愛し合って殺し合った私達は、何故か異世界転移したようですよ

ミクリ21 (新)

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3◆ラグリット視点

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「ラグリット、私達はもしかしたら異世界転移をしたのかもしれません!」

「とりあえず、落ち着け」

いきなり変なことを言いだした混乱中のパールを落ち着かせて、周りにチラチラと話を聞いてみた。

町の名前も、国の名前も、草原の名前も、俺の知らない名前だった。

そして、パールが気にしている女性という存在についてだが………誰に聞いても女性というものが分からないらしい。

パールがとても興奮しているのがちょっと印象的だったな。

「やっぱり、異世界転移ですよ!」

「うむ……信じられないことだが、そうなのかもしれない。ところで、何でそんなに興奮しているんだ?」

「女性のいない異世界に転移する主人公の小説を読んだことあるからです」

「そうか」

そんな話をしながら、俺達は今後をどうするか考えた。

人々に話を聞いた感じだと、この世界では人間と魔族が争ったりなんてしていないらしい。

むしろこの世界では種族の壁みたいなものは特になく、あらゆる種族と友好的にしているそうだ。

………まぁ、魔物は友好的なのもいるが、そうじゃないのもいるそうだがな。

この世界の魔王は穏やかな性格らしく、魔族だけでなく人間にも慕われているらしい。

ちなみに、勇者という存在は概念すらなかった。

代わりにあるのは聖者という存在だ。

「ふむ、俺達はすなわち……元がつくというわけだな」

「元勇者と元魔王………。いいですね!私、夢だったんですよ。ラグリットと幸せに生きることが」

「そんなの俺もに決まっているだろう?」

「ラグリット♡」

もう、勇者だからとか魔王だからとか関係ないのか。

だったら………。

「パール、第二の人生を二人で生きよう」

「はい!」

嬉しそうに笑うパール。

もうパールに刃を向けなくていいということが、どれだけ幸せなことか………。

パールを守ることができる……それがどれほどの幸せか………。

ずっと望んでいたことが、今俺の目の前にあるだなんて………これはなんて奇跡だろうか?

この奇跡を大切にしようと、俺は思うのだった。



俺達は身につけていた物を売り払い、代わりに動きやすい冒険者向けの衣類を身につけた。

生きるために冒険者になることを決めたからだ。

「ふふ、ラグリットと冒険者になるなんて、ワクワクしちゃいますよ」

「念のために普通の剣を使おう」

「そうですね!普通の剣っていつぶりでしょうか………」

「確かに、いつぶりだろうな」

パールも俺も、互いに聖剣と魔剣があるから普通の剣は馴染みがない。

勇者になる前とか魔王になる前とかなら、お互いに使っていたんだがな………。
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