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第三話 通常授業
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翌朝。俺の心の中は昨日の後悔でいっぱいだった。なぜ俺はあんなことをしたのだろうか。その疑問に脳が支配され、嫌われているかもしれないという不安が心を蝕んでくる。学校に行くまでの足取りも重い。しかも今日は土曜日。梅宮学園には土曜登校がある。これがまたキツい。俺は憂鬱さを押し殺しながら、家から駅までの道のりを歩んでいく。
駅に到着したら咲良さんに出会えるかもしれない、と思ったが、その希望に反して彼女の姿は見えなかった。俺は前日と同じ手順で列車に乗り込み、目的地まで車両に身を委ねた。
◇ ◇ ◇
やっとの思いで学校に到着すると、そこには昨日の三人組で談笑する咲良さんたちがいた。
「お! 柊真くん! おはよう!」
咲良さんは黄色い目をキラキラと輝かせて話しかけてきた。俺は相も変わらず不安が凝り固まった表情でそれを返す。
「おはよう……」
「どうしたんだい?」
「いや、昨日のことでさ……ごめんね」
「んぅ? どうして謝るんだい?」
咲良さんはおどけた様子で首を傾げた。高瀬さんも子吉さんもよく分からないと言った雰囲気だ。
「そうだ!柊真くん、明日は日曜でちょうど休みだろう?一緒に遊びに行こうよ!」
「えっ、いいの?」
「もちろん! そういえば連絡先を交換していなかったね! 交換しよう」
今日の咲良さんは元気だな。生活のテンション感に差があるタイプなのだろうか。
「よし、交換完了! じゃあ、修学旅行班でグループを作っておくから、矢作くんも入れてあげてね」
「わかった、了解」
俺は言われた通りにスマホを操作し、グループに「よろしくお願いします」のスタンプを送る。
「あ、そろそろ始業か。じゃあ柊真くん、また後で!」
咲良さんは軽快な足取りで自らの席へと戻っていく。俺はその姿に目を引かれ、そのまま土曜授業の始まりへと身を投じていくのだった。
◇ ◇ ◇
梅宮学園では五十音順の出席番号を採用している。入学したばかりの頃は出席番号順に左前から席が割り振られる。俺の苗字は「大井」なので、割と早いが早すぎない出席番号になる。それすなわち、俺の席は「窓際かつ後ろ」というオトクさで溢れた位置に置かれるのである。
窓の外に目をやると、満開を過ぎた桜が並木を形成していた。桜というものは思った以上に早く散る。今は四月も中旬が始まろうとする頃。二限の終了を告げるチャイムが鳴ると同時に春風が吹き、花びらを数枚どこかへ攫っていった。ああ、俺のモヤモヤもどこかに持って行ってくれないだろうか。
なんてアホなことを考えながら、水筒に入ったお茶を一口だけ飲む。すると、廊下側の後ろの席にいた俊太が突然やってきて、椅子に座る俺と目線を合わせるようにしゃがんでから、神妙な面持ちでこう言った。
「なあ、お前長良さんのこと好きだろ」
俺は飲んでいたお茶を気管に入れてしまい、反射でケホケホとむせ込む。
「な、なんでそんな……!」
「焦りすぎ。図星だろ? 初対面の女子と一緒に帰るなんて露骨すぎんだろ。まあでも、恋愛において積極性ってのはメチャクチャ大事だもんな。そんで? なにか進展は?」
二週間前まで中学生だったやつが恋愛を語るのは如何なものかと思いながら、俺は俊太に言葉を返す。
「進展って……。昨日の今日でなにか起きるわけないでしょ」
「おいおい、手を繋ぐくらいはワンチャンあるだろ? 完全完璧に何も無かったとは言わせねぇよ」
「あー……手は繋いでないんだけど、名前呼びにさせられたし……頭をポンポンと触ったりした……かな」
「はぁぁ!? 流石にそれはやりすぎだろ!」
──やっぱりそうか……! 長良さんはああ言っていたけど、本当は気にしているかもしれないし……やっぱり俺の恋路は閉ざされた……かも? 悲観しすぎ?
