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南国に異変あり
文通の日々
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同じバイト先で知り合った二人は夜な夜なチャットルームに入り浸り、マニア談義に勤しんでいた。
さながら速報性の高い文通といった感じだ。
マイコがコンピュータの知識をひけらかしたら、シドが医学の知識で返し、シドが空想の未来社会について語ったならば、マイコがその実現性をシミュレーションするといった具合にチャットは盛り上がった。
ある時は「スシ」と言う食べ物についての話になった。
「スシって結局なんなの?スシがスシであるための最低条件は?」
マイコはスシと言う食べ物を人生のなかで一度も味わったことがなかった。マイコが理解に苦しんだのはスシと言う食べ物のバリエーションの豊富さである。ネタを乗せたもの、巻いたもの、ネタも乗せず巻きもしないもの、そのすべてが同じ「スシ」と言うカテゴリーに入る理由がわからないと言う。
シドは、そもそも「スシ」と言う概念のみを分解しても理解不可能であると言う立場に立った。食文化のあり方は、もっと総合的な文化の違いに規定される。「スシ」を理解したいなら「スシ」と言う食文化が、どのような文化に属するか理解しなければならない。
「スシは、どうやらアメリカの食べ物みたいだね。アメリカの文化で育った者なら皮膚感覚でスシと言う概念を理解できるだろう。僕たちがスシを本気で理解したいなら、スシを育んだ文化に肌で触れてみるべきだろう」
「本当だ。辞書サイトのジニペディアで調べたらそう書いてある。さすがファーストフード王国アメリカね」
「僕もリアルなスシは知らない。僕はスシを理解したくてたまらなくなったよ。ところで新しく出来たスシ屋さん知ってる?」
二人はスシを体験するため現実へ繰り出したのだった。文字情報だけでは味わえない解像度の高いスシ体験が二人の未来を少しだけ変えることになる。
いっぽう、トゥワイオ共和国の北西に位置するシモンズ国では、一人の亡命者のもとにも「文通」を希望する手紙が届いていた。その手紙を開封した亡命者ジギーは、便箋に書かれた差出人の名前を注視したまま考え込んだ。
さながら速報性の高い文通といった感じだ。
マイコがコンピュータの知識をひけらかしたら、シドが医学の知識で返し、シドが空想の未来社会について語ったならば、マイコがその実現性をシミュレーションするといった具合にチャットは盛り上がった。
ある時は「スシ」と言う食べ物についての話になった。
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マイコはスシと言う食べ物を人生のなかで一度も味わったことがなかった。マイコが理解に苦しんだのはスシと言う食べ物のバリエーションの豊富さである。ネタを乗せたもの、巻いたもの、ネタも乗せず巻きもしないもの、そのすべてが同じ「スシ」と言うカテゴリーに入る理由がわからないと言う。
シドは、そもそも「スシ」と言う概念のみを分解しても理解不可能であると言う立場に立った。食文化のあり方は、もっと総合的な文化の違いに規定される。「スシ」を理解したいなら「スシ」と言う食文化が、どのような文化に属するか理解しなければならない。
「スシは、どうやらアメリカの食べ物みたいだね。アメリカの文化で育った者なら皮膚感覚でスシと言う概念を理解できるだろう。僕たちがスシを本気で理解したいなら、スシを育んだ文化に肌で触れてみるべきだろう」
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いっぽう、トゥワイオ共和国の北西に位置するシモンズ国では、一人の亡命者のもとにも「文通」を希望する手紙が届いていた。その手紙を開封した亡命者ジギーは、便箋に書かれた差出人の名前を注視したまま考え込んだ。
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