『欠片の軌跡』おまけ短編集

ねぎ(塩ダレ)

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第二章おまけ

初めてのお家デート(後編) ☆

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キスしたい。

そうウィルが言った時、ウィルの顔は既にかなりの欲情を示していた。
この顔でキスしたいとか言われたら、殆どの男はちんこが勃つし、多くの男が押し倒すと思う。
そして勃たない俺。

何故?!
なぜ勃たないんだ?!俺のちんこ?!

いや、今までは恋愛的な気持ちの高まりも起こらなかったから、まぁそんなもんかという諦めがあった。
でもだよ?!
ウィルの事は好きだって自覚があって!
こういう色っぽさを目の当たりにすると、何かいたたまれないというか何となくムズムズした感じがあるのに!!
何故だ?!
何でここまで機能不全なんだよ?!

ウィルの気持ちの高まりとは反対に、俺は頭の片隅でそんな事を考えていた。

「んっ……んっ。」

唇を重ねたら、ウィルはもう口を開いて自ら舌を絡めてきた。

本当、どうしよう……。
ウィル、エッチ過ぎて、勃たない俺はいつか捨てられるんじゃないだろうか……。

初めて好きだと思った人と恋人になったのに、そんなのは嫌だ。
ちんこの事は仕方ない。
ある種のマイノリティーだ。
これから研究に熱を入れてどうにかしよう。
でもその間にウィルに冷められたら終わりだ。

俺は積極的にウィルの口吸いに応えた。
せめてキスぐらいはちゃんと、俺の舌で気持ち良くさせてせめてあげたい。
多分うまくはないだろうけど知識はある。
顔に触れ、ラインを撫でながら角度を変える。

「……あっ……んっ、んっ……サ、サーク……!」

ウィルがそう苦しげにもがいた。
急に身を捩られキスを拒む。

え?やっぱり下手!?

ガーンとばかりにショックを受ける。
でも、ウィルの顔はひどく熱にとろけていて、そこまで下手をしたとは思えなかった。

「サーク……。」

「なに?」

「何か……凄いくる……。」

くるって何が?

そう言われ、俺は頭にクエッションマークをたくさん浮かべる。
少し考えたがよくわからない。

くる??くるって何が??

俺はもう一度ウィルにキスしてみた。
ウィルは抵抗はしなかったが、変わりに体の力が抜けてしまって、カタカタ震えながら必死に俺にしがみついていた。
積極的に俺を求めてきたウィルが俺に翻弄されている。

「あ……っ……んんっ……んっ!」

あれ??
これってもしかして??

俺はそう思って一度顔を離す。
目の前のウィルは恍惚とした表情をしていた。
口を閉じられず、だらりと唾液を溢す。

……あ、ああ~。

俺はやっとわかった。
ウィルの言う「くる」の意味が。

この顔は結構、キテる顔だ。

そういう事か~。
ちゃんと俺のキスでウィルが感じていてくれる事にホッとすると同時に、何ともたまらない気分になる。
正直、ウィルみたいな男前にこんな顔されたら、これをオカズにヌケる男は多いと思う。
むしろ速攻、押し倒されて食われる。

熱に濡れたウィルは快楽にに震えていて、体を支える腕はガクガクしていた。
辛そうだなと思い、そのまま支えながらベッドに寝かせる。
寝転がったウィルもまた、情緒的で悩ましかった。

体を倒すとウィルの竿が一目瞭然になる。
それを思わず凝視する。

「や……見ないで……ぇっ。」

ウィルが上の服の裾を引っ張ってそれを隠そうとするが、かえって卑猥だ。
もじもじした動きで隠しようのない欲情を隠す様は、エロティック以外の何物でもない。

……ウィル、俺が勃たない男で良かったね……。
じゃないと興奮が突き抜けて我を忘れて、準備とかしないで無理やりバチコーンってされてたよ……絶対……。

悔しくも、残念ながらこの状況でも情熱を取り戻さない我が息子……。
いや、生まれつきないから取り戻すって表現は変なんだけど。

「汚れるから脱ごう?」

「やだ、恥ずかしい……。」

そう言って恥じらうウィル。
俺の頭の中にズガーンッと雷着落ちた。

ちょっと~!!カメラマン!!
今のショット!!撮ったわよね!?
見開き袋とじにするわよ!!

