婚約破棄とバイオレンスな少女達

上

「クロリンダ！貴様を婚約破棄する！」

場所は王宮で開かれた学園卒業を祝うためのパーティー会場。

そこで指をビシッ！とクロリンダという儚い少女に指す王太子ジョゼフ。

ジョゼフは可愛らしい少女アメリアの腰を抱き寄せ、よくみるとアメリアのおっぱいを鷲掴みにしている。

………それについて、アメリアはちょっと嬉しそうにジョゼフにしなだれていた。

「なんでやねーーーん！！………ですわ」

ばしぃーーんっ！！

見た目は儚い少女クロリンダは、見た目とは裏腹に勢いをつけると隠し持っていたハリセンでジョゼフを殴りつけた。

ものすごく痛い音が響き渡り、ジョゼフは壁まで吹っ飛ばされてしまう。

………攻撃力がえげつないハリセンなのか、クロリンダの力がえげつないのか、これはどちらなのだろうか。

取ってつけたようなお嬢様口調は、クロリンダにはよくあることだ。

「ぐほっ！」

「ジョゼフ様！？」

アメリアは、壁に吹っ飛ばされて壁に減り込んでいるジョゼフをなんとか引っ張り出す。

そして、アメリアは気絶しているジョゼフを心配そうにみつめて………。

「起きてくださいジョゼフ様！ジョゼフ様！ジョゼフ様！ジョゼフ様！」

ばしん！ばしん!ばしん!ばしん!ばしん!ばしん!

「げほっ！ぐふっ！やめっ！ぐぉっ！ちょっ！あめ…がはっ！」

アメリアはジョゼフを、殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る！

ひたすら殴り続けた。

ジョゼフはもう意識が戻っているのに、アメリアは気づいてくれないまま………殴る殴る殴る！！

ジョゼフのイケメンが、だんだん腫れていく………。

「あらまぁ………」

クロリンダが片手を頬に当てて儚い微笑みを浮かべる。

もう片方の手には、しっかりハリセンが握られているぞ。

アメリアはジョゼフの側近に止められてやっとジョゼフから離れたが、ジョゼフの顔がパンのヒーローみたいになっていた。

後でポーションを飲めば治るだろうが、アメリアはジョゼフに恨みでもあったのだろうか？

あと、ジョゼフは側近からも恨まれているのだろうか？

クロリンダはそう思ってしまった。



「クロリンダ、貴様を婚約破棄をする」

「潰れ豆パン殿下、それはさっき言いましたわ」

「クスッ」

「誰が潰れ豆パンだ！？あとアメリア、笑うな！」

ハリセンを素振りをするように振り、クロリンダはやはり儚い微笑みをみせる。

だが、煽りなのかクロリンダはジョゼフのことを潰れ豆パンと言った。

思わずアメリアは笑ってしまったが、笑ったせいでジョゼフに睨まれてしまうのだった。