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コンビニ転生はあるのか?

なぞのノート

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 後日、アメとハレは学校で気まずい思いをすることになる。 

 なんとイナゴはアメたちと同学年で、隣のクラスだったのだ。

 廊下でふたりとすれ違ったイナゴは表情のない顔で二人を見やった。
 
 イナゴはすれ違い様にふたりにノートを手渡した
「これが手元になければもっと将来のことに集中できるんだ。やるよ」

 かくしてアメとハレは、イナゴからなぞのノートを託されることとなったのだ。
 しかも四冊も。

「ぷぷぷ」
「笑っちゃかわいそうよ、アメちゃん」

 イナゴから託されたなぞのノートの表紙には彼が描いたと思われるお世辞にもうまくはないアニメ風なキャラの絵があって、えもいわれぬ雰囲気を漂わせていた。

 

「このなぞのノートは研究所に持ち帰って十分に調べる必要がありそうですね。ハレさん」

 この段階では、アメとハレの興味はあくまで、なぜ死者が異世界に転生できるのか、その原理にあった。
 例のコンビニ店長がなぜ亡くなったのかというところまでは頭が回らなかった。

ふたりは午後の授業をサボタージュして、学校の裏手の日陰になっている場所で駄弁りだした。

「そういえばリンカーネーションという考えがあるって、テルミ姉さんがLINEで教えてくれたよ」 
 
「ハレちゃんは羨ましいな。そういうの教えてくれる先輩がいてさ。で、そのリンカーなんとかってなに?」

「順をおって説明するね。転生っていう考え方自体は遥か昔からあって、有名どころだと仏教だよね。こういうのは、基本的に魂はぐるぐると色んな世界を回っているだけ。輪廻転生なんて言い方もするよね」   

「うんうん」 

「この場合は、このぐるぐるがただ永遠に繰り返されると考えられます。このぐるぐるは苦だとされます」

「だってひたすら、ぐるぐるしてるだけだもん。飽きるし、新しい展開がほしいよ」  

「一九世紀のヨーロッパでは、アメちゃんみたいな考えが出て来ます。魂は転生をへて進化するのではないかという考えです。これがリンカーネーション」

「転生した魂の進化!そしてヨーロッパ!これは?」  

「そうリンカーネーションは、私たちが追いかけてる異世界転生現象ににてませんか?」
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