頭の中でよくわからない寸劇が起きる。

危ない危ない。
ウィルのエロさに衝撃を受けすぎて、人格、分裂するかと思った……。

もう、これはヤバい。
性欲のない俺でもわかる。

この人のエロスはヤバい。

口も半開きで全身が熱に染まり、欲情に潤んだ顔で震えながら羞恥するとか、どんだけエロいの、この人?
て言うか、それは無自覚ですか!?
犯罪ですよ!?

何かおかしな衝動に目覚めそうになりながら、俺は大変元気のよろしいそこを隠そうとするウィルの手を握った。

「ウィル、染みになっちゃうよ?」

「でも……恥ずかしい。」

ぷるぷる震えて弱々しく嫌がる様は、かえって加虐心を直撃した。

……………………。

待ってくれ……。
何か目覚めてはイケないモノに目覚めそうだ……。

ガスパー……。
俺に好きな子をいじめる趣味はないと言ったあの言葉、返上させてくれ。

これは駄目だ。
こんな顔でこんなことされたら、それはやるのがセオリーってもんだろ!!

カチンと音を立てたかはわからないが、俺の中で何かスイッチが入り、新しい扉が開いた。
ぷるぷる震えて恥じらうウィルを、覆いかぶさるように覗き込んだ。

「……そうか、じゃあ脱がないんだ?」

俺はそういって、ツツツ……ッと太もも部分から上に指を滑らす。
ウィルの口から戸惑いと期待を含んだ声が微かに漏れ、俺はそれを笑いながらズボンの上から竿を包み込んだ。
何か言われる前に、即座に先を軽くグリグリ刺激してやる。

「あっ!!やっ!!ダメっ!!」

びくんとウィルが大きく震えた。
そんな顔されると、堪らないなぁ~。
俺は勃たないからウィルにしてあげられない事が多いから、たっぷり可愛がってあげたい。
そう思ってさらに強く布越しにそれをしごいた。

「あっあっあっ……!!ダメ……ェ……ッ!!」

喘ぎなのか悲鳴なのか。
必死にウィルは叫ぶが体は刺激に抵抗できない。
可愛い……。
ウィルの体が快楽にのたうっている。
俺はふと興味が湧いて、その膨らみに顔を寄せ、ズッと強く吸ってやった。

「ああああぁっ!!」

「ふふっ。ウィル?脱がないからこんなに染みになっちゃったね?」

「だっだって……っ!き、気持ちいい……からぁ……っ!!」

「気持ちいい?もっとして欲しい?」

俺の言葉にウィルは真っ赤になってコクコク頷く。
なので先端を爪でカリカリと擦ってあげた。

「うわあああぁぁぁっ!!」

「わ、凄い……。溢れてきた。」

「ま、待って……!サークっ!!」

「何で??」

「……ちゃんと脱ぐから!……脱ぐから!あああぁぁぁっ!!イヤァ!!もうそれ!しないでくれ!!」

ガクガク腰を揺らしながら、あられのないポーズで悶えるウィル。
気持ちよくて辛いのか、ちょっと泣いてる。
やり過ぎちゃったからと思い、最後にチュッと布越しにキスをした。

「はい。良くできました。」

恥ずかしがってるウィルも可愛かったけど、気持ちよくて取り乱しちゃってるのも可愛い。
俺はちゃんと脱がせてと言えたウィルを撫でて労いながら、ベルトを外し前を開いた。
ぐっしょりと濡れ窮屈そうにしていた肉棒が、下着越しに自己主張している。
何か可愛い。
勃起ちんこは実験でたくさん見てきたけど、ウィルのだと思うと凄く愛おしい。
俺は悪戯にそれをピンッと指で弾き、舌を這わせた。