「おいそれ、ちゃんと謝んなきゃいけないラインだぞ」
「ま、まあそれはしっかり謝った……から。でも、咲良さんは『なんのこと?』みたいな感じで、『次の休み、遊びに行こう!』とも言ってくれたんだよ」
「長良さん優しいなぁ。普通そこまでしたら口もきいてくれないぞ」
「でも……脈はもうない?」
「おいおい! 電車の中で頭撫でるなんて意味不明な行動したのに、『休みの日に遊ぼう!』なんて言って誘ってくれてるんだぞ! 脈ナシなわけねぇだろ!」
「た、確かに……」
そうだよな、あんなことされたら普通は幻滅して前向きに関わってくれなくなるよな……? まだチャンスはある……のか。
「クヨクヨしてる場合じゃないぞ、恋する少年よ。度胸なき男に成功はあると思うな」
「──分かった」
軽度の決意を固めた今、クラスは三限へと入っていく。あ、やっべ……! 完全に授業の準備忘れてた……!
◇ ◇ ◇
三限は実力を測るための小テストをやらされた。ボロボロだった。俺が女子の会話から盗み聞きした情報によれば、咲良さんは一問ミスだったらしい。盗み聞きしている事実と、完敗どころじゃ済まされない敗けに情けない気持ちでいっぱいになる。
しかし、いつまでもそんなことを引きずる訳にはいかない。音こそ鳴らないが、体が空腹を訴えている。それは、体内時計が四限の開始を刻々と伝えているということ。四限の科目名は「体育」。しかも初回かつ、人工芝での運動との初邂逅。なんせ、進学校であるこの学校には人工芝の広いグラウンドがあるのだ。俺は暗い気持ちを取っ払い、その事実に心を踊らせながら男子更衣室でさっさと着替える。
着慣れない体操着に着替え、グラウンドに出る。すると、クラスが男女別に二分割され、教師から隣のクラスと合同で体育することを伝えられた。少し……残念だ。
準備体操をし、空気の抜けたサッカーボールをポンポンと蹴る。運動はものすごく得意な訳ではないと自負しているが、かと言って下手だとも言いきれない。いわゆる「普通」ってやつだ。それなりに足を動かしていると、女子たちがキャッチボールを始めた。彼女らはソフトボールをやるらしい。
矢作とパスの練習を行い、普通の靴でのボールの扱いに苦戦する。特に、ロングパスが難しい。簡単にはボールが浮かないし、受ける時もトラップが上手く決まらない。やはり、あまりやったことのない競技は難しいものだ。
そういえば、部活はどうしようか。一応、1年生には4月末までの部活動調整期間がある。これは、この期間は体験入部やらなんやらが自由にできるよ、という期間である。つまり、俺は5月までに部活を決めてしまえば良いのだ。今は色々みて回る期間と言って差し支えないだろう。運動部でも文化部でも、合ってるところに入れば良いのだ。それに最悪、入らないという手もある。この学校はそこまで厳しい校則を持っている訳ではないので、入らなくともとやかく言われるということはない。しかし、それでも何かしらの組織には所属したいと思う。とりあえずそれは後から考えよう。
パスの時間も終わり、簡単な試合をやろうかという話が出てきた。教師の話を聞く時間に、ちらりと女子の方向へ目を向ける。あまり上手とは言えない投げ方で投げる女子たちに混じって、物凄い綺麗なフォームで投げる女子が数名居た。咲良さんもその一人だった。直後に始まったバッティング練習でも、咲良さんは鋭いライナー性の打球を飛ばしてほかの女子たちを困らせていた。出来すぎるのも考えものか、と思わせる彼女の姿に、不思議とトキメキを覚える。
