スカイ・ディストーション

千田 陽斗(せんだ はると)

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テクノロジー独裁、痛み回路

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 思えばあの日から、歴史の対流は始まっていたのかもしれない。ふつふつと沸き立つマグマのように、いつかは旧い時代を押し流し、融かしながら…新しい秩序を築く。 
 
「進化した人工知能がやがて人を統べるだろう…」
 技術の進歩と言うものは何を意味するのだろう?人間と言うものが不合理と知りながら続けてきた営みのすべての根拠のなさを暴くものなのだろうか?
 冠婚葬祭、出会い別れ、儀礼的なものは技術により簡略化され、その重さは消えた。 
 あとに残ったのは生存戦略だけに長けた疑心暗鬼のヒトの群れだった。
 暴力性は先祖帰り、そして人工知能による統治機構、リヴァイアサンシステムが開発された。
 ホッブスのリヴァイアサンよろしく、自然状態の闘争を暴力技術で抑えるものだ。
 人々にはもはや、「理性」を学習する機会はない。出生したすべての人間の脳に「痛み回路」を埋め込む。この「痛み回路」は権力が恣意的に定めた条件下で作動して、人体に痛みを生じさせる。
 たとえば犯罪や独占行為、権力主体を疑う行為などの行動を取ったら、回路が作動する仕掛け。
 これにより、暴力性は抑えられ新たな秩序が誕生した。教育コストも下がった。
 テクノロジー独裁の台頭である。
 しかし、この痛み回路をもってしても制御出来ない種類の人間がひそかに生まれつつあった。
「痛くても主体的に生きる」
 たとえば破壊ハッカーと呼ばれる存在がそれにあたる。
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