虹のアジール ~ある姉妹の惑星移住物語~

千田 陽斗(せんだ はると)

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赤道直下のドタバタ

革命家と観察者

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 南国の居住区である陽は、ドームでおおわれてはいるが、中に熱がこもらないようにさまざまな工夫がされている。

 ミラグロスは、陽のサイバーパトロール隊の隊員で、もうすぐ到着するヤミとヒカリを出迎えることになっている。
 ミラグロスは組織のなかではまだ若く、さほど出世こそしてはいないがリーダー的気質の片鱗をのぞかせる、そんな人物だ。
 彼女のまわりにはほどよい緊張感が常に張りめぐっている。
 モデスタはミラグロスの仕事上のパートナーである。
 モデスタはミラグロスとランチをともにした。そして大胆なことを聞いた。
 おっとりしているようで、その物言いはあんがいストレート、それがモデスタなのだ。
「もしですよ。ミラグロスさんがこの居住区のリーダーになるようなことがあったらいかがしますか」
「いかがも何も、わたしは二七だし、一介のパトロール人員にすぎぬ。そのような大それたこと等……」
 ミラグロスのなかには革命家が住まう。優れた観察者であるモデスタはそれを見抜いていた。
「わたしたち移住者は地球に飽き飽きしてこんな星まで来ました。そして新たな共同体を作り出そうとしています」 
 モデスタは勿体ぶった感じでミラグロスの本音に迫ろうとした。
「そう。愚かな人類は民主主義社会をコントロールさえできない。地球はいやな問題の吹きだまりになった。うんざりした我々は機械に政治を任せることにしたが……」
「陽も蒼も虹も機械政治体制です。しかし虹はひどいですよね。政治は完全に機械まかせだとか」 
「ああ、虹は機械が考えた食糧計画、エネルギー計画を完全に信じて運営してるのだろう。虫を食うのはまだいいとして効率重視の味のない食事は勘弁だな。ならば芋虫の活きづくりのほうがましさ」
「やはりそのような体制は否定なさいますか」
「うまくやればいいのさ。機械なんざ道具。機械がなんと言おうが最後に決めるのは人間だ。陽はそこんとこうまくやっているさ。虹と違い陽は人間の政治家もいる」
 モデスタは内心で思う。この人が政治的なリーダーならば虹も含めこの惑星ぜんたいで地球が果たしえなかった理想を実現できるのでは。
 そしてランチを済ませたふたりはヤミとヒカリを出迎えるために港に向かった。
「ヤミとヒカリか。せっかくだから味気ない虹ではお目にかかれないものをたっぷり見せてやりたいものだ」  
 ミラグロスはわくわくしていた。
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