レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

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第四章 世界中が敵

第159話 来訪者

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4人は孤児院に戻ることもできず、人気のない場所で野営をすることとなった。

「一体なんなの!?」

ミラが憤っている。

「ミラ、落ち着いて?」

「状況を整理しよう。

 僕たちには、僕の育ての親だった2人、看守、イーザさん、リッチェルさんの殺人容疑がかかっている。
 もちろんそんなことはしていない。
 それなのに、ブレスレットの色が「ブラック」になってしまっている。」

「意味わかんねえな。
 それに、なんでイーザとリッチェルのことをバルキアの連中が知ってるんだ?
 そんなに早い伝達方法があるなんて聞いたことねえぞ?」

「いつもはどんな伝達方法なんですか?」

「伝書鳩だな。
 速い飛行速度の大型の鳩なんだが、それでも俺の5分の1くらいのスピードだ。」

「冒険者の情報なんかも全部その伝書鳩が伝えるんですか?
 すごい情報量になりそうですけど…。」

「俺も詳しくは知らねえけど、冒険者の個人情報はまた別の方法を使ってるらしいな。」

「その別の方法でイーザさん、リッチェルさんのことを知ったのかな?」

「…わからねえな。
 それに、俺らがギルドに来るのをわかってたみたいだった。
 冒険者たちだけじゃなく、将軍までいたからな。」

「となると…、私たちが着く前から情報は伝わっていたということね。」

「ロック、育ての親が殺されちまったって…、その…、大丈夫なのか?」

ファルクがロックを気遣う。

「…なんともないわけじゃありませんが、実は、その育ての親に僕は一度殺されかけてるんです。
 その罪で牢獄に入っていたので、冷たい様ですけど、…大丈夫です。」

「…お前も苦労してんだな…。」

「それよりも、この状況をどうするかです。
 当然冤罪なわけですが、誰が僕たちを陥れたのか。」

「リーザさんとリッチェルさんのことを知ってるのは、アルカトルで話をした3人、そしてギルドマスターが情報を伝えたであろう人たちね。」

「だが、アルカトルからバルキアに情報を伝えるだけの時間はないはずだ。」

「ファルクさんの知らない伝達方法があるとか?」

「…まあ、そういうことになるよな。
 実際にバルキアの連中が知ってたんだから。」

「じゃあ、アルカトルで魔王城での話を知った人の誰かが関わっているということね。」

「いや、まだ他にもいる。」

「ロック、それは誰?」

「魔王と、あの黒いローブの男だ。」

3人の顔が引き攣る。

「…バルキアと繋がってると…?」

「可能性はあると思う。
 少なくとも、アルカトルのギルドマスターやアメリアさん、セアラさんは違う。」

「…まあな。
 俺もずっと一緒に戦ってきたが、ロックたちのしてくれたことは俺たちにとって本当にありがたいことだ。
 陥れるメリットがねえ。」

「…でも、ギルドマスターはロックの秘密が世界を混乱させることをかなり危惧してたわね。」

「確かにな…。
 だが、その脅威を敵に回すようなことをするとは思えん。」

「魔王を倒しちゃダメだって言ってるのに、倒しに行ったからかな!?」

「それもあり得るね。
 その話を広めたのはバルキアの皇帝とギルドマスターだったよね。
 魔王を倒そうとしている僕たちを止めようとしている…?」

「その時はギルマスにはなってなかったがな。」

「そのために、わざわざ看守とロックの育ての親を殺したのかしら…?」

「それに、なんでブレスレットの色が黒くなってるのぉ…?」


「「「「う~ん……。」」」」


どれだけ考えても、頭がこんがらがるばかり。


「一旦整理しよう!
 僕たちが狙われてる理由で思い当たるのは、

 ・世界を混乱させるスキル
 ・魔王を倒そうとしている

 の2つ。

 世界を混乱させるスキルで困るのは、

 ・各国の偉い人?

 魔王を倒そうとして困るのは、

 ・魔王と黒いローブの男
 ・皇帝とギルドマスター?」


「とりあえず、バルキアの将軍やギルドに追われてる時点で、世界中が敵に回るな…。」

「人間に危害を加えるわけにもいかないし…。」


「あ!
 誰かがこっちにやってくる!」

ミラが【気配察知】で何者かの接近を感知した。

「何人!?」

「…1人!
 すんごい速いよ!」

「どうする、ロック?
 逃げるか?」

「ミラ、どのくらいの強さ!?」

「A級だと思う!」

「僕らを捕まえるつもりなら、1人じゃ来ないはず。
 警戒を怠らないで、話をしてみましょう。」

「いつでも飛べるように、変身はしとくぞ。
 …ていうかなんでここがわかるんだ。
 【気配察知】で探知できるような距離じゃないはずだ。」

そう言いながら、ファルクはフォースドラゴンへと変身した。


それから大した時間もかからず、その「誰か」はやってきた。


「…こんばんは。」

正気をあまり感じられないクマのできた目、やつれた身体の、存在感の薄い男がやってきた。
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