そんな胸の高鳴りを持ちながら、あっという間に体育の時間が過ぎていく。普段の授業とは時間の流れが明らかに違う。誰かこの現象に名前をつけてはくれないか。少し汗ばんだ素肌をシャツで拭いながら、俺は教室へと帰っていく。
駅に到着したら咲良さんに出会えるかもしれない、と思ったが、その希望に反して彼女の姿は見えなかった。俺は前日と同じ手順で列車に乗り込み、目的地まで車両に身を委ねた。
◇ ◇ ◇
やっとの思いで学校に到着すると、そこには昨日の三人組で談笑する咲良さんたちがいた。
「お! 柊真くん! おはよう!」
咲良さんは黄色い目をキラキラと輝かせて話しかけてきた。俺は相も変わらず不安が凝り固まった表情でそれを返す。
「おはよう……」
「どうしたんだい?」
「いや、昨日のことでさ……ごめんね」
「んぅ? どうして謝るんだい?」
咲良さんはおどけた様子で首を傾げた。高瀬さんも子吉さんもよく分からないと言った雰囲気だ。
「そうだ!柊真くん、明日は日曜でちょうど休みだろう?一緒に遊びに行こうよ!」
「えっ、いいの?」
「もちろん! そういえば連絡先を交換していなかったね! 交換しよう」
今日の咲良さんは元気だな。生活のテンション感に差があるタイプなのだろうか。
「よし、交換完了! じゃあ、修学旅行班でグループを作っておくから、矢作くんも入れてあげてね」
「わかった、了解」
俺は言われた通りにスマホを操作し、グループに「よろしくお願いします」のスタンプを送る。
「あ、そろそろ始業か。じゃあ柊真くん、また後で!」
咲良さんは軽快な足取りで自らの席へと戻っていく。俺はその姿に目を引かれ、そのまま土曜授業の始まりへと身を投じていくのだった。
◇ ◇ ◇
梅宮学園では五十音順の出席番号を採用している。入学したばかりの頃は出席番号順に左前から席が割り振られる。俺の苗字は「大井」なので、割と早いが早すぎない出席番号になる。それすなわち、俺の席は「窓際かつ後ろ」というオトクさで溢れた位置に置かれるのである。
窓の外に目をやると、満開を過ぎた桜が並木を形成していた。桜というものは思った以上に早く散る。今は四月も中旬が始まろうとする頃。二限の終了を告げるチャイムが鳴ると同時に春風が吹き、花びらを数枚どこかへ攫っていった。ああ、俺のモヤモヤもどこかに持って行ってくれないだろうか。
なんてアホなことを考えながら、水筒に入ったお茶を一口だけ飲む。すると、廊下側の後ろの席にいた俊太が突然やってきて、椅子に座る俺と目線を合わせるようにしゃがんでから、神妙な面持ちでこう言った。
「なあ、お前長良さんのこと好きだろ」
俺は飲んでいたお茶を気管に入れてしまい、反射でケホケホとむせ込む。
「な、なんでそんな……!」
「焦りすぎ。図星だろ? 初対面の女子と一緒に帰るなんて露骨すぎんだろ。まあでも、恋愛において積極性ってのはメチャクチャ大事だもんな。そんで? なにか進展は?」
二週間前まで中学生だったやつが恋愛を語るのは如何なものかと思いながら、俺は俊太に言葉を返す。
「進展って……。昨日の今日でなにか起きるわけないでしょ」
「おいおい、手を繋ぐくらいはワンチャンあるだろ? 完全完璧に何も無かったとは言わせねぇよ」
「あー……手は繋いでないんだけど、名前呼びにさせられたし……頭をポンポンと触ったりした……かな」
「はぁぁ!? 流石にそれはやりすぎだろ!」
──やっぱりそうか……! 長良さんはああ言っていたけど、本当は気にしているかもしれないし……やっぱり俺の恋路は閉ざされた……かも? 悲観しすぎ?
