゲの冒険者らしきおじさんが話しかけてきた。

「あ、ゴルドさん。
 いえ、、このFランクのお2人が、ワニダイルの素材を持ち込みになられたので…。
 そのままお受けして良いか迷ってしまって…。」

「お~!わけーのにそいつはすげ~な!」

「しかも5日間の戦闘でFランクになったって…。」

「うひゃ~!
 そいつは天才だべ!
 ワハハハ!」

「笑い事じゃないですって…。
 そんなことするような子たちには見えませんが、一応盗品かどうかも見極めないといけないんで…。」

「うむむ…。
 おらもこの子たちがそげなことするようには見えんけどな。
 んでも、レイカも責任がな~…。」

ゴルドという冒険者はしばらく悩んで、こう提案した。

「おらがちょうど明日からクエストで素材採集に行くんだが、そん途中でその子たちが本当にEランクのモンスターを倒せるか、見てきてやろか?」

「なるほど…。
 お2人はいかがですか?」

「それだと、私たちのスキルがその方に知られてしまうことになりますよね。
 自分の手の内を晒すことは、なるべく避けたいわ。」

「僕も同じ考えです。
 せっかくのご厚意、申し訳ないのですが…。」

「…そりゃそうだべな。
 まあ、一緒にいなくても明日素材採集のクエスト受注して、その獲物狩ってこれりゃ、問題ねんじゃねえべか?
 なんのモンスターかわかんねえのに、生息エリアの中で盗むなんてできっこねえだろ。
 おらが一緒に行って、生息エリアの中に入ったかどうかだけ確認すっからよ。」

「それなら、盗品を用意することは難しいですね…。
 生息エリアの中程までいけば、誤魔化すために買うってこともできないでしょうし。」

「それならいいですよ。
 でも、ゴルドさんにご迷惑じゃないですか?」

「おらにも同じくれえのガキがいてよ。
 おめえらくらいのがんばってるやつ見ると、ほっとげねえんだ。」

「あ、でも…、ワニダイルの素材を買い取ってもらわないと、今日の宿代が…。」

「あー、そうか。
 そんならうちに泊まりな!
 汚ねえ家だが、そんでええならな!」

「そ、そんな!
 流石に悪いですよ…。」

「ゴルドさん、まだ若いとはいえ、初対面の冒険者を家に泊めるのは危険です。」

「なーに。
 おらも腐ってもBランク。
 大丈夫だべ~。
 さっきも言っだげど、自分の子どもみたいでほっとげねえ。
 よがったら、うちで話し相手になってぐんねえか?」

ロックはティナをチラッと見た。

ティナは視線で返事をした。

「ではゴルドさん、お言葉に甘えてもよろしいですか?
 ぜひ泊めていただけたら、とても助かります。
 素材が売れましたら、お代はお支払いいたしますので…。」

「ワッハハハ!
 わけーもんが、そったら気を遣うもんじゃねえ!
 そうとぎまれば、いぐぞ~。」


2人はカイルと同じような雰囲気に、温かさを感じた。

不用心とは思いながらも、なんだか断れなかった。





「着いだぞ。ここだ。

 おーい、けーったぞ~!」

「は~い!
 あら!お客さんけ?」

扉を開けたのは、優しそうな女性。

「ギルドでちょっど困っててな。
 おせっかいがもしんねが、連れできだ。」

「あれあれ。
 こったらきだねぇところ、野宿の方がいいっで言われじまうよ~!」

「ふふっ。」

ひょうきんな女性の様子に、ティナが思わず笑いをこぼした。

「まあまあ、上がって上がって~!
 たいしだお構いはでぎねえけんど。」

「突然ですみません!
 おじゃまします!」


2人は家に上がらせてもらった。

食事やお風呂をいただいた後、ゴルド夫婦が今までの話を聞きたいと言ってきた。

ちょっとだけ話すつもりが、2人がぐいぐい聞きたがるので、一通り話すことに。


「なんでこったらええ子たちがそんな目に…。
 づらかったなぁ。
 がんばったなぁ、おめえたち…。」

話を聞いて涙を流す夫婦。

ゴルドに至っては号泣で言葉が出ない。

「うぅ…。
 …おめえたち。」

なんとか泣き止み、声を絞り出すゴルド。

「おらたちでできるごとは、なんでもしてやっから。
 遠慮せずに言えよぉ…。ズズッ。」

鼻水もダラダラだ。

「出会ったばかりの僕たちにこんなに親切にしてくれて…、ありがとうございます。
 そんな風に言ってもらえて…、すごく、嬉しいです…。」

ロックとティナも半泣き状態。

「そんで、おめえたちは、これがらどうしだいんだ?
 なにかやりでえこど、あんのか?」

「それを考えるために、いろんな世界を見てまわりたいと思っています。
 今の夢は、魔王を倒して故郷を取り戻したいです。」


すると、泣き崩れたゴルドの顔が、真顔になった。

「魔王は、倒しちゃなんねえ。」
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