バケモンスター

千田 陽斗(せんだ はると)

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バケモンスター・ワールドへようこそ

白い恐竜人

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 洞窟の奥から、声がする…。複数のモンスターがそこにいるのか。オクターブの低いその声たちは洞窟内部で不協和音として響き合いながら、鼓膜に触ってくる。少年は思わず立ちすくむ。
 立ちすくみながらも、少年の心には恐怖以外の感覚も去来していた。近代人が胸の奥に隠している原初的な衝動の感覚…有り体な言葉で言うなら"野性"といったところか。
 闇が充満した洞穴の奥から、みっつほどのみかん色の光球がこちらへと近づいてくるのを認めた。それは握り拳ほどの大きさでユラユラと揺れていた。
「ああ…」
 少年の首筋に冷や汗が走る。脳と言う名のハードディスクがフリーズして、身体が作動しない。
 その数分間の出来事を彼は永遠のごとく長く感じた。
 スローモーションで眼前に現れたそのシルエットはやはり人の如し。
 しかし違うのは臀部から生えた一メートルほどの尾の存在だ。
 わずかな光量ながらも全身が白みがかっているのが解る。
 まるで図鑑で見た恐竜人のような生き物が三体そろって出てきたのだ。
 手に持ったみかん色の灯りは炎なのか?どのような原理で光っているのか全く理解できなかった。
「ゲパァ!」
 白い恐竜人の一体が大きくクチを開き叫んだ。
 すると残りの二体がくるくると踊りはじめた。
 あっけにとられた少年はその場で尻餅をついた。
「ゲパァ!ゲパァ!」
 踊り続ける恐竜人…。これはいったいなんだろう?
 自分はこれから喰われるのか?あのデカいクチで。それとも?
 15分はその儀式めいた行為が続いただろうか?
 「ゲパァ!」と音頭を取っていた恐竜人の1人がその手に持っていたみかん色の光球を宙に放り投げた。
 光球は放物線を描いて少年の頭に着地した。思わず少年はそれを払い除けようとした。
 火傷すると直感したからだ。
 しかし光球はいくら頭を振っても落ちない。もはや髪の毛が焼けてしまうのでは?
 ふと彼は気づいた。その光の球は決して火のように高温ではなくむしろひんやりとした触感の物体だったのだ。
 三体の恐竜人が少年の周りをぐるぐると走り回る。 
「キュッキュ、キュッキュ」
 甲高いこの声はどういう意味があるのだろう?
 歓迎されているのだろうか?とりあえず身の安全はいちおう保たれたのだし、そう思わないことにはやっていられなかった。
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