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コンビニ転生はあるのか?

ハロー!異世界転生研究所へ

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 町のはずれにあるとある空き家。
 
 その古びた扉を開けると、そこは……??

 残念ながら異世界……ではない。

 そこはいつからか異世界転生現象にひかれた、いかれたメンツのたまり場になっていたのだった。
 
 最初にここに目をつけたのは、譲原アメと真田ハレの変わり者女子高生コンビである。

 最近、インターネットには異世界転生にまつわるアヤシイうさわ話がバズっている。

「現実は小説より喜劇なり」

「それを言うなら"現実は小説より奇"なりでしょ。アメちゃんったら、まるで奇々怪々な異世界転生話がおもしろおかしいみたいな言い方!」

 この空き家はアメが住んでる一軒家の真裏に位置していて、四方を垣根と雑草に覆われている。
 アメは小型の風力発電機を自作し、インターネット回線を自宅からここまで勝手に引き延ばし、この空き家を情報収集基地にした。

「わたしはどうしても突き止めたいのよ。異世界転生の謎を!」

 「わたしはアメちゃんに無理やり付き合わされただけなんだけど、でもなんだか楽しくなってきたなー。この空き家は縁側があるのがいいのよね。それから水はどうしてると思う?水道は引いてないわよ」

「正解は冷たい井戸水!ハレちゃんがダウジングで見つけてくれました」

「さてさて、ここまでの異世界転生研究の結果を読者さんにも少しお話ししましょう!お願いハレちゃん!」

「はいはい。まずは異世界転生の定義です。
人が異世界転生するためのほぼ絶対の条件は、死です。異世界転生した人は必ずといっていいほど、現世で命を落とし、新しい世界に新しい姿で生まれ変わります」

「まとめると?」

「一言でいうと異世界転生とは生まれ変わりということになりますね。生まれ変わったら現世には戻れません」

「死あるのみ、怖いですね。ハレちゃん。」

「ところがアメちゃん、異世界転生は必ずしも悪いお話しではないとされています。
異世界転生した人の話とされるものを読むと、転生した人はヒーローになったり、ゆっくりした人生を送ったりしているようです。
なんだか異世界のほうが楽しそう?」

「ところで今回気になる異世界転生話があるんですよねー。異世界の話が現世のインターネットに流れて来るのも不思議ですが」

「そうです。今回掘り下げてみたいのは、コンビニ店長が異世界コンビニ店長に転生したというお話しです。異世界でも同じ職業って。しかも異世界のコンビニはとてもたのしいみたいです」

「しかも、この転生された店長さんが働いていたコンビニが、わたしとハレちゃんが住むこの町にあったということで、がっつり現地調査したいと思います」
 
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