「おいそれ、ちゃんと謝んなきゃいけないラインだぞ」
「ま、まあそれはしっかり謝った……から。でも、咲良さんは『なんのこと?』みたいな感じで、『次の休み、遊びに行こう!』とも言ってくれたんだよ」
「長良さん優しいなぁ。普通そこまでしたら口もきいてくれないぞ」
「でも……脈はもうない?」
「おいおい! 電車の中で頭撫でるなんて意味不明な行動したのに、『休みの日に遊ぼう!』なんて言って誘ってくれてるんだぞ! 脈ナシなわけねぇだろ!」
「た、確かに……」
そうだよな、あんなことされたら普通は幻滅して前向きに関わってくれなくなるよな……? まだチャンスはある……のか。
「クヨクヨしてる場合じゃないぞ、恋する少年よ。度胸なき男に成功はあると思うな」
「──分かった」
軽度の決意を固めた今、クラスは三限へと入っていく。あ、やっべ……! 完全に授業の準備忘れてた……!
◇ ◇ ◇
三限は実力を測るための小テストをやらされた。ボロボロだった。俺が女子の会話から盗み聞きした情報によれば、咲良さんは一問ミスだったらしい。盗み聞きしている事実と、完敗どころじゃ済まされない敗けに情けない気持ちでいっぱいになる。
しかし、いつまでもそんなことを引きずる訳にはいかない。音こそ鳴らないが、体が空腹を訴えている。それは、体内時計が四限の開始を刻々と伝えているということ。四限の科目名は「体育」。しかも初回かつ、人工芝での運動との初邂逅。なんせ、進学校であるこの学校には人工芝の広いグラウンドがあるのだ。俺は暗い気持ちを取っ払い、その事実に心を踊らせながら男子更衣室でさっさと着替える。
着慣れない体操着に着替え、グラウンドに出る。すると、クラスが男女別に二分割され、教師から隣のクラスと合同で体育することを伝えられた。少し……残念だ。
準備体操をし、空気の抜けたサッカーボールをポンポンと蹴る。運動はものすごく得意な訳ではないと自負しているが、かと言って下手だとも言いきれない。いわゆる「普通」ってやつだ。それなりに足を動かしていると、女子たちがキャッチボールを始めた。彼女らはソフトボールをやるらしい。
矢作とパスの練習を行い、普通の靴でのボールの扱いに苦戦する。特に、ロングパスが難しい。簡単にはボールが浮かないし、受ける時もトラップが上手く決まらない。やはり、あまりやったことのない競技は難しいものだ。
そういえば、部活はどうしようか。一応、1年生には4月末までの部活動調整期間がある。これは、この期間は体験入部やらなんやらが自由にできるよ、という期間である。つまり、俺は5月までに部活を決めてしまえば良いのだ。今は色々みて回る期間と言って差し支えないだろう。運動部でも文化部でも、合ってるところに入れば良いのだ。それに最悪、入らないという手もある。この学校はそこまで厳しい校則を持っている訳ではないので、入らなくともとやかく言われるということはない。しかし、それでも何かしらの組織には所属したいと思う。とりあえずそれは後から考えよう。
パスの時間も終わり、簡単な試合をやろうかという話が出てきた。教師の話を聞く時間に、ちらりと女子の方向へ目を向ける。あまり上手とは言えない投げ方で投げる女子たちに混じって、物凄い綺麗なフォームで投げる女子が数名居た。咲良さんもその一人だった。直後に始まったバッティング練習でも、咲良さんは鋭いライナー性の打球を飛ばしてほかの女子たちを困らせていた。出来すぎるのも考えものか、と思わせる彼女の姿に、不思議とトキメキを覚える。
そんな胸の高鳴りを持ちながら、あっという間に体育の時間が過ぎていく。普段の授業とは時間の流れが明らかに違う。誰かこの現象に名前をつけてはくれないか。少し汗ばんだ素肌をシャツで拭いながら、俺は教室へと帰っていく。
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