スカイ・ディストーション

千田 陽斗(せんだ はると)

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サイバー魔法使い

パンダこわい

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 パンダ園がある惑星ウエノへの道中、会話は弾んだ。
 イワオはタバコ飴を口に放り込んだ。
「もしもだ。俺たちのふるさとがもっと荒廃していたら?」
「荒廃だって。キメラのせいでだいぶ荒れたが?」
 シロップは船内をうろうろしている。この宇宙船が宇宙を翔ぶのははじめてなのだ。不具合がないか常に確認して回っている。
「キメラの発生は一時的なアクシデント。俺たちのふるさと惑星は豊かな資源に恵まれている。」
「そうか。侵略目的か」
 イワオの憶測に促されシロップはうなずく。
 宇宙船のレーダーが港からの信号を受信した。
「もうすぐ着くな」

 惑星ウエノの宇宙船港に着いた時から、天候は不順、行き交う人の群れは誰も無言だった。
 携帯電話にメールが入った。 
「ギーク師匠がマップを送ってくれたぞ」
 シロップはにやにやした。ギーク師匠に心酔しているからだ。
「俺たちはキメラを探し続けるべきか、否かそれが問題だ」
 イワオはバスに乗り込むなりそう呟いた。
「サイバーメロンの今後にも関わる。ギーク師匠のアドバイスをしっかり聞こう」

 宿泊室つきの巨大キャンピングバスで四五時間、ふたりはようやくパンダ園にたどり着いた。
 ギーク師匠は二人を快く歓迎した。
「ここにいるパンダは宇宙パンダじゃ」
 イワオとシロップははじめて観るパンダの姿におっかなびっくり。
「あんな白黒で丸くて、のっそりしているなんて、恐ろしすぎるぜ」
「ああ笹の葉を食べるなんて凶暴じゃないか」
 師匠は笑った。
「パンダのなかでも宇宙パンダは人間にいちばんなつくのじゃぞ」
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