虹のアジール ~ある姉妹の惑星移住物語~

千田 陽斗(せんだ はると)

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惑星動乱

バトルアーマーVSバトルアーマー

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「バ、バトルアーマーだと?」
「バトルアーマーはお互い様だろう。救世主気取りのちびカルトちゃん」
 なんと!姿をあらわしまのは、チョコにいちばんにその命を狙われているはずのカクタ・タナエその人だった。
「そうだ、おチョコちゃん。もう一人のお仲間も捕まえたよ」 
 カクタは親指で後方を指差した。
 後ろ手で縛られたモデスタをヒカリと数名のサイバーパトロールが連れてきた。 
 ヒカリは、サーバ室のコンピュータからビルのサイバーセキュリティーシステムをダウンさせようとしていたモデスタを回線を逆探知して発見していたのだ。
 姉の姿を見たヤミは憑き物が落ちたように力が抜けた。ガマズミの巨体はあっと言う間に萎み、飲み込まれたネオンたちの身体は投げ出された。彼らの命に別状はなかった。ブラックホールも光に打ち消されたようにいつの間にか消えていた。
「あ!ヤミちゃん!」 
 ヤミは急に意識をなくして倒れこみそうになる。その身体をヒカリが抱きとめた。
「ヒカリにヤミ、よくやった。下がりたまえ」
 最高権力者カクタ・タナエが英雄ナポレオンでも気取るように偉そうに二人に命じた。
 つづいてカクタはチョコをまっすぐ見た。
「君は私のオフレコ発言を聞いて、吊るしてやるだとかほざいたそうだね。捕まえた君の仲間たちから聞き出したよ。いずれにせよ君のカルト仲間は全部捕まえた。大人しく降伏しなさい!」
 コンピュータ付ブルドーザの異名を持つカクタの巨体は威圧的な雰囲気を放つ。
 チョコは、なにもかもが自分の計算外に展開するためにキレそうになっていた。
 そして彼女はモデスタたちには禁じていたはずの甘いお菓子をバッグから取り出してバクバクと食べた。
 その姿を見たモデスタのなかで何かが崩れた。
「アー!アー!」
 お菓子を食べ散らかすとチョコは言葉ではない言葉を叫びながら、まるで反抗児のように腕を振り回してカクタにかかっていった。
 ガシーン!
 ギガステンレス製のバトルアーマーを纏った両者が組み合った。
「ほれ!おちびちゃん!無駄な抵抗はよしたまえ」
「おちびちゃんじゃないもん!」
 両者の力は拮抗していた。パンチ、キック、そして言葉を打ち合う二人。
「お行儀よくしなさい!」
「やだ!」
「お菓子が散らかるだろう。しまいなさい!」
「やだ!チョコ、お菓子ガマンしたくない!」

 カクタとチョコのバトルを観戦するヒカリは「親子か」と心のなかで突っ込んだ。
「ヒカリさん、今のうちに倒れてる人を医務室に運びます。ヤミさんも」 
 サイバーパトロールの一人がヒカリに告げた。
 負傷した兵たちとともにヒカリたちは医務室へ向かった。

「チョコ!君は最後の一人だ。観念なさい!」
 カクタの重いパンチを受けながら、チョコはニヤリ笑った。
「何がおかしいんだ?」
「私はまだ一人じゃない」
 チョコはとつぜん攻撃をやめて窓辺まで逃げた。そして窓を蹴破ると、宙に浮く靴のジェット機能をオンにするとそこから空を飛んで逃げた。
 ある一言を残して。
「虹のアジール」
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