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第二章 美少女とはじめる、むっつりスケベの冒険

第26話 ギルドでお決まりのやりとり

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アラートフの町に着いたロックたちは、門のところで身分証の提示を求められた。

冒険者ならブレスレットだ。


このブレスレットは、強さによって自動で色が変わり、その冒険者のランクがわかる。

それと、人を殺した冒険者は、黒に変わる。

ブレスレットが黒い冒険者は、衛兵に捕えられる。


これが、ロックやティナが直接殺されなかった理由だ。

モンスターに襲わせたりすれば、黒い色には変わらない。


抜け道の多い確認方法ではあるが、ある程度の役目は果たしている。



問題なく町に入れた2人は、門番にこの町の宿の相場を訪ねた。

「ここは北のモンスター生息域に近いから、宿は多いぜ。
 料金は大体2食付きで8000ゴルだな。」

 あ、2人で1部屋ならもうちょっと安いと思うぞ。」

「え!?
 いや、2部屋借りると思います!」

(同じ部屋なんて…、またモンスターが目を覚ます…。)

その様子を見た門番はニヤニヤした笑みを浮かべた。

「そっか。まだなのか。
 がんばれよ!坊主!」

「何言ってるんですか!
 とにかく、ありがとうございました!!」


お礼を言って強引にその場を去るロック。

ティナも早歩きで付いていく。

「ロック、私は同じ部屋でもいいわよ?
 お金もったいないし。」

「な、なに言ってるの!?
 男女2人が同じ部屋なんて、ダメだよ!」

「別にいいのに…。」

(僕の気持ちも知らないで~!)



町の中に入った2人が最初に向かったのは宿、じゃなくてギルド。

なぜなら、彼らの所持金は…、0。

ギルドでクエストを受けて収入を得なければ、宿に泊まれない。


といっても、もう夕方。

今からクエストは受注できない。

道中で狩ったモンスターの素材を売る予定だ。


持ちきれないため、解体した素材はあまり多くない。

どれくらいで売れるか、不安だ。


(少なかったら同じ部屋に泊まる理由にできるかも…。)

前向きなむっつりロックである。


不安もあるが、期待に胸を(ちょっと股間も)膨らませ、ギルドに到着。


2人にとって、冒険者としては初めてのギルド来訪。

(緊張する…。)


受付に進む2人。

綺麗なお姉さんがニコリと微笑み、対応してくれた。


「こんにちは。
 本日はどのようなご用件ですか?」

「こ、こんにちは。
 素材の買取をお願いしたいんですが?」

「かしこまりました。
 当ギルドは初めてですか?」

「はい。
 ちゃんとギルドを利用するのも初めてです。」

「よろしければ、ギルドについてご説明いたしますが?」

「あ、ではよろしくお願いします。」


受付のお姉さんが、ギルドの仕組みについて教えてくれた。

お姉さんによれば、こんなシステムになっているそうだ。



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▼クエスト

ギルドでは、クエストを受注することができる。

主な内容
・素材採集(薬草やモンスター素材)
・モンスター討伐
・お尋ね者討伐
・護衛

クエストにはランクがあり、自分と同じランク以下のクエストを受けることができる。
冒険者ランクは、レベルによって分けられている。
ブレスレットの色も合わせて説明してくれた。

ランク:レベル :色
  S : 70~   :ゴールド
  A :60~69:シルバー
  B :50~59:ブロンズ
  C :40~49:パープル
  D :30~39:ブルー
  E :20~29:レッド
  F :10~19:イエロー
  G:~10  :ホワイト
  ※殺人を犯したもの:ブラック

クエストの受注条件にはランクと、必要人数もある。

[クエスト:〇〇討伐 C×2]

といったクエストならC級の冒険者が2名以上いるパーティ、ということだ。
下のランクのクエストであれば、人数条件は考えずに受注できる。

素材買取は常時行っているが、クエストで受注した場合よりも安い買取金額になる。
クエストにある素材は急を要している素材だからだ。

クエストはギルド内に貼り出してあり、好きなものを受付に持っていき、問題なければ受注。
期間内に終わらなければ罰金となる。

また、モンスターのランクも冒険者と同様の基準。

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「ふむふむ。よくわかりました!」

「駆け出しの方は、薬草採集などからがおすすめです。」

「あ、実はもう素材を持ってまして…。
 今その素材を求めてるクエストがあったら、納品することはできますか?」

「できますよ。
 どんな素材ですか?」

「これです。」

ロックは荷物からワニダイルの皮と歯を出した。

「え?!
 ワニダイルですか!?
 失礼ですが、ブレスレットを見せていただけますか?」

「あ、はい。」

ロックは手を差し出した。

それに合わせてティナも。

「お2人ともFランク…?
 Eランクの中で中堅モンスターのワニダイル…、お2人で倒したのですか?」

「ええ、まぁ、はい。」

「うーん。
 まあスキルによっては可能ではありますが…。
 お2人はギルドは初めてとおっしゃいましたよね?
 冒険を始めて何ヶ月でらっしゃいますか?」

「2人で冒険を始めたのは2日前からです。
 今日で丸3日ですね。
 あ、でもその前に3日間、恩人にレベル上げを手伝ってもらいました。」

「えー!?
 いやいや!
 それでも6日間しかモンスターと戦ってないってことでよね?!」

「あ、今日は敵と全然出会わなかったので、戦ったのは5日です。」

ティナが、馬鹿正直に答えすぎ…、と焦った表情。

「よっぽどいいスキルなのか…。
 それにしても早すぎるなぁ…。」

「もしかして、買い取ってもらえないんですか…?」

「もし、盗品だったら困るんですよね…。
 あ、ごめんなさい、疑っているわけではないんですけど…。」

(これ疑われてるよね、絶対…。でも、嘘はつきたくないし…。)


「どしたんだ?レイカ。」
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