虹のアジール ~ある姉妹の惑星移住物語~

千田 陽斗(せんだ はると)

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後日談

黒い流れ星

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 晴れて自由の身になったミラグロスは、ゴメスとルビィが中心になって結成した政治結社のパーティに出席するためにローバーを駆っていた。
 外界の情報から遮断されたミラグロスはウラシマ状態で、その後の変化をなにも知らなかった。
 ただ旧い友たちとの再会に胸を膨らませていた。 
 
 黒い流れ星がいくつも墜ちた。
 それは、月に身を潜めていたノリオとチョコが率いる兵隊たちが乗り込んだ小型宇宙船だった。
 兵隊の数は四十人ほどと多くはなかったが、彼らの胸に宿した憎悪の炎は燃えたぎっていた。
 ノリオとチョコを抜きにこの惑星の秩序が再編されていくのは、彼らには耐えがたいものがあったのだ。

「い、いかん」 
 ミラグロスが水の都付近を通過しようとした時には、すでに居住区内における小競り合いが起きていた。 
 ドラゴンの兵たちが憎悪の兵たちからヤミとキュリオ博士を守ってくれる。
 水の都の異変に気づき飛び込んだミラグロスはヤミと再会することができたが、緊急事態のためわずかな情報しか得られなかった。 
 キュリオ博士は一連の首謀者であり実の兄であるノリオとの通信に成功していた。
「兄さん、頼むから、こんなことは、もうやめてくれ」
 モニターの荒い画像のなかで神経質な首謀者が嗤う。
「フフ、お前みたいに安泰な人生を歩んできたやつにはわからないのサ。俺みたいな屈折した天才の気持ちなんか!」
「たしかに、ある方面ではあなたは才能があったかもしれない。でも人間性に問題ありとされて研究所を追放されるなんて、あんたどうかしているぞ」
 そう、ノリオとキュリオは幼い頃から科学の成績に優れた兄弟として知られていて、二人揃ってのノーベル賞受賞まで期待されていたのだ。
「兄さん、あんたはあんたの中のマッドサイエンテストを御し得なかったのだ!よりによって生命倫理を踏みにじる実験を繰り返すなんて!」
「ノーベル平和賞?ノーベルだって殺人爆弾を作っただろう?それが科学の発展のシンプルな真理だ。俺はただ新しいステージを用意するだけ」 
「ちがう!ノーベルは彼が作ったダイナマイトが兵器に利用されてしまったから平和賞と基金を作ったんだ。そんなことも理解できないのか?」
「もういい!お前とはこれ以上話すことはない!」
 ノリオは一方的に通信を切った。
 ノリオ、彼は科学者として正道を歩むことができず、世間を恨んでいた。
 世間を倫理を尊重せず、彼は命を複製したり、禁忌のエネルギーをいたずらに増殖した。そして新しいこの惑星で理想郷を築くべく、虹をつくり優秀なチョコを洗脳し、暗躍してきたのだった。
 しかし彼の目論見は悉く失敗に終わり、隅に追いやられる結果になった。
 はっきり言ってノリオはこの段階で目的をなくしていた。今回の襲撃も行き当たりばったりだった。
 彼の兵隊が、チョコが、キュリオたちに復讐せんとして迫ってきていた。
 
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