囚われていた邪神と虐げられていた王族の子供

ミクリ21 (新)

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ルイ視点

僕は、王の遊びで生まれたらしい。

とある国の下町の娼婦から生まれた僕は、王の子供として6歳の頃に城に連れて行かれた。

城では、奴隷のような扱いが待っていた。

王の血を引いていても娼婦の子供なので、王位継承権なんてないに等しい。

なんなら存在が疎ましく、城になんか置きたくなかったのだろう。

それでも、王族の血を持つから放置はできなかったのである。

部屋は物置き、食事は二日に一食カビの生えたパンと泥水。

……たぶん、嫌がらせ込みの食事なんだと思う。

朝早くから夜遅くまで働かされて、会う人皆から暴言吐かれて、兄弟だという兄姉達からイジメられて……。



愛されたいという子供としての感情は、殺すしかなかった。

生きることが嫌になるけれど、僕が死ぬことを僕は納得できないから生きていた。

まぁ、たぶん周りは僕が何らかの理由で死んだり、自害することを望んでいたのかもしれなかったけれど……。



そんなある日の真夜中、僕はその部屋に迷い込んでしまったのである。

「おや、いらっしゃい」

部屋の中には、今まで一度もみたことがないほどの美人が優しく微笑んでいたのだ。

僕は、母にも優しくされたことがないから、つい吸い寄せられるようにその美人に近寄った。

「可愛い子だね。名前はなんというのかな?」

「ルイ」

「そうか、ルイというんだね。私はリゼラローズ。私を知っているかな?」

名前を呼んでもらえて、嬉しくて胸がドキドキとする。

知っているかと聞くということは、もしかして有名な人なのかな?

「ううん、知らない。ごめんなさい」

「謝らなくていいよ。私はね、ここに閉じ込められているんだ」

「そうなの?」

酷い……。

こんな美人な優しそうな人を閉じ込めるなんて、そんなの酷いよ。

誰がそんな酷いことをしたのかな。

「出たいけれど、あの扉は王族にしか開けられない。私が部屋から出るには、誰か王族が出してくれないとダメなんだ」

「王族……。王族に閉じ込められてるの?」

「そうだよ。……ねぇ、ルイ。私を出してくれないかな?みたところ、良い扱いを受けていないようにみえる。ねぇ、一緒に逃げようよ」

僕は、王族として認められてないけれど、この身体には間違いなく王族の血が流れて、それが理由で僕はここにいる。

……この、地獄に。

僕はほんの少し悩んだけれど……。

「私だけが君を愛しているよ」

その言葉で、僕はリゼラローズを連れて逃げ出した。



その言葉が、僕を利用するための嘘だとは気づいていたよ。

けれど、嘘でも良かったんだ。

優しくしてくれて、愛してくれて、名前を呼んでくれるなら……。

……嘘でも僕は嬉しいから。



この脱走は無計画だったけれど、部屋から出た後はリゼラローズの魔法か何かで、一瞬で僕達は森の中にいた。

「ふふ、私はもう自由だ。ありがとうルイ」

「リゼラローズ、嬉しい?」

「嬉しいよ。やっと私の恨みを晴らせるからね。朝になる頃には、あの国の生きとし生けるもの全てが死に絶える」

「え……」

「あぁ、ルイにちゃんと私のことを教えないとね。私は、元・繁栄と希望の神リゼラローズで、現・終焉と絶望の邪神。これからはリゼと呼んでいいからね」

嬉しそうな笑顔をみせるリゼ。

国のことを僕はなんとも思っていなかったから、リゼが嬉しいなら良かったと思う。



その後僕達は、二人で冒険者になった。

冒険者は年齢とか関係ないから、その頃8歳だった僕でも無事になれたんだ。

そして年月が過ぎて僕が大人になった日に、僕はリゼに結婚前提の告白をした。

それまで散々好き好きアピールをしていたので、リゼは嬉しそうに告白を受け入れてくれたよ。

……もう、あの最初の頃の嘘の愛はない。

だって僕達は深く愛しあっているからね。
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