愛し合って殺し合った私達は、何故か異世界転移したようですよ

ミクリ21 (新)

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2◆パール視点

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目を覚ましたラグリットと私は、この草原に見覚えがあるかと話し合ったがお互いになかった。

「変ですね。私が知らない他国の土地なんでしょうか」

「いや、俺は魔を統べる者として世界中の土地に詳しいが、こんな場所は知らない」

「ラグリットが知らない土地なんですね。そういえば私達、無傷なんですよ。不思議です」

「まったくだ」

二人で悩んでいても仕方ないと結論が出るのはわりと早くて、とりあえず歩くことにしたんだ。

まぁ、食料やら飲料やらも必要だからね。

そうして歩くと魔物と出会ってしまったわけなんだが………。

「パール!このスライム、意思疎通ができない」

「え!?」

魔を統べる魔王は、魔物とも魔族とも意思疎通ができるものなんだ。

例え相手の知能が低くても、魔王と意思疎通ができない魔物はいない。

なのに、意思疎通ができないスライムとはどういうことなのだろうか?

スライムはラグリットに攻撃してきて、舌打ちをしたラグリットが魔剣で斬り伏せてしまう。

ラグリットの胸には魔王の紋章があり、魔剣は胸の紋章に仕舞われていていつでも出し入れできる仕様である。

ちなみに、私の場合は左手の甲の紋章で聖剣の出し入れが可能だったりするよ。

「魔王に手を出す魔物だなんて、いるものなんですか?」

「いないものだ。魔王に牙を剥くということは死を意味するからな。なのに、俺を攻撃してきた」

「一体、何が起きているんですかね」

「さぁな」

とにかく私達は、歩くのだった。



しばらく行くと、小さな町がみえてくる。

入ってみると、男しかいないようだがわりと賑やかな町だった。

「おぅ!偉い綺麗な服着た兄ちゃん達だな。荷物を持ってないが………もしかして、荷物盗まれたんか?」

「えぇ、草原でやられまして………」

「そりゃ災難だったな。ほら、良かったらこの串焼きお食べ。サービスだよ」

「ありがとうございます!」

荷物は最初からないので盗まれていないが、嘘も方便と困ったように笑ったら串焼きを貰ったよ。

有り難い………。

荷物もないけどお金もないからね。

ラグリットと焼き立ての串焼きをもぐもぐしながら、屋台のおじさんに話を聞いてみた。

「あの、この町って女性いないんですか?」

「ジョセイ?ってなんだ?」

「え。……いえ、なんでもないですよ」

「そうか?」

今のおじさんの本当に知らないって表情に、まさかという考えが脳裏に過る。

それは、とある小説を読んだ時のことだ。

その小説は、男しかいない異世界に転移する主人公の話だったのを覚えている。

もしかして私達……男しかいない異世界に転移したのでは………!?
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