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14◆アリス視点

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煙が晴れるとテオドールちゃんがいなくなり、代わりにギルベルトがそこにはいた。

「陛下の秘薬でテオドール様の記憶と力は元に戻り、国に強制転移をした。もうお前達をテオドール様には会わせない」

そう言ってギルベルトは去ろうとしたけど、黙って行かせるわけないでしょ!

私達はギルベルトをボコボコにして、国に急いで転移をしたわ。

立ちはだかる敵を薙ぎ倒しテオドールちゃんの部屋に向かえば、テオドールちゃんは一人で泣いていた。

「テオドールちゃん!」

「「テオドール!」」

「皆!?」

私達がくると思ってなかったのか、テオドールちゃんはすごくビックリしているようだった。



私は扉を閉めると、開かないように術をかけて時間を稼ぐ。

そして、用意していた奥の手を使うことにしたの。

それは、この世界の神を召喚して魔王制度を止めさせるというものよ。

もしもテオドールちゃんが連れ戻されたら使おうと研究していたの。

「テオドールちゃん、私達が魔王制度を消してみせるわね!」

「え?」

「三人揃えばなんとやら!私達が編み出した神召喚を発動させるわよ!エリオット、ロベール、準備はいい?」

「「おう!」」

急展開にキョトンとするテオドールちゃんを横目に、召喚を始めた。

すると、魔法陣から足が生えてジタバタしている。

思っていた召喚とはちょっと違ったけど、三人で足を掴んで引き摺り出してみたわ。

「うわあぁ!!」

スポンと魔法陣から引き摺り出された翼のやたら立派な男は、神の像と瓜二つだからたぶん成功かしらね。

「貴方、神かしら?」

「神の私に無礼だぞ!」

「魔王制度を止めなさい」

「は?ふざけてるのか」

「魔王制度を止めないなら、貴方の翼をもぎ取って手羽先料理にするわよ」

「そんな脅しには乗らない」

「あらそう?野郎共、毟れ!」

「「イエッサー!」」

「え、嘘、マジ?ぎゃーーーっ!?」

ふてぶてしい態度だった神。

だけど、翼を全部もぎ取って目の前で手羽先料理にしてやったら心が折れたみたいで、魔王制度を止めると言って帰っていった。

手羽先料理を片手に………。

「テオドールちゃん、魔王制度なくなったからまた旅をしましょうね!」

「あの持って帰った手羽先……まさか自分で食べるんだろうか………」

いろいろ衝撃を受けていたテオドールちゃんだったけれど、私達はまた旅に出ることになった。



次の王はただの王として、今の陛下が子供でも作ればいいと思うわ。

陛下はギルベルトに片思いしていたけれど、魔王だったから愛を囁やけなかったの。

けど、魔王制度がなくなったから恋愛だって自由なのよ!

男同士でも子供はできるから、陛下に告白を頑張ってほしいものね。



それから数年後、陛下がギルベルトと結婚したと風の噂で聞いた。

魔王制度がなくなった代わりに負の感情を集めて浄化する水晶ができて、四天王がこれの管理をしているらしい。

私達は、今日も楽しい思い出を作りながら旅をしているわ。







読んでくれてありがとうございました!
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