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後日談
最終話 ブラックホールに消える
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「ヤミ!危ない!」
ガマズミを抱えながら、とぼとぼ歩くヤミの耳にミラグロスの声が飛び込む。
「!」
彼女をかばうミラグロスの長身に視界が塞がれる。
気づくと眼前には暗い怨念にとらわれた怪物が立っている。
「チョコちゃん!」
「ギャー!ギャー!」
二人に向かってチョコは叫んだ。
「こやつの狙いは私やヤミなどのバグスター騒ぎやテロ事件を知ってるものみたいだ。復讐がしたくて暴れているようだな」
「そんなチョコちゃん。落ち着いてよ」
「ギャー!」
ミラグロスはサーベルを構え直した。
そして彼女はヤミを下がらせた。
ヤミにはもはやチョコと戦う気がないのを、気配から察していた。
チョコはダークエネルギーを実体化して剣状の武器を作り出した。そしてミラグロスを睨み付けた。
「ギャー!」
「フッ、あくまで戦う気か。ならば受けて立とう」
「ミラグロスさん。無謀よ。彼女の様子は尋常じゃないわ。きっと人間離れしたパワーだわ」
「そうだな、ヤミよ。でも算段はあるさ」
チョコが真っ黒な刃を振るうと、かまいたちが発生して周囲の電柱が何本か切断された。
命辛々でチョコの超絶な攻撃を交わしながら、ミラグロスは観察した。
「フフ、やはりな……」
チョコの両腕が伸びてムチのようにしなり、地面を打ち付け、それ自体を陥没させる。
「今だ」
自分で起こした振動に足元の自由を奪われチョコの動きが止まり、ミラグロスは背後から羽交い締めにした。
「こやつのパワーは確かに凄まじいが、そのパワーが心身に負担をかけるのだろう。スタミナ切れを起こしたようだな。さて生け捕りにでもしてやろうか」
「ギャー!ギャー!」
パワーを一気に放出して抵抗力をなくしたチョコが暴れようとする。
チョコの懐から猫目石が落ちる。
「アッ、あれは私がお姉ちゃんにあげた……」
「ヤミ、なんだ?ヒカリのことか?そうだ、チョコを引き渡したらヒカリにも……」
「お姉ちゃんは、もうこの世には」
ミラグロスは第六感的に事情を悟った。
「チョコ!まさか貴様、ヒカリを?!」
ミラグロスはチョコの身体を乱暴に突き飛ばした。
そして再びサーベルを取ると、チョコに向けた。
「ギャー!」
チョコも力を振り絞り左手を刃に変形させて向かってきた。
お互いの心臓を貫きあって、ミラグロスとチョコは果てた。
ミラグロスとチョコが果てた場にはヤミが作ったと思われる墓が二つ残った。
それからヤミとガマズミの姿を見た者は誰もいなかった。
ジャックとキュリオ博士も、弔い合戦を演じていた。
月に身を潜めるノリオの研究所に二人は殴り込みをかけた。
研究所にはノリオを守るために雇われた洗脳兵がいて、乱戦になった。
「い、いかん。ダークマター保管庫が隣にあるのに発砲なんかしちゃ……!」 ビームライフルが乱射されるなかで、保管されていたダークマターのエネルギーが解放されてしまい、直径五〇メートルほどのブラックホールが出現した。
「わー!」
ノリオ、キュリオ、洗脳兵たちはブラックホールに飲み込まれ、現宇宙における存在は消失してしまった。
ジャックもその存在を定義づけるものをほぼ失った。
ジャックは自分が闇に消えるなかで小さな光を感じた。
「ヒカリ、すまん。君との約束を守れなかった。俺は復讐の鬼になってこんなザマさ」
それから永遠のような長い時間が流れた気がした。
「おお、見えるぞ、感じるぞ」
微睡むような暗闇のなか、唯一残されたジャックの意識には時空を越えてある惑星における人々の営みが伝わってくる。
虹、陽、水の都、ドラゴン人間との共存。課題は山積みだが人々が喜怒哀楽に涙したり汗を流して、自由に素敵なものを作り出そうといているように見えた。
