レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

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第二章 美少女とはじめる、むっつりスケベの冒険

第25話 隠密の、真の能力

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ティナとの初夜を明かした、翌朝。

途中で見張りを交代し、その後悶々としながらロックは眠りについた。

当然、初夜はやましいことはしていませんよ。


「おはよう、ロック。」

「ん~…!
 
 おはよう、ティナ。
 見張りありがとう。
 眠くない?」

背伸びをしながらロックはテントから出てきた。

「大丈夫よ。
 ロックが長めに見張りしてくれたから。
 ロックこそ眠たくない?」

「平気だよ!
 あ、朝ごはん作ってくれたんだ!
 ありがとう!」

「大したものは作れないけど。
 さ、食べて出発しましょ。
 今日でモンスターがいるエリアは抜けられる予定だよね。」

「そうだね!
 そうしたらもう少しゆっくり休めるね。」

(もしかしたら、一緒に寝たり…?)

「エリア外もたまにモンスターいるから、見張りはしなきゃだけどね。
 見張りの緊張度はだいぶ違うかも。」

(…ですよね…。)




朝食を済ませ、2人は出発した。

低レベル帯のモンスターはもはや2人の相手ではない。

レベル差が5以上で経験値も入らないので、振り切れそうなモンスターは無視して進んだ。

そのおかげで、早めにモンスターの生息エリアを抜けることができた。



「思ったより早く抜けられたね!
 まだ明るいから、もう少し進む?
 それとも早めに休もうか?」

「う~ん。
 できたらでいいんだけど、水浴びしたいな。
 昨日はまだ危険な場所で、辺りも暗くなってて浴びれなかったから。」

「水浴び!?あ、あー、水浴びね!
 それはそうだね!
 うん!
 今日は早く休もう!
 テント張っとくから、水浴びしておいで!」

「いい?
 明日町についてからでもいいと思ってたんだけど、解体した時の血の匂いがついちゃって。
 わがまま言ってごめんね。」

「全然問題ないよ!
 モンスターには気をつけてね!」

「うん!
 ちょっと行ってくるね。」

「い、いってらっしょ…、いってらっしゃい!」

(噛んじゃった…。)


動揺の隠せないロック。

でも、彼は誠実な男。

ティナを見送り、テントを張り始めた。

そして、焚き火の薪を集めることにした。



ところが。


薪を集めていたはずが、なぜかいつの間にかティナの水浴びしている川の近くに立っている。

(え?瞬間移動?)

しかも、【隠密】が自動発動している。

ここまできた記憶も、スキルを発動した記憶もない。

そしてなぜか、ロックの下半身のテントが張っている。

(もしかして、こ、これが、【隠密】の真の能力!?)





…そんなわけはない。

ただ、水浴びをしているティナが気になりすぎて、ティナの裸が気になりすぎて、無意識にやってきしまったのだ。

エリア外にも、確かに危険なモンスターが存在した。

(か、勝手に体が動く…!)

【隠密】の真の能力…、ではなく、あまりのスケベさによって、足がティナの方へ向かっていく。

(だ、ダメだ!!ティナ…、逃げて!!!)

自分自身の中のモンスターと戦うロック。

しかし、相手は強敵だ。


ふいに、水の中に肩まで浸かって身体を洗っていたティナが、立ち上がった。

立ち上がって髪をかき上げている。

(な、なんて色っぽさ…。)

ロックはもうだいぶ近づいている。

そして、ティナが振り向きそう。

(だめだ!あんな攻撃力の高いものをくらってしまったら、死んでしまう!
 それに、ティナを裏切ることは絶対にだめだ!!)

ロックの中のモンスターと誠実さが戦っている。

振り向くまでの数秒が、まるで永遠のようだ。






気づいたら、テントの前に倒れていた。

なぜか、手が歯形だらけだ。

血も滲んでいる。

(ど、どうしてたんだ? 僕は…。)

彼は、なんとかモンスターとの戦いに勝った。

【噛み砕き】スキルを発動し、自分のスケベさごと腕を噛み砕いた。

痛みと引き換えにティナを守ったのだ。


そこにティナが帰ってきた。

「ただいま。
 おかげさまでさっぱりしたわ。
 
 …ロック?」

「あ、おかえり…。」

「ロック!
 その腕どうしたの!?
 モンスター?!」

「う、うん。
 まさかこんなところに、モンスターがいるなんて…。」

「かわいそうに…。
 私のスキルで傷も消えるといいけど…。
 でもなんか、人の歯形っぽいわね?」

「人の形をしたケダモノのようなやつだったよ。
 次来たら、勝てる自信がないよ…。」

「大丈夫…?
 負けないように、一緒に強くなりましょ。」

「がんばる…。」

2日目にしてこの様子で、果たしてロックはやっていけるのか。

そして、夜が開けた。




「よーし!
 今日はアラートフまで行くぞー!」

「ロック、すっかり元気になったわね。」

「うん!
 昨日はごめんね!本当に!
 気持ちを切り替えて、がんばるよ!」

「元気になってよかった!
 がんばっていきましょう!」

昨夜見張りの時に、テントから少し離れてゴソゴソとモンスター処理をしていたことは、ティナの知り得ないことである。

おかげでスッキリしたようだ。



それから川沿いを移動すること1日。

2人はアラートフの町に到着した。
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