婚約破棄されて森に捨てられたら、フェンリルの長に一目惚れされたよ

ミクリ21 (新)

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番外編1

さよならとただいま【2】クロム視点

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バジルが亡くなり数日が過ぎた。

バジルの墓に毎日花を添えるルディガー様は、息子達に笑顔をみせて、私や他のフェンリル達に威厳のある顔をみせる。

………けれど、無理をしているのが丸分かりだけどね。

痛々しいほどのやつれっぷりに、私がしっかりせねばと私は胸の痛みを堪える。

なにせ、私はルディガー様の右腕だからね。

ルディガー様はよく一匹になってはバジルの墓に行き、まだバジルが生きているように会話をする。

………返事のない会話を、光のない瞳で毎日している。

現実が受け止められないのだろう。

あんなにバジルを愛していたルディガー様だから、当然といえばそうなのだろう。

けれど、どんなに受け止められなくても現実は変わらないものだ。

バジルは……もう生き返ったりしない………。



ルディガー様は、あの日からあまり食べなくなってしまった。

自分は食が細くなったくせに、息子達にはちゃんと食べなさいと言うんだ。

「ルディガー様もちゃんと食べないと、痩せ細りますよ」

「あぁ、そうだな。ちゃんと食べてるよ」

「嘘でしょう。私を騙せるわけないでしょう?………昨日も今日もまともに食べていないくせに」

「クロム、私は腹いっぱい食べてるから大丈夫だ」

「………ルディガー様は、夜もまともに寝てないですよね」

「ちゃんと寝ているから大丈夫だ」

………嘘つき。

ルディガー様はほとんど寝ていないのに、息子達には良い子は寝なさいと言う。

私も皆も心配しているのに………。

息子達だって、ルディガー様を心配しているのに………。



涙目で不安そうな息子達は、私にルディガー様のことを相談してくれる。

「パパ、ご飯食べないの。ママ……死んじゃったのに、パパも死んじゃうのかな………うぅ」

「パパ、元気ないんだ。僕達もないけど、パパはもっとないんだ。パパ、倒れちゃうんじゃないかって不安だよ」

「パパね、夜寝てないの。ずっとママのお墓にいるの。………パパ、ママの後追いなんて考えてないよね?」

歳をとり老体になって身体の弱くなったバジルも、だいぶ食が細くなっていた。

だから、ルディガー様も食が細くなって不安なのだと息子達は言っていた。



元気がなくて、笑っていても無理した笑顔じゃ安心なんてできない。

けれど、今のルディガー様には誰の言葉も響かない。

息子達の言葉も、私の言葉も………。

夜にずっとバジルの墓にいるのを、村のフェンリルは皆知っている。

後追いをするんじゃないかって不安の声は、息子達以外からも聞こえているんだ。

私も思っているほどだ………。

………ルディガー様、お願いだから早まらないでね。
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