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第五章 最後の決戦
第248話 アルカトル到着
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G級からE級モンスターの群れは、それはそれは膨大な数だった。
バルキア勢は地上のモンスターは攻撃魔法使い、空を飛んでくるモンスターは弓矢使いが中心となって防衛していた。
モンスターより高ランクの冒険者が対応に当たっていたため、一撃でかなりの数のモンスターを倒すことができていた。
A級・B級の攻撃魔法使いは威力よりも範囲を重視した魔法を連発。
【神の恩寵】でMPを回復しながら、余力を持って対応していた。
討ちもらして防衛ラインを超えてしまったモンスターも、街中にスタンバイしていた低ランク冒険者が対処。
バルキアの街への被害や人的被害はまだなかった。
「話に聞いてたよりも、数が少ないねぇ?」
砦の上で、部隊の1つを指示するS級冒険者、ローザがそう呟いた。
その頃ロックたちは、生息域を侵攻するモンスターたちをすごい勢いで間引いていた。
場所を悟られないように、一定間隔で場所を変えながら。
ロックは現在【分裂】により分裂体を最大29体生み出すことができる。
ミラの【大魔術士】のバフにより魔力が上がったからだ。
スキルを使えないとはいえ、1体1体がS級の強さを持つ分裂体。
凄まじい速さでモンスターの数を減らしていく。
ロック本体は空いたスキル枠に【上級攻撃魔法】を入れ、広範囲に強力な魔法を放っている。
攻撃魔法には慣れていないため、ロックの魔力からいうと威力・範囲・消費MPどれもかなり効率が悪いが、しょうがない。
ファルク・デイジー・ハンナの放つ範囲攻撃の[武技]は、その軌道上にいるモンスターを全て葬っていた。
中でもハンナの弓矢による広範囲の[武技]は安定した結果を出していた。
ミラは全員にバフをかけるのはもちろん、特殊魔法で多くのモンスターを状態異常にしていた。
それらのモンスターはあえて倒さず、そのままバルキアに向かわせた。
状態異常により、途中で力尽きたり、同士討ちをしたり、辿り着いても弱った状態で、バルキアに近づくとあっさり倒されていた。
メンバーたちがスキルを思う存分使えるのは、ティナの【神の恩寵】のおかげ。
攻撃スキルがあったら…と思わなくはないティナであったが、自分にできることをしようと前を向いた。
しかし、数万、数十万のモンスターの大群。
いかに低ランクとはいえ、一気に攻めてこられたら被害を0に抑え続けるのは不可能であっただろう。
ところが、敵は一度に侵攻してこなかった。
波のように、幾度にも分けて攻めてくるのだ。
もちろん被害がないことは望ましいことなのだが、読めない意図にロックたちも防衛する冒険者たちも、気持ち悪さを拭えなかった。
モンスターが侵攻を開始した2日後。
アッサールとロヴェルはアルカトルに到着した。
何度も防衛戦に参加しているS級冒険者のアッサールは、当然VIP待遇。
すぐにギルマスとの面会の予定を取り付けた。
アッサールとロヴェルは先に会議室へ。
バンッ!
「アッサール!
一体どうしたんだ!?」
会議室の扉が勢いよく開かれる。
ボルドーにいるはずのアッサールの突然の来訪。
指名手配となっているロックたちが絡んでいるだろうと、他の用事をさっさと切り上げてやってきたのだ。
「…突然すまないな。
…アメリアとセアラは?」
アッサールはギルマスだけでなく、ロックと面識のあるアメリアとセアラも呼んでいた。
現在アルカトルにはセレスタンというバルキアのS級冒険者もいるのだが、まずはロックと共に戦った重要人物とだけ話すべきと判断した。
「あ、ああ、すぐにくるはずだ。
それよりも、『あの件』…だな?」
「…そうだ。
揃ったら話そう。
…それから、サンジャータ国の将軍、ロヴェル氏だ。
同席してもらう。」
ロヴェルがギルマスへ会釈をする。
「お会いしたことはなかったですな。
サンジャータ将軍のロヴェルと申します。」
「アルカトルのギルドマスターをしているゴーガンです。
どうしてサンジャータの…。
いや、それも揃ってから聞いた方が良さそうだな。」
その言葉にアッサールが頷き、ギルマスも椅子に腰を下ろした。
バンッ!
「アッサール!!
