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第四章 世界中が敵
第204話 絶望的
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闇玉が直撃したS級魔族の様子を、ロックたちは固唾を飲んで見つめた。
「やったか……?」
しかし。
「ば、ばかな……!
今の私にこれだけのダメージを与えるとは……!」
S級魔族は生きていた。
大きなダメージは負っているが、瀕死ではない。
むしろ、まだ十分に戦えるだけの余力があった。
削られたHPは半分ほど。
「あの一撃で、あれだけのダメージ…!?」
全員が驚きの色を隠せない。
「【深淵の闇】でも倒しきれないとなると…、厳しいな。
向こうも警戒するだろうから、当てることも難しくなる。」
S級魔族は回復魔法で自身を回復していた。
分裂体が攻撃をしかけるが、闇玉以外の攻撃は一切ダメージを与えられないので、回復を阻むことができない。
「時間を稼ぎましょう。」
ティナが提案する。
「ステータスアップのスキルは時間制限があるし、MPの消費が激しいわ。
あれほどの上昇率なら、2度は使えないはず。
【神の恩寵】スキルを持っていなければ、時間が切れたら向こうに打つ手はなくなるわ。」
「ロックの分裂体に時間制限はないしね!」
「そうだね。
でも、それはあっちもわかってるはず。
なのに、どこか余裕を感じる。
もしかしたら【神の恩寵】を持ってるのかも?」
「時間が経てばわかるが、こっちも【全能力50%UP】が使えなくなるぞ?
そして、ダメージを与えることができないのは変わらない。」
「スキルを奪ってみるよ。
【神の恩寵】を持っていたとしても、ユニークスキルじゃないから奪えるし、斧術のスキルを奪えばかなり攻撃力も落ちる。」
「【深淵の闇】なしで攻撃が通るようになるかどうかは…、賭けね。」
「もしスキルを奪ってもダメージを与えられなければ…、一回撤退しよう。」
「…そうだな。」
「…コノママデハマズイナ…。」
「ああ…。」
【神の恩寵】を持っていない2体の敵は、時間が経てば不利になることを理解していた。
それでもロックの言う通り、焦りはない。
「…アレシカナイナ…。」
「…そうだな。
……死ぬんじゃないぞ?」
「…ゼンショスル…。
…オマエモシヌナヨ…。」
話を終えると、ずっと近くで戦っていた2体は2手に別れた。
「動いたわ!」
「こっちに来るぞ!
気をつけろ!」
オリハルコンゴーレムはロックたちから離れ、逆にS級魔族はすごい勢いでロックたちへ近づいてきた。
分裂体も2手に別れたが、オリハルコンゴーレムには相変わらずダメージが通らない。
一方、S級魔族にはダメージを与えられるようになっていた。
分裂体の攻撃が確実に傷を負わせている。
回復魔法でその傷を癒しながら接近してくるS級魔族。
「守りに特化していたのは、ボスモンスターのスキルだったのか!」
「ダメージが通るS級魔族1体なら、倒せる!
みんなは下がってて!」
ステータスが大幅に強くなっているS級魔族の攻撃は一撃で絶命してしまう可能性もあるため、ロックが相手を買ってでる。
その時、S級魔族の様子がおかしくなった。
正気を失ったような目に、乱雑な動き。
そして……圧倒的な戦闘力の上昇。
「あれは…!
【バーサーカー】!?
みんな!
逃げて!!!」
ロックが叫び、分裂体を最大の25体へと増やす。
そして、自分自身もS級魔族から大きく距離を取る。
オリハルコンゴーレムと5体が戦っているため、S級魔族に20体の分裂体をあてる。
S級魔族が斧を振り回すと、周りにいた分裂体が一斉に吹き飛んだ。
もともとダメージを負っていた分裂体が数体消滅する。
吹き飛んだ分裂体たちがもう一度S級魔族へ向かっていくが、次の一撃で消滅。
20体いた分裂体が一気に7体へと減った。
「な、なんだ!?
あの強さは……!?」
「これじゃ分裂体もすぐにいなくなってしまう…!」
【バーサーカー】では全てのステータスが上昇する。
今のS級魔族のステータスは分裂体の倍以上。
ロックの本体でも相手にならない強さだ。
「スキルを奪うしかない…。」
「でもロック!
あんなスピードで動き回る相手から、スキル奪えるの!?」
「それは……。
でも…、やるしかない…!」
「危険だ。
オリハルコンゴーレムがいないなら、ダメージは与えられるはず。
少しずつでもダメージを与えて【バーサーカー】を解除するべきじゃねえか?」
そう話している間に、分裂体はもう全て倒されていた。
ロックはその直前に分裂体10体を再びS級魔族の周りに配置。
なるべく一度に倒されないようにしながら戦った。
「あの10体が……最後の分裂体だ。」
「やったか……?」
しかし。
「ば、ばかな……!
