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3◆静かな涙とリンゴ

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あの後、優しいヤーシュ様が訪ねてきて机とか椅子とかベッドとか……人間の生活に必要なものをくれたんた。

ヤーシュ様は子供好きだから、この子を心配してくれたんだ。

一緒に食べてねってご飯まで置いていってくれたよ。

男の子が目覚めたら、一緒にお礼を言いに行こうね!



ベッドでスヤスヤ眠る可愛い男の子は、少し瞼を震わせて目を覚ました。

「起きた?」

「わっ!?タコがっ…タコかな?真っ白なタコ?……イカ…じゃないね。足が八本だもの。タコ…タコ?喋る真っ白なタコ………タコ?」

なんか男の子が混乱してしまった。

真っ白なタコ珍しいものね。

「タコだよ!僕はタコの助、今日から君の家族だよ」

「僕はミーシャ。家族……そっか、僕、お母さんに捨てられたんだ」

あぁ、涙目になってしまったミーシャは、きっと母親のことを思い出しているのだろう。


僕は慌てて机からリンゴを取って男の子に渡す。

「ミーシャ、お腹が空いてたら悲しくなるから、食べてね」

「ありがとう」

一口シャクリと食べると、涙が静かにポロポロと落ちていく。

ミーシャは、無言で泣きながらリンゴを食べているけど……なんだか痛々しくて胸が痛いよ。

「ミーシャ、言いたくなかったらいいんだけどね、あの……何があったの?」

僕は、聞いてもいいのか悩んだけど、ミーシャに何があったのか聞いてみた。

まぁ、言いたくなかったら言わなかったらいいんだからね。

ミーシャは、感情を感じない無表情で僕をみつめる。

「僕が…悪いんだって……」

ミーシャは涙を流しながら、悲しみも怒りも何も感じない声で、そっと語りだした。

とてもひどい話を……。
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