特殊なタコのタコの助は人間の捨て子を拾って育てます！

4◆ミーシャ

ミーシャは、母親と二人目の父親と暮らしていた。

二人目というのは、実の父親は離婚していなくなってしまったからだ。

離婚理由は子育てに疲れたかららしい。

でもそれは言い訳だった。

本当は浮気だったのだ。

だけど、母親からしたら浮気という現実よりも、父親に言われた言い訳こそが全てだった。

………母親は、離婚するまでは優しい母親だった。

ミーシャの大好きだった母親は、離婚した最初の頃からミーシャを責めるようになった。

「貴方がいたから！」「貴方を生まなければ！」

どんなに責められても、睨まれても、ミーシャは大好きな母親を恨めなかった。憎めなかった。



母親は、ある日他の男と再婚をしてミーシャには二人目となる父親ができた。

母親は、昔のように優しい母親に戻ってくれた………そんな優しい時間は、幻だったかのように消えてしまったけれど。

何故なら、二人目の父親は母親を愛していなかったのだ。

二人目の父親は、ミーシャに良からぬ感情を抱く者であったのだ。

それを知った母親は、ミーシャを恨み…憎み…殺意を抱いた………。

「貴方がいるから、私が幸せになれない……貴方がいるから！！」

母親はミーシャを許せなくて、ミーシャを海に無理矢理連れて行く。

その恨みは、ミーシャに向けるべきではないものだろうに……。



母親に叩かれて海に沈むミーシャは、それでも……それでも母親を恨めなかった。憎めなかった。



だって、あの優しかったお母さんは嘘なんかじゃなかったでしょ？

だから、僕はお母さんが大好きだよ。

お母さんが僕を大嫌いでも、僕はお母さんが大好きだよ。