今の私にこれだけのダメージを与えるとは……!」
S級魔族は生きていた。
大きなダメージは負っているが、瀕死ではない。
むしろ、まだ十分に戦えるだけの余力があった。
削られたHPは半分ほど。
「あの一撃で、あれだけのダメージ…!?」
全員が驚きの色を隠せない。
「【深淵の闇】でも倒しきれないとなると…、厳しいな。
向こうも警戒するだろうから、当てることも難しくなる。」
S級魔族は回復魔法で自身を回復していた。
分裂体が攻撃をしかけるが、闇玉以外の攻撃は一切ダメージを与えられないので、回復を阻むことができない。
「時間を稼ぎましょう。」
ティナが提案する。
「ステータスアップのスキルは時間制限があるし、MPの消費が激しいわ。
あれほどの上昇率なら、2度は使えないはず。
【神の恩寵】スキルを持っていなければ、時間が切れたら向こうに打つ手はなくなるわ。」
「ロックの分裂体に時間制限はないしね!」
「そうだね。
でも、それはあっちもわかってるはず。
なのに、どこか余裕を感じる。
もしかしたら【神の恩寵】を持ってるのかも?」
「時間が経てばわかるが、こっちも【全能力50%UP】が使えなくなるぞ?
そして、ダメージを与えることができないのは変わらない。」
「スキルを奪ってみるよ。
【神の恩寵】を持っていたとしても、ユニークスキルじゃないから奪えるし、斧術のスキルを奪えばかなり攻撃力も落ちる。」
「【深淵の闇】なしで攻撃が通るようになるかどうかは…、賭けね。」
「もしスキルを奪ってもダメージを与えられなければ…、一回撤退しよう。」
「…そうだな。」
「…コノママデハマズイナ…。」
「ああ…。」
【神の恩寵】を持っていない2体の敵は、時間が経てば不利になることを理解していた。
それでもロックの言う通り、焦りはない。
「…アレシカナイナ…。」
「…そうだな。
……死ぬんじゃないぞ?」
「…ゼンショスル…。
…オマエモシヌナヨ…。」
話を終えると、ずっと近くで戦っていた2体は2手に別れた。
「動いたわ!」
「こっちに来るぞ!
気をつけろ!」
オリハルコンゴーレムはロックたちから離れ、逆にS級魔族はすごい勢いでロックたちへ近づいてきた。
分裂体も2手に別れたが、オリハルコンゴーレムには相変わらずダメージが通らない。
一方、S級魔族にはダメージを与えられるようになっていた。
分裂体の攻撃が確実に傷を負わせている。
回復魔法でその傷を癒しながら接近してくるS級魔族。
「守りに特化していたのは、ボスモンスターのスキルだったのか!」
「ダメージが通るS級魔族1体なら、倒せる!
みんなは下がってて!」
ステータスが大幅に強くなっているS級魔族の攻撃は一撃で絶命してしまう可能性もあるため、ロックが相手を買ってでる。
その時、S級魔族の様子がおかしくなった。
正気を失ったような目に、乱雑な動き。
そして……圧倒的な戦闘力の上昇。
「あれは…!
【バーサーカー】!?
みんな!
逃げて!!!」
ロックが叫び、分裂体を最大の25体へと増やす。
そして、自分自身もS級魔族から大きく距離を取る。
オリハルコンゴーレムと5体が戦っているため、S級魔族に20体の分裂体をあてる。
S級魔族が斧を振り回すと、周りにいた分裂体が一斉に吹き飛んだ。
もともとダメージを負っていた分裂体が数体消滅する。
吹き飛んだ分裂体たちがもう一度S級魔族へ向かっていくが、次の一撃で消滅。
20体いた分裂体が一気に7体へと減った。
「な、なんだ!?
あの強さは……!?」
「これじゃ分裂体もすぐにいなくなってしまう…!」
【バーサーカー】では全てのステータスが上昇する。
今のS級魔族のステータスは分裂体の倍以上。
ロックの本体でも相手にならない強さだ。
「スキルを奪うしかない…。」
「でもロック!
あんなスピードで動き回る相手から、スキル奪えるの!?」
「それは……。
でも…、やるしかない…!」
「危険だ。
オリハルコンゴーレムがいないなら、ダメージは与えられるはず。
少しずつでもダメージを与えて【バーサーカー】を解除するべきじゃねえか?」
そう話している間に、分裂体はもう全て倒されていた。
ロックはその直前に分裂体10体を再びS級魔族の周りに配置。
なるべく一度に倒されないようにしながら戦った。
「あの10体が……最後の分裂体だ。」
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