レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

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第四章 世界中が敵

第160話 2つの伝言

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正気をあまり感じられない、存在感の薄い男がやってきた。

「…どなたでしょうか?」

何か未知のスキルを持っているかもしれない。

ロックたちは身構えた。

「…あ、そんなに身構えないでください…。
 …ぼくは…、レイカさんの使いです…。」

話す言葉にも力がない。

「レイカさんの!?」

「…はい…。
 伝言があるのですが…、もうギルドや軍にこの場所はバレています…。
 場所を変えて話をしたいのですが…。」

「この場所がバレてる?
 なぜ?」

「それも含めて話したいので…、移動しましょう…。」

「この人、一直線にここに向かってきてたから、場所がバレてるのは本当だと思う!」

「だけど、この人が敵じゃない保証はないわ…。」

「…ロックさん、あなたスキルを奪えるんですってね…?」

「…なぜそれを?」

「…殺人容疑の件と一緒に情報が伝わってきています。
 まだ…上層部の一部の人間だけにですが…。
 …ぼくの、スキルを奪ってもらって大丈夫…です。
 …信じられない…なら。」

「そんなことまでバレてるのか…。
 …そこまで言うなら、ひとまず信じようと思います。
 みんな、それでいい?」

「スキルを晒してまで、この人が私たち相手にどうにかできるとも思えないし…、話を聞きましょう。」

「…その前に、1つ目の伝言を…。

 『ブレスレットを壊して』

 …です。」

「ブレスレットを!?
 なんで!?」

「…それが『発信機』になってる…みたいです。」

「え!?
 発信機!?」

「…はい。」

「ねえ!
 この人の言う通り、たくさん冒険者が近づいてきてるよ!
 どっちにしても移動しなきゃ!」

「よし、壊そう。」

ロックたちは自分たちのブレスレットを破壊することにした。

とはいえ、かなり頑丈な造りで、なかなか壊れない。

結局、ティナの【全能力50%UP】を一時的に借りて、さらにミラのバフをかけたロックによりなんとか壊すことができた。


「行こう。」


そしてファルクに乗り、一行は包囲網を空から抜けた。


「ファルクさんがいてくれてよかった…。
 モンスターなら倒せばいいけど、冒険者に包囲されたらどうしようもないところだったよ。」

バルキアから遠く離れた場所にファルクは降り立った。

そこでレイカの使いという男の話を聞くことになった。


「お話を伺ってもいいですか?」

「…はい。」

「その前に、具合悪そうだけど大丈夫!?」

「…いえ、ぼくはこれが普通…なんです…。」

「あ、そ、そうなの…。
 ごめんなさい…。」

「…大丈夫…です…。
 昔からこうで…、ギルドでも爪弾きにあっていたぼくを…、レイカさんがよくしてくれて…。
 それで…、今回、頼まれたから…。」

「伝言を伝えにきてくれたんですね。」

「…はい…。」

「ありがとうございます…。
 疑ってすみません。
 
 レイカさんの伝言、伺ってもいいですか?」

「…はい。
 まず、1つ目がさっきの『ブレスレットを壊して』…ですが、犯罪を犯して指名手配となった場合に…、発信機になる…そうです。」

「それでギルドに行った時も、準備が整えられてたのね。」

「…はい。
 これは…、極秘情報なので…、誰にも言わないで…、とのことです…。」

「そうだよね。
 知られたら、悪い人はみんな外しちゃう!
 まあ、外せないだろうけど…。」

「…ということは、レイカさんは僕たちは無実だと思ってくれてるんだね。」

「…はい…。
 2つ目ですが…。

 この指名手配は…、バルキアのギルマスの指示だそうです…。」
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