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迷路
このゼイタク者
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「取材ですかー。事前に言ってくだされば、こちらもいろいろと用意してたんですけど」
「いや、この街コン自体の取材なら同じ邦東の他の記者がしてますよ。ま、ベタ記事ぐらいにはなるでしょう。私が密着取材したいのは他ならぬあなたですよ」
唐突な取材依頼に七男は目を丸くした。
羊子はいままちづくりにテーマを絞って独自取材を重ねているという。
彼女が街コンへ参加したきっかけは友人に誘われたからだったが、なにか面白い切り口がつかめそうな気がして参加者としてこの街コンを観察してみたのだった。
そして早くも主催者と会話するきっかけを見つけたというわけだ。
「え、えーと、それならランチ食べながらでもいいですか?今日はこのあと、いろいろと挨拶回りとかもあるので」
「はい。では楽しみにしてます」
七男は羊子に待ち合わせ場所と時間を告げると空になった炭酸飲料の缶をゴミ箱に捨てて立ち去った。
一時間半ほどして、羊子を誘ってくれた友人であるアミとトモミとスズがいったん休憩にし戻ってきた。
「羊子~、いいの?せっかく景品&男がゲットできるかもしれないのに」
アミはすでに半分ものスタンプをカードに押してもらってほくほく顔だ。
「私はなかなかスタンプたまらなくてさ、私とペアの男性と両方とも方向音痴で踏んだり蹴ったりよ。でもこの参加費でお昼はビュッフェだなんてお得よね」
"おっちょこちょい"と"ゲンキン"を足して二で割ったというものを絵に書いたようなトモミは早くも食事が気になるようだ。
「私なんか男性とじゃなくて女の子同士でペア組んじゃったけど大丈夫かな?」
「スズ、大丈夫よ。パンフにはペアは男女に限るなんて書いてないから。多様性よ、多様性」
「そう、誰ともペアを組まずゲームを傍観してる人もいるくらいだし、ホント多様性ってステキだワ」
「はいはい、アミの男性遍歴も多様性に満ち溢れていてステキですことよ」
女性たちの多様性談義に着信音が割り込んだ。
羊子の携帯の着信音が鳴ったのだ。
「はい。あ、時間の変更ですか?大丈夫ですよ。三〇分遅れて行けばいいんですね。わかりましたー」
羊子が友人たちに昼は待ち合わせしてるからと説明する。すかさずアミが質問する。
「羊子?今の電話の相手って男?」
「まあ、性別学的には男性、だったと思う。確かめてないけど。その人とは、さっきここで会ってお昼をご一緒することにしたの」
「ワオ!それってデートじゃん」
「アミさん。その見方はステレオタイプですよ。言ったでしょ。今日は仕事のネタを探しにわざわざ参加者として潜入したのです」
「自分からそのイケメンに取材申し込んだんでしょ?逆ナンみたいなもんじゃん」
「顔も見てないのにイケメンとな。でも私は彼にはときめいてないなー。まちづくりの現場の一人だなって感じですけど」
アミは口をアヒルみたいにとがらせてみせた。
「もー。私みたいな事務作業してる人にはそんな出会いなかなかないんだよー。だから街コンとかに賭けてるんじゃん。羊子のゼイタク者ー」
そのゼイタク者は、他の参加者とビュッフェを共にすることなく、隠れ家的名店と言われる定食屋でこの街コンの主催者と会食をした。
「いや、この街コン自体の取材なら同じ邦東の他の記者がしてますよ。ま、ベタ記事ぐらいにはなるでしょう。私が密着取材したいのは他ならぬあなたですよ」
唐突な取材依頼に七男は目を丸くした。
羊子はいままちづくりにテーマを絞って独自取材を重ねているという。
彼女が街コンへ参加したきっかけは友人に誘われたからだったが、なにか面白い切り口がつかめそうな気がして参加者としてこの街コンを観察してみたのだった。
そして早くも主催者と会話するきっかけを見つけたというわけだ。
「え、えーと、それならランチ食べながらでもいいですか?今日はこのあと、いろいろと挨拶回りとかもあるので」
「はい。では楽しみにしてます」
七男は羊子に待ち合わせ場所と時間を告げると空になった炭酸飲料の缶をゴミ箱に捨てて立ち去った。
一時間半ほどして、羊子を誘ってくれた友人であるアミとトモミとスズがいったん休憩にし戻ってきた。
「羊子~、いいの?せっかく景品&男がゲットできるかもしれないのに」
アミはすでに半分ものスタンプをカードに押してもらってほくほく顔だ。
「私はなかなかスタンプたまらなくてさ、私とペアの男性と両方とも方向音痴で踏んだり蹴ったりよ。でもこの参加費でお昼はビュッフェだなんてお得よね」
"おっちょこちょい"と"ゲンキン"を足して二で割ったというものを絵に書いたようなトモミは早くも食事が気になるようだ。
「私なんか男性とじゃなくて女の子同士でペア組んじゃったけど大丈夫かな?」
「スズ、大丈夫よ。パンフにはペアは男女に限るなんて書いてないから。多様性よ、多様性」
「そう、誰ともペアを組まずゲームを傍観してる人もいるくらいだし、ホント多様性ってステキだワ」
「はいはい、アミの男性遍歴も多様性に満ち溢れていてステキですことよ」
女性たちの多様性談義に着信音が割り込んだ。
羊子の携帯の着信音が鳴ったのだ。
「はい。あ、時間の変更ですか?大丈夫ですよ。三〇分遅れて行けばいいんですね。わかりましたー」
羊子が友人たちに昼は待ち合わせしてるからと説明する。すかさずアミが質問する。
「羊子?今の電話の相手って男?」
「まあ、性別学的には男性、だったと思う。確かめてないけど。その人とは、さっきここで会ってお昼をご一緒することにしたの」
「ワオ!それってデートじゃん」
「アミさん。その見方はステレオタイプですよ。言ったでしょ。今日は仕事のネタを探しにわざわざ参加者として潜入したのです」
「自分からそのイケメンに取材申し込んだんでしょ?逆ナンみたいなもんじゃん」
「顔も見てないのにイケメンとな。でも私は彼にはときめいてないなー。まちづくりの現場の一人だなって感じですけど」
アミは口をアヒルみたいにとがらせてみせた。
「もー。私みたいな事務作業してる人にはそんな出会いなかなかないんだよー。だから街コンとかに賭けてるんじゃん。羊子のゼイタク者ー」
そのゼイタク者は、他の参加者とビュッフェを共にすることなく、隠れ家的名店と言われる定食屋でこの街コンの主催者と会食をした。
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