引きこもり陰キャに惚れた九尾の獣人は求愛に必死!

ミクリ21 (新)

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1◆引きこもらせてよ

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ここはとある剣と魔法のファンタジーな世界セルジューク。

ラパラという国のフーリエの森の奥深くには、引きこもりのカンナという陰キャの若い男がいた。

ちなみにフルネームは紅葉モミジ甘奈カンナという。

歳は今年で16歳で、この世界的には成人済みだ。

成人年齢は16歳だからである。

カンナは、所謂異世界転移者だ。



僕は孤独だった。

できれば外に出たくない。

できれば誰とも会いたくない。

暗い過去しかない僕は、人間に絶望して希望なんてまやかしだと心を閉ざしてしまったのだ。

夢なんて叶わないと眼を閉じて、努力なんて報われないと耳を閉ざして、信じることを諦めて口を閉ざして………。

それでも、生きるしか選択肢がなかった。

人間は追い詰めたり虐げたりするくせに、死ぬことは許さないから………。

家にも、外にも、学校にも、居場所がない。

毎日心を削り、心を壊しながら生きていた。

だけど………耐えられなくなってしまったのだ。

引き金を引かれてしまったから………。

『お前なんかいなければ良かったのに』

たった一人の大切な人の蔑む眼差し、氷よりも冷たい引き金の言葉。

貴方にそんなことを言われたら、もう僕は生きていけない。

辛くても生きていないといけないと思っていたのに、生きていないといけないという選択肢しかなかったはずなのに、それが死ぬという選択肢に塗り替わった瞬間だった。

僕に向けた僕からの殺意の刃を、僕は悲しみの涙と共に突き刺した………。



女神カティアは言った。

【愛】を知らぬまま生が終わると、その魂は次の生でも愛されない呪いを受ける。

だから、【愛】を知らない魂は一度チャンスを与えるのだ。

別の世界に転移させて、そこでも【愛】を知らぬまま生を終えたら魂は消滅させる。

不幸になるとわかっている魂は、消滅させた方がマシだとカティアは思っているらしい。

そして、僕は【愛】を知らぬまま生を終えた。

だから、異世界転移することが決まった。

だけど、僕は思ったんだ。

信じることを諦めた僕が、今更【愛】を知るなんて無理だろうと………。

誰にも愛されなかった僕が、住む世界が変わったからって愛されるわけがない。

………だから、消滅を望んだ。

だけど、それはカティアが却下した。

仕方なく引きこもれそうなチート(引きこもりチートと僕は名付けた)をもらって、僕は異世界に転移をしたのだ。



そして今、僕は引きこもり中。

きっとこのまま孤独に死ぬのだろう。



………そう思っていた。

もしも未来の僕が言葉を伝えてきたとしたら、今の僕に言うだろう。

『君は幸せになれるよ。愛し愛されて笑顔になれる。だから、諦めないで』
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