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    「・・・やっぱりいないかー」
    心配になって来てみたがやっぱり森川さんはいなかった。
    さすがにもう帰ったよね。明日学校でいろいろと話そう。来るかな?・・・今度は逃げないようにしないとな。










    翌日、森川さんは学校に来なかった。
    ・・・ものすごく嫌な予感がする。家に行きたいけど知らないしな・・・。
    「誰か今日の帰り森川さんにプリント届けてくれませんかー」
    担任の品川がプリントを片手に皆に聞いた。年齢は教えてくれないがおそらく40は越えている。厚化粧のおばちゃんだ。
   「あっ、はい!はい!僕やります!」
    その手があったか!、と思わず興奮してしまった。
    そんな僕の様子を、クラスの皆が珍しいものでも見るような目で見てきた。
    「・・・え~、じゃ、じゃあ安部君に任せますね・・・」
    品川が少し引いた様子で言った。
    「え、あいつ森川のこと好きだったの?」
    「最近ちょっと優しくされてたからその気になったんじゃない?」
    「無理っしょwww」
    そんな言葉がちらほらと聞こえてくる。
    ・・・ハ、ハハハ。









    森川さんの家は学校からそう遠くなく、歩いて10分程度の所にあった。黄色い屋根が印象的な家で、二階建ての一軒家だった。
    インターホンを鳴らす。
    ・・・誰も出てこない。留守かな?森川さんなにしてんだろ。嫌な予感が大きくなる。
    窓から中を覗こうとしていた時、後ろから声をかけられた。
    「何かご用ですか?」
    振り向くと、地味な服装の女の人がた立っていた。疲れきった顔をしており、警戒するようにこちらを見ている。
    「あっ、あの、森川さんと同じクラスの者で、プリントを届けに来たんですけど・・・」
    そう言うと、警戒を解いたのかため息を吐いた。
    「千秋の・・・。あぁ、そうですか。千秋、昨日から様子がおかしくて。今日は休ませる事にしたの。ありがとうね」
    様子がおかしい・・・か。
    「あ、あの。森川さんと今、会えますか?」
    「え、今?・・・ちょっと今は会えるような感じじゃないの。すみませんね」
    マジスか・・・。森川さん今どんな感じなんだ?早く話し合いたいのに・・・。
    「あの・・・、あなた、千秋の彼氏?」
    「へ?」
    「あ、いや、なんだかものすごく心配してるから・・・」
    「ち、違います!違います!ただの友達ですよ!」
    顔が赤くなっていくのが分かる。その反応を見てさらに誤解したのか
    「もぉー、隠さなくてもいいのよ!別に付き合っちゃダメとか言わないから!」
    なんて言っている。先ほどまでは疲れた顔をしていたのに今は目が輝いている。 
    「彼氏さんなら上がってちょうだいな!あの子も元気になるから!」
    お、これは・・・。
    「あ、そ、そうですか、実は僕、森川さんと交際してるんです。じゃあ、ちょっとお邪魔しますね。ハハハ、ハハ」
    「どうぞー」
    森川さんのお母さんはにこやかに返事をした。
    せ、潜入成功・・・!
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