「おお、宇宙の闇の中に虹色の光が見える、見えるよ」
終わり
ガマズミを抱えながら、とぼとぼ歩くヤミの耳にミラグロスの声が飛び込む。
「!」
彼女をかばうミラグロスの長身に視界が塞がれる。
気づくと眼前には暗い怨念にとらわれた怪物が立っている。
「チョコちゃん!」
「ギャー!ギャー!」
二人に向かってチョコは叫んだ。
「こやつの狙いは私やヤミなどのバグスター騒ぎやテロ事件を知ってるものみたいだ。復讐がしたくて暴れているようだな」
「そんなチョコちゃん。落ち着いてよ」
「ギャー!」
ミラグロスはサーベルを構え直した。
そして彼女はヤミを下がらせた。
ヤミにはもはやチョコと戦う気がないのを、気配から察していた。
チョコはダークエネルギーを実体化して剣状の武器を作り出した。そしてミラグロスを睨み付けた。
「ギャー!」
「フッ、あくまで戦う気か。ならば受けて立とう」
「ミラグロスさん。無謀よ。彼女の様子は尋常じゃないわ。きっと人間離れしたパワーだわ」
「そうだな、ヤミよ。でも算段はあるさ」
チョコが真っ黒な刃を振るうと、かまいたちが発生して周囲の電柱が何本か切断された。
命辛々でチョコの超絶な攻撃を交わしながら、ミラグロスは観察した。
「フフ、やはりな……」
チョコの両腕が伸びてムチのようにしなり、地面を打ち付け、それ自体を陥没させる。
「今だ」
自分で起こした振動に足元の自由を奪われチョコの動きが止まり、ミラグロスは背後から羽交い締めにした。
「こやつのパワーは確かに凄まじいが、そのパワーが心身に負担をかけるのだろう。スタミナ切れを起こしたようだな。さて生け捕りにでもしてやろうか」
「ギャー!ギャー!」
パワーを一気に放出して抵抗力をなくしたチョコが暴れようとする。
チョコの懐から猫目石が落ちる。
「アッ、あれは私がお姉ちゃんにあげた……」
「ヤミ、なんだ?ヒカリのことか?そうだ、チョコを引き渡したらヒカリにも……」
「お姉ちゃんは、もうこの世には」
ミラグロスは第六感的に事情を悟った。
「チョコ!まさか貴様、ヒカリを?!」
ミラグロスはチョコの身体を乱暴に突き飛ばした。
そして再びサーベルを取ると、チョコに向けた。
「ギャー!」
チョコも力を振り絞り左手を刃に変形させて向かってきた。
お互いの心臓を貫きあって、ミラグロスとチョコは果てた。
ミラグロスとチョコが果てた場にはヤミが作ったと思われる墓が二つ残った。
それからヤミとガマズミの姿を見た者は誰もいなかった。
ジャックとキュリオ博士も、弔い合戦を演じていた。
月に身を潜めるノリオの研究所に二人は殴り込みをかけた。
研究所にはノリオを守るために雇われた洗脳兵がいて、乱戦になった。
「い、いかん。ダークマター保管庫が隣にあるのに発砲なんかしちゃ……!」 ビームライフルが乱射されるなかで、保管されていたダークマターのエネルギーが解放されてしまい、直径五〇メートルほどのブラックホールが出現した。
「わー!」
ノリオ、キュリオ、洗脳兵たちはブラックホールに飲み込まれ、現宇宙における存在は消失してしまった。
ジャックもその存在を定義づけるものをほぼ失った。
ジャックは自分が闇に消えるなかで小さな光を感じた。
「ヒカリ、すまん。君との約束を守れなかった。俺は復讐の鬼になってこんなザマさ」
それから永遠のような長い時間が流れた気がした。
「おお、見えるぞ、感じるぞ」
微睡むような暗闇のなか、唯一残されたジャックの意識には時空を越えてある惑星における人々の営みが伝わってくる。
虹、陽、水の都、ドラゴン人間との共存。課題は山積みだが人々が喜怒哀楽に涙したり汗を流して、自由に素敵なものを作り出そうといているように見えた。
「おお、宇宙の闇の中に虹色の光が見える、見えるよ」
終わり
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