何があったの!?」
しばらくして今度はアメリアとセアラが会議室に飛び込んできた。
同じ行動をしたギルマスが苦笑いする。
「…座ってくれ。
…あんたたちが聞きたいと思ってることを…話そう。」
バルキア勢は地上のモンスターは攻撃魔法使い、空を飛んでくるモンスターは弓矢使いが中心となって防衛していた。
モンスターより高ランクの冒険者が対応に当たっていたため、一撃でかなりの数のモンスターを倒すことができていた。
A級・B級の攻撃魔法使いは威力よりも範囲を重視した魔法を連発。
【神の恩寵】でMPを回復しながら、余力を持って対応していた。
討ちもらして防衛ラインを超えてしまったモンスターも、街中にスタンバイしていた低ランク冒険者が対処。
バルキアの街への被害や人的被害はまだなかった。
「話に聞いてたよりも、数が少ないねぇ?」
砦の上で、部隊の1つを指示するS級冒険者、ローザがそう呟いた。
その頃ロックたちは、生息域を侵攻するモンスターたちをすごい勢いで間引いていた。
場所を悟られないように、一定間隔で場所を変えながら。
ロックは現在【分裂】により分裂体を最大29体生み出すことができる。
ミラの【大魔術士】のバフにより魔力が上がったからだ。
スキルを使えないとはいえ、1体1体がS級の強さを持つ分裂体。
凄まじい速さでモンスターの数を減らしていく。
ロック本体は空いたスキル枠に【上級攻撃魔法】を入れ、広範囲に強力な魔法を放っている。
攻撃魔法には慣れていないため、ロックの魔力からいうと威力・範囲・消費MPどれもかなり効率が悪いが、しょうがない。
ファルク・デイジー・ハンナの放つ範囲攻撃の[武技]は、その軌道上にいるモンスターを全て葬っていた。
中でもハンナの弓矢による広範囲の[武技]は安定した結果を出していた。
ミラは全員にバフをかけるのはもちろん、特殊魔法で多くのモンスターを状態異常にしていた。
それらのモンスターはあえて倒さず、そのままバルキアに向かわせた。
状態異常により、途中で力尽きたり、同士討ちをしたり、辿り着いても弱った状態で、バルキアに近づくとあっさり倒されていた。
メンバーたちがスキルを思う存分使えるのは、ティナの【神の恩寵】のおかげ。
攻撃スキルがあったら…と思わなくはないティナであったが、自分にできることをしようと前を向いた。
しかし、数万、数十万のモンスターの大群。
いかに低ランクとはいえ、一気に攻めてこられたら被害を0に抑え続けるのは不可能であっただろう。
ところが、敵は一度に侵攻してこなかった。
波のように、幾度にも分けて攻めてくるのだ。
もちろん被害がないことは望ましいことなのだが、読めない意図にロックたちも防衛する冒険者たちも、気持ち悪さを拭えなかった。
モンスターが侵攻を開始した2日後。
アッサールとロヴェルはアルカトルに到着した。
何度も防衛戦に参加しているS級冒険者のアッサールは、当然VIP待遇。
すぐにギルマスとの面会の予定を取り付けた。
アッサールとロヴェルは先に会議室へ。
バンッ!
「アッサール!
一体どうしたんだ!?」
会議室の扉が勢いよく開かれる。
ボルドーにいるはずのアッサールの突然の来訪。
指名手配となっているロックたちが絡んでいるだろうと、他の用事をさっさと切り上げてやってきたのだ。
「…突然すまないな。
…アメリアとセアラは?」
アッサールはギルマスだけでなく、ロックと面識のあるアメリアとセアラも呼んでいた。
現在アルカトルにはセレスタンというバルキアのS級冒険者もいるのだが、まずはロックと共に戦った重要人物とだけ話すべきと判断した。
「あ、ああ、すぐにくるはずだ。
それよりも、『あの件』…だな?」
「…そうだ。
揃ったら話そう。
…それから、サンジャータ国の将軍、ロヴェル氏だ。
同席してもらう。」
ロヴェルがギルマスへ会釈をする。
「お会いしたことはなかったですな。
サンジャータ将軍のロヴェルと申します。」
「アルカトルのギルドマスターをしているゴーガンです。
どうしてサンジャータの…。
いや、それも揃ってから聞いた方が良さそうだな。」
その言葉にアッサールが頷き、ギルマスも椅子に腰を下ろした。
バンッ!
「アッサール!!
何があったの!?」
しばらくして今度はアメリアとセアラが会議室に飛び込んできた。
同じ行動をしたギルマスが苦笑いする。
「…座ってくれ。
…あんたたちが聞きたいと思ってることを…話そう。」
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