レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

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第二章 美少女とはじめる、むっつりスケベの冒険

第24話 冒険初夜…

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2人は低レベルポイントに到着した。

あとは川を下って行けば、アラートフの町だ。


アラートフはバスキア帝国と、その南に隣接する国ミステレスの境目にある。

所属としては、ミステレスになる。

ロックの落下した崖が国境だ。


冒険者は基本、自由に国を越えて移動できる。

その際、スキル覚醒をしたらもらえるブレスレットが身分証明書となる。

モンスターとの戦いで協力する必要があるこの世界の国々は、国間の戦争などはなく、良好な関係を気づいているのだ。


ヨムじいさんの話では、ここからモンスター生息域を抜けるのに約1日。

アラートフの街までさらに1日かかるそうだ。


カイルがいる時と違い、道中ずっと【隠密】を使って慎重に進んだため、もう辺りは暗くなりかけている。

ワニダイルの解体にも時間がかかった。


2人はここで野宿することにした。


ロックはテントを張り、ティナは夕食の準備。

あまり多くの荷物を持ち歩けないため、解体した肉は明日の朝の分までしか持ってこなかった。

村の人たちからもらったパンと一緒に焼いた肉を食べる。


「ティナのご飯はやっぱり美味しいな~!」

「お肉焼いただけよ?」

「焼き具合と、ちょっとした味付けが上手!」

「ふふ。
 ありがと。」


たわいもない話をしながら、夕食をたいらげた。


「ごちそうさま!」

「ごちそうさまでした。」


「2人しかいないから、夜は交代で見張りをしよう。」

「そうね。
 ロック、先に休んだら?
 ワニダイルの攻撃も受けちゃったでしょ?」

「あれはティナの【慈愛の祈り】のおかげでもう治っちゃったよ!
 ティナのおかげで傷が癒されて、助かるな~!」

(そして心も癒される…。)

「そう?
 無理しないでね?」

「大丈夫だよ。
 朝方より、夜の方がモンスターが活発みたいだから、僕が最初に見張りするね。」

「ありがとう。
 お言葉に甘えて休ませてもらうわね。」


ティナはテントの中に入り、ロックは外で武器の手入れをしながら見張り。

(2人だから夜どうしよう!って思ってたけど、よく考えたら一緒に寝れるわけじゃないんだよね…。
 ホッとしたような、ちょっと、いやけっこう残念なような…。)

雑念しかない。


「ロック…?」

「な、なに!?ティナ!?」

よこしまなことを考えていた時に声をかけられて、思わず大声を出すロック。

「ど、どうしたの?
 そんなに大きな返事して…。」

「なんでもない!なんでもないよ!
 ティナこそどうしたの?
 眠れない?眠れないよね~!こんな森の中で!
 眠れないかもしれないけど、明日もあるから寝た方がいいよ!」

「なんか焦ってるわね…。
 そんなに早口で…。
 
 でも、その通りなの。
 なかなか眠れなくて…。」

(まさか…!
 「一緒に寝て?」とか!?
 困っちゃうよ…!)

「だ、大丈夫?」

「うん。
 でも、ちょっとだけお話ししてもいい?」

「あ、う、うん。」
 
(そんなことあるわけないか…。)

「幼馴染のミラって、どんな子なの?」

「ミラ?
 うーん。性格は元気で明るい子だよ。
 あと、おせっかい。
 
 僕のスキルが3つ覚醒した頃から、周りの反応が冷たくなってきたんだ。
 嫌がらせされたり。両親もよそよそしくなっちゃって。
 でも、ミラだけはずっと僕と仲良くしてくれて、励ましてくれたんだ。」

「優しい子なのね。」

「うん。
 すごく大事な幼馴染だよ。」

「その…、付き合ってたりする、の…?」

「つき!?付き合ってはいないよ!」

「そうなのね。」

「そうだよ!
 僕、そういうの恥ずかしいから苦手で…。」

「ふふ。
 奥手そうだもんね、ロック。」

「僕のことより、ティナはどうなの??
 付き合ってる人とか…?」

「いないわよ。
 まだいたことないわ。」

(ほっ。って、なんで安心してるんだ!?
 そういえば、ティナのこと全然知らないな…。)

「ティナ、ティナの家族はどうしてるの?」

「帝国首都にいるわ。
 ロックと同じように、2つ目のスキル【慈愛の祈り】が覚醒してから冷たくなっちゃって…。
 それからは近くにいるとHPが減っちゃうから、離れに1人で生活してたわ。
 食事なんかは運ばれてきたけど。
 邪魔者として扱われてた…。」

「実の親がそんなことを…。
 僕の両親は本当の親ではなかったから、引き取ったのもスキルのためだったのかも、って思えるけど、実の両親にそんなことされるのは、辛かったね…。」

「でも、それはしょうがないと思ってたわ。
 だって、私が近くにいると、死んでしまうかもしれなかったから。

 3つ目のスキルに望みをかけたけど、ダメだった。」

「家には戻りたい?
 今ならスキルの問題もなくなったし…。」

「ううん。
 ロックにとってのミラみたいに、スキルに関係なく私を見てくれる人と一緒にいたい。
 家には、帰りたくない。」

「…僕は。
 僕は、ティナのスキルがどうなっても、ティナを守るよ。」

「…うん。
 だから、一緒に旅をしたい。」

「…僕も。
 ティナのおかげで、冒険も楽しいよ。」

「ありがとう…。
 なんだか眠れそうだから、寝るね。
 交代になったら起こしてね。
 おやすみ、ロック。」

「おやすみ、ティナ。」
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