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惑星動乱
テロリストの目にも涙?
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チョコとヒカリは、虹の東地区へ。
「ここ東地区は将来人口が増えたときのために土地を余分に確保しているだけで、まだ開発されていない」
「ほんといつになったら開発されるのやら」
朽ちたプレハブ小屋の手前にベンチがあった。
二人は腰掛けた。
「これ美味しいよ」
ヒカリはチョコに炭酸飲料を手渡した。あの水の都から輸入したおいしいサイダーだ。
チョコは無言でそれを受け取ると、こんどはヒカリに鍵のようなものを渡した。
「これは?」
「……レーゲンボーゲンのロックを解除できる鍵です。それを使えば堅牢なシステムもコントロールできるでしょう」
チョコの目が左右に一回ずつ泳いだ。
「ありがとうチョコちゃん。まさかあのシステムの鍵が電子ロックではなく物理的なロックだとは思わなかったけど」
「天才プログラマーの私が言うのも変ですが、複雑すぎると混乱します。テクノロジーも突き詰めるとシンプルなものになります。人間もミスをするけど、一万年まえから社会も脳も複雑だからです……」
「うんうん。体を動かしたり歌ったり。人間ならそういうのが楽しいよ」
「私が目指したのは、そういうのとは真逆なんですが……」
チョコは口を一文字に結ぶとヒカリの顔をじっと見た。
「ヒカリ、あなたは私を疑わないの?」
「え?」
チョコは懐から黒光りする棒状のものを取り出してみせた。
「これ、わかる?」
「え?なにかな。真っ黒だけど艶があって美しいわね。チョコちゃんの宝物?」
チョコがヒカリに見せたのは刃渡りが六センチほどの刃の真っ黒なナイフだった。
「これは黒曜石のナイフ。もっとも切れ味が鋭い刃物とも言われているわ」
ヒカリは素直に感心してみせた。それを伝えようとチョコの目を見たとき、はじめて彼女の迷いに気づいた。
「ヒカリは優しいね。まるで母のように包容力がある」
「チョコちゃん。そんなことないよ。どうしたの?」
「鍵をあえて渡したのは油断させるため。いくらでもこのナイフであなたを切りつける隙が出来たはずなのに……。あなたに鍵を預けたとたん不思議と荷が降りたような気分になってしまった。本当は私、あなたを殺しにきたのよ。自首するとか言ったけどあれは全部ウソ。真の計画があるの。今さら諦めるわけにいかないじゃない!なのに……」
「チョコちゃん。話してくれてありがとう。私があなたならすべての荷物をいったんおろすと思うけど、すべてはあなた次第よ」
ヒカリのアルカイックスマイルを浮かべているように見えた。チョコの目から凍りついた感情が溶けて流れ出た。
その時だった。
「チョコよ!お前、テロリストの風上にも置けんやつだな。今さら自首でもするか?自首したらどうせ見せしめに死刑にされるだけだぞ!」
その声はチョコを硬直させた。
「ノリオさん!」
「ここ東地区は将来人口が増えたときのために土地を余分に確保しているだけで、まだ開発されていない」
「ほんといつになったら開発されるのやら」
朽ちたプレハブ小屋の手前にベンチがあった。
二人は腰掛けた。
「これ美味しいよ」
ヒカリはチョコに炭酸飲料を手渡した。あの水の都から輸入したおいしいサイダーだ。
チョコは無言でそれを受け取ると、こんどはヒカリに鍵のようなものを渡した。
「これは?」
「……レーゲンボーゲンのロックを解除できる鍵です。それを使えば堅牢なシステムもコントロールできるでしょう」
チョコの目が左右に一回ずつ泳いだ。
「ありがとうチョコちゃん。まさかあのシステムの鍵が電子ロックではなく物理的なロックだとは思わなかったけど」
「天才プログラマーの私が言うのも変ですが、複雑すぎると混乱します。テクノロジーも突き詰めるとシンプルなものになります。人間もミスをするけど、一万年まえから社会も脳も複雑だからです……」
「うんうん。体を動かしたり歌ったり。人間ならそういうのが楽しいよ」
「私が目指したのは、そういうのとは真逆なんですが……」
チョコは口を一文字に結ぶとヒカリの顔をじっと見た。
「ヒカリ、あなたは私を疑わないの?」
「え?」
チョコは懐から黒光りする棒状のものを取り出してみせた。
「これ、わかる?」
「え?なにかな。真っ黒だけど艶があって美しいわね。チョコちゃんの宝物?」
チョコがヒカリに見せたのは刃渡りが六センチほどの刃の真っ黒なナイフだった。
「これは黒曜石のナイフ。もっとも切れ味が鋭い刃物とも言われているわ」
ヒカリは素直に感心してみせた。それを伝えようとチョコの目を見たとき、はじめて彼女の迷いに気づいた。
「ヒカリは優しいね。まるで母のように包容力がある」
「チョコちゃん。そんなことないよ。どうしたの?」
「鍵をあえて渡したのは油断させるため。いくらでもこのナイフであなたを切りつける隙が出来たはずなのに……。あなたに鍵を預けたとたん不思議と荷が降りたような気分になってしまった。本当は私、あなたを殺しにきたのよ。自首するとか言ったけどあれは全部ウソ。真の計画があるの。今さら諦めるわけにいかないじゃない!なのに……」
「チョコちゃん。話してくれてありがとう。私があなたならすべての荷物をいったんおろすと思うけど、すべてはあなた次第よ」
ヒカリのアルカイックスマイルを浮かべているように見えた。チョコの目から凍りついた感情が溶けて流れ出た。
その時だった。
「チョコよ!お前、テロリストの風上にも置けんやつだな。今さら自首でもするか?自首したらどうせ見せしめに死刑にされるだけだぞ!」
その声はチョコを硬直させた。
「ノリオさん!」
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