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10◆レヴィ視点
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その後、ゆっくり話すためにサロンに移動してオヤツに紅茶とケーキを出されて、僕はジルと二人で向かい合って座っている。
ちなみにセルフィは執事らしく給仕として立っていた。
「さっきのレヴィ、胸元からパアッと魔剣が出ですごくかっこよかったの!私も身体から愛剣を抜いてみたいわ!」
「……下ネタですか?」
「違うわよ!?お兄様と一緒にしないで!」
どうやらユリウスは妹に下ネタを言う男と認識されているようだ。
否定は……しないよ。
「私もかっこいい私になりたいのよね。邪眼とかほしいし、腕に封印されし伝説の邪竜とか憧れるし、空も飛んでみたいの!」
瞳を輝かせながらに語るその姿に、確かに中二病の子なんだなって思う。
夢いっぱいの無邪気な少女にそのまままっすぐ育ってほしいとちょっと思った。
だって可愛らしい個性だからね。
「魔族って強いんですよね。投げ飛ばされたら飛べるのでは……」
「それ、飛ぶじゃなくて落ちてるの間違いよ。怪我しちゃうわ」
「怪我で済むんですね」
たぶん人族なら死ぬだろうな。
青空の下、甘いケーキを食べてこんな穏やかな時間を過ごす日がくるなんてまるで夢みたいだ。
美味しいなぁ。
美味しいけれど……。
僕の表情筋が死んでいる。
実は、昨日も食事の時に美味しいと思ったのに一切表情が動かなかった。
というか、思い出してみたら僕は笑ったことがないかもしれない。
奴隷生活では仕方なかったとしても、今はユリウスに救出された身だ。
……なのに、笑うことができない。
ざまぁを成し遂げたら、こんな僕でも笑うことができるといいな。
「ところで、お兄様から聞いたわ。初めての共同作業に祖国のざまぁをするとか……。なんてかっこいいのかしら!私の闇のハートが疼いてしまう。決めゼリフは!?ねぇ、決めゼリフはどんなものを考えてるの!?」
「え、決めゼリフ?」
「登場シーンと決めゼリフは大事よ!!ま、まさかないの……?」
「ないですよ」
「なんてこと!!!?」
まるで背後に雷でも落ちたかのようなジルのショックの表情に、僕も言葉を失う。
考えたこともなかったことを指摘されて困惑だ。
石のように硬直しているジルを眺めながらケーキを食べていると、仕事が休憩時間に入ったユリウスがやってきた。
「ジル、あんまりレヴィを困らせるな。私が嫌われたらどうする」
「大丈夫よ。変態お兄様を受け入れてくれたんだから、私とも仲良くしてくれるはずだわ!」
「兄を変態呼ばわりするな!?」
兄妹仲良くて羨ましいことである。
まぁ、別にノーラと仲良くなりたいなんて気持ちはないけれど……。
「お仕事お疲れ様です」
「私の妹が迷惑かけてごめんね」
「いえ、迷惑なんてしてませんよ。可愛らしい方ですよね」
「え!?う、浮気はダメだよ!!」
「そんな意味ではないのでご安心を」
可愛らしいと言ったことに何故か兄妹揃ってあわあわとしていて、みていて飽きないよ。
そして、セルフィがずっと聖母みたいな穏やかな表情で僕達のやり取りを見守るのだった。
ちなみにセルフィは執事らしく給仕として立っていた。
「さっきのレヴィ、胸元からパアッと魔剣が出ですごくかっこよかったの!私も身体から愛剣を抜いてみたいわ!」
「……下ネタですか?」
「違うわよ!?お兄様と一緒にしないで!」
どうやらユリウスは妹に下ネタを言う男と認識されているようだ。
否定は……しないよ。
「私もかっこいい私になりたいのよね。邪眼とかほしいし、腕に封印されし伝説の邪竜とか憧れるし、空も飛んでみたいの!」
瞳を輝かせながらに語るその姿に、確かに中二病の子なんだなって思う。
夢いっぱいの無邪気な少女にそのまままっすぐ育ってほしいとちょっと思った。
だって可愛らしい個性だからね。
「魔族って強いんですよね。投げ飛ばされたら飛べるのでは……」
「それ、飛ぶじゃなくて落ちてるの間違いよ。怪我しちゃうわ」
「怪我で済むんですね」
たぶん人族なら死ぬだろうな。
青空の下、甘いケーキを食べてこんな穏やかな時間を過ごす日がくるなんてまるで夢みたいだ。
美味しいなぁ。
美味しいけれど……。
僕の表情筋が死んでいる。
実は、昨日も食事の時に美味しいと思ったのに一切表情が動かなかった。
というか、思い出してみたら僕は笑ったことがないかもしれない。
奴隷生活では仕方なかったとしても、今はユリウスに救出された身だ。
……なのに、笑うことができない。
ざまぁを成し遂げたら、こんな僕でも笑うことができるといいな。
「ところで、お兄様から聞いたわ。初めての共同作業に祖国のざまぁをするとか……。なんてかっこいいのかしら!私の闇のハートが疼いてしまう。決めゼリフは!?ねぇ、決めゼリフはどんなものを考えてるの!?」
「え、決めゼリフ?」
「登場シーンと決めゼリフは大事よ!!ま、まさかないの……?」
「ないですよ」
「なんてこと!!!?」
まるで背後に雷でも落ちたかのようなジルのショックの表情に、僕も言葉を失う。
考えたこともなかったことを指摘されて困惑だ。
石のように硬直しているジルを眺めながらケーキを食べていると、仕事が休憩時間に入ったユリウスがやってきた。
「ジル、あんまりレヴィを困らせるな。私が嫌われたらどうする」
「大丈夫よ。変態お兄様を受け入れてくれたんだから、私とも仲良くしてくれるはずだわ!」
「兄を変態呼ばわりするな!?」
兄妹仲良くて羨ましいことである。
まぁ、別にノーラと仲良くなりたいなんて気持ちはないけれど……。
「お仕事お疲れ様です」
「私の妹が迷惑かけてごめんね」
「いえ、迷惑なんてしてませんよ。可愛らしい方ですよね」
「え!?う、浮気はダメだよ!!」
「そんな意味ではないのでご安心を」
可愛らしいと言ったことに何故か兄妹揃ってあわあわとしていて、みていて飽きないよ。
そして、セルフィがずっと聖母みたいな穏やかな表情で僕達のやり取りを見守るのだった。
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