「サ、サーク……っ?!やめ……っ!!」

「見られたら恥ずかしいんだろ?汚すから脱いだらって言ったけど、もうこんなにぐしょぐしょだし、このままでもいいんじゃないか?」

わざとそんな事を言う。
そして下着のまま口に咥え、布越しに玉を揉みし抱いた。

これは結構効くってお店のママが教えてくれた。
数値測定したら、たしかに興奮度や快楽指数が高くて、へぇ~と思ったのだ。


「~~~っ!!」


ウィルにもちゃんと聞いたようで、体がビクンッと跳ね、声にならない叫びを上げている。
奥歯を噛み締め体をよじるウィル。
無意識に腰が浮いたところで、下着とズボンを膝上まで一気に脱がした。

「あっ……!!」

急にひんやりしたので気づいたのだろう。
ウィルがさっと手で竿を隠した。

う~ん??
こうなってもまだ恥ずかしさが先に立っちゃうんだなぁ??
協力してくれた夜の店の人や実験のおじさんは、ここまで来ると恥ずかしがったりせず、むしろ早くもっと!って感じだったんだけど??

もしかして……本当に嫌なのか?!
気持ちいいって言うからいいのかと思った!!
さっきまでちょっと変な気分になって、いい気になっていた俺は心配になって尋ねる。

「ウィル……そんなに嫌なの?本当に嫌なら、やめるけど……。」

「違っ……そうじゃなくて……っ。ちゃんと見られるの、初めてだから……。」

恥ずかしそうに言い淀むウィル。
う~ん??とりあえず、嫌な訳ではないのかな??

「うん、それはわかったんだけど……。そうだとしたら、これからもずっと見せてくれないの?」

「違う、けど……。何か不公平だろ……俺ばっかり恥ずかしくて……。」

なるほど、そうきたか。
ウィルは自分だけ脱がされてるから恥ずかしいのか。
確かにそれは研究とか実験では起こらないパターンだ。
納得した俺は、体を起こしガバッと服を脱ぎ捨て、上半身を裸にした。

「………っ!!」

ウィルが息を飲んだ。
それにニコっと微笑む。

「とりあえず上を脱いだけど、下も脱ぐ?」

ウィルは何も答えない。
寝転んだまま手招きしてくる。
何だろうと俺は覆い被さるように近づいた。
ウィルの火照った指が、俺の胸の傷痕を這う。
何かくすぐったい。

「起こして……。」

ウィルがそういって俺の体に腕を絡めてきたので抱き起こす。
ウィルはズボンから足を抜き、ワイシャツのボタンを全部外した。
前、全開なのにワイシャツを着たままなのは、わざとなのか天然か、その方がエロいことを知っているのか……。

「サーク……。」

お互い半裸のまま抱き合う。
ウィルの素肌の熱が直接肌に伝わる。
肌を重ねるって言うけどこういう事か……。
お互いの体温が、汗が、艶かしく混ざりあっていく。

「サーク……俺の体のどこを触ってもいいから、俺にも触らせて?」

「聞かなくてもいいのに。」

「舐めたりしても平気か?」

「いいよ。ただ期待通りの反応が返せるかはわかんないけど。」

「触って……。」

ウィルが俺の手を握り自分の胸元に置く。
俺はその手でウィルの胸元を愛撫し、反対の手でウィルの竿をしごいた。
ウィルも俺の体に手を滑らせ、肩の傷痕に舌を這わせた。
片方の手を自分の股間に持ってくると、俺と手を絡めながら竿をしごいていく。


「ウィル……。」


俺が延びかけると、顔を上げ、どちらからともなく舌を絡ませ合う。
性欲がないからウィルと同じように感じることはできないけど、ウィルとの深いキスはヌガーナッツを食べてるみたいな気がした。

「あ……っ!!」

「イキそう?」

ウィルが頷く。
俺はウィルが楽なように抱き締め方を変え、支えながら包みこむ。


「あっ……あっ……!!んっ!あああああぁっ!!」


ウィルが声を押さえようとした自分の指を唾液まみれにしながらイった。
何か、今までで一番、地味な終わり方だったけど、肌を重ねて求め合ったせいか、ウィルの顔が今までで一番満足げだった。
俺はウィルを抱き締めたまま聞いた。


「もっとする?」

「いや、今日は無理だ。十分幸せだから…。」
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