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1◆パール視点
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勇者と魔王。
勇者とは、魔を倒すべく選ばれし者。
魔王とは、魔を統べる人間の敵対者。
魔とは、魔族や魔物という存在。
人間と魔は相容れぬ存在で、食うか食われるかで、殺るか殺られるかで、共存はできないのだ。
だから戦う。
お互いがお互いの正義と生存をかけて………。
人間と魔に、友情も愛情も生まれない。
………生まれてはいけない。
何故なら、魔は人間を食べて、人間は魔を食べるから。
だから、相容れぬ存在なのだ。
だから、敵対するのだ。
だから………魔王を愛してしまった私は、勇者としては異端なのだ。
私の名はパール・シャルル。
シャルル子爵家の次男で、勇者として選ばれし者。
年齢は18歳で、ちょうど成人になったばかり。
私は、その日に勇者になったんだ。
成人の誕生日に左手の甲に勇者の紋章が現れたから、私は勇者になってしまった………。
勇者になり家族に祝福されて、国王や民衆に期待されて、とても光栄なことだ……そう思えたら良かったのに………。
私には、愛し合っている方がいたから喜べなかった。
それは、人間が愛してはならない存在……魔を統べる王のことを私は愛していたんだ。
魔王も私を愛してくれている。
これは、バレてはいけない密やかな愛。
けれど勇者は、魔王を倒す者。
愛している魔王を、私が倒す者として選ばれてしまった。
人間を裏切れば、私の大切な家族が見せしめに殺されてもおかしくない。
平民でも、貴族でも、王族でも、魔と仲良くすることは人間全てへの裏切りなのだ。
それは、勇者も例外ではない。
………裏切りは許されない。
私は、魔王と………魔王ラグリット(男)と、殺し合わなくてはならない。
愛する者に刃を向けて、愛する者に刃を向けられて、私達はお互いの愛を傷つけよう。
身体の痛みに隠れた心の痛みに血を流し、涙を隠して睨み合おう。
そして、互いの胸を互いの刃が貫いた。
どうして私達は、こんな醜い世界に生まれてしまったのだろうね。
人間と魔が敵対する関係じゃなかったら良かったのにね。
私が勇者になんかならなければ、愛するラグリットを殺さなくても良かったのに………。
私が勇者になんかならなければ、愛するラグリットに私を殺させなくて良かったのに………。
薄れゆく意識の中、私はラグリットを抱き寄せる。
最期にどうか、抱きしめさせてくれ。
キスが許されなくても、どうかせめてと冷えゆく身体を抱きしめた。
………もう、ラグリットの意識はないみたい。
口にできない愛を心の中でラグリットに捧げて、私の意識も途切れてしまった。
目を覚ましたら、私とラグリットは一緒に見知らぬ草原で寝ていて、私はビックリしたから飛び起きる。
「あれ?私達、生きてませんか!?」
私達の身体の怪我はなくなり、衣類は綺麗になっていて、まるで………お昼寝してただけみたいに戦いの跡がない。
これは、一体何が起きたのだろうか………?
勇者とは、魔を倒すべく選ばれし者。
魔王とは、魔を統べる人間の敵対者。
魔とは、魔族や魔物という存在。
人間と魔は相容れぬ存在で、食うか食われるかで、殺るか殺られるかで、共存はできないのだ。
だから戦う。
お互いがお互いの正義と生存をかけて………。
人間と魔に、友情も愛情も生まれない。
………生まれてはいけない。
何故なら、魔は人間を食べて、人間は魔を食べるから。
だから、相容れぬ存在なのだ。
だから、敵対するのだ。
だから………魔王を愛してしまった私は、勇者としては異端なのだ。
私の名はパール・シャルル。
シャルル子爵家の次男で、勇者として選ばれし者。
年齢は18歳で、ちょうど成人になったばかり。
私は、その日に勇者になったんだ。
成人の誕生日に左手の甲に勇者の紋章が現れたから、私は勇者になってしまった………。
勇者になり家族に祝福されて、国王や民衆に期待されて、とても光栄なことだ……そう思えたら良かったのに………。
私には、愛し合っている方がいたから喜べなかった。
それは、人間が愛してはならない存在……魔を統べる王のことを私は愛していたんだ。
魔王も私を愛してくれている。
これは、バレてはいけない密やかな愛。
けれど勇者は、魔王を倒す者。
愛している魔王を、私が倒す者として選ばれてしまった。
人間を裏切れば、私の大切な家族が見せしめに殺されてもおかしくない。
平民でも、貴族でも、王族でも、魔と仲良くすることは人間全てへの裏切りなのだ。
それは、勇者も例外ではない。
………裏切りは許されない。
私は、魔王と………魔王ラグリット(男)と、殺し合わなくてはならない。
愛する者に刃を向けて、愛する者に刃を向けられて、私達はお互いの愛を傷つけよう。
身体の痛みに隠れた心の痛みに血を流し、涙を隠して睨み合おう。
そして、互いの胸を互いの刃が貫いた。
どうして私達は、こんな醜い世界に生まれてしまったのだろうね。
人間と魔が敵対する関係じゃなかったら良かったのにね。
私が勇者になんかならなければ、愛するラグリットを殺さなくても良かったのに………。
私が勇者になんかならなければ、愛するラグリットに私を殺させなくて良かったのに………。
薄れゆく意識の中、私はラグリットを抱き寄せる。
最期にどうか、抱きしめさせてくれ。
キスが許されなくても、どうかせめてと冷えゆく身体を抱きしめた。
………もう、ラグリットの意識はないみたい。
口にできない愛を心の中でラグリットに捧げて、私の意識も途切れてしまった。
目を覚ましたら、私とラグリットは一緒に見知らぬ草原で寝ていて、私はビックリしたから飛び起きる。
「あれ?私達、生きてませんか!?」
私達の身体の怪我はなくなり、衣類は綺麗になっていて、まるで………お昼寝してただけみたいに戦いの跡がない。
これは、一体何が起きたのだろうか………?
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