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第九章「海神編」
妖精さんいらっしゃい
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「……ほれ。」
「タ、タシケテ……。」
「いいから食えよ。」
「タシケテ……。」
「食えつってんだろ?!」
「ぴぃぃぃぃ~っ。」
アレックが黒猫のぬいぐるみキーホルダー、もとい、人工精霊にコーヒーシュガーの氷砂糖をぐりぐり押し付けている。
「アレック、やめなさい。怖がってるだろ。」
「いいから食え~っ!!」
「ぴぃぃぃぃ~っ!!」
こいつ……Sだな……。
怖がる人工精霊を見てニカァ~と笑っている。
猫目が爛々と開いていて、耳が少しの音も聞きもらすまいとぬいぐるみの方に向き、しっぽをくねらせている。
完全に新しいおもちゃを見つけた猫だ……。
人工精霊も可哀想に……。
……それにしても、ぴぃぃぃぃって何?!
「ほら、旨いから食ってみろって!!」
「ぴぃぃ……。」
ぴいぴい鳴きながら、人工精霊は観念してコーヒーシュガーをちっさな手で抱えた。
痛い事をされると思っているのか、ぷるぷる震えててちょっと可哀想だ。
「…………!!」
しかし口の辺りに氷砂糖を押し付けると、ぬいぐるみの目がぱぁっと明るく輝いた。
そしてそのまま、氷砂糖に口をくっつけ続けている。
ぬいぐるみだけど……食べれてるのか??これ??
アレックはその様子を満足気に眺めている。
何だかんだ、この人工精霊を気に入っているようだ。
「旨いか??」
「(コクコク)」
「痛い目ばかりだったみたいだしな、甘い目にもあっとけ。」
「(コクコク)」
アレックの言葉に、黒猫キーホルダーはコーヒーシュガーを食べながら(?)頷いている。
一見、微笑ましい光景に見えるが、アレックのニマァ~とした笑いを見ていると、微妙に不安だ。
「旨いだろ~?」
「(コクコク)」
「それは砂糖って言うんだぞ~?甘いだろ~?甘いのは幸せだろ~??」
ニマァ~と笑いながら、アレックは言う。
え??何この子??
優しくするとこう言う怖い顔になるの??
それとも何か企んでるのか??
しかし人工精霊は、今まで酷い目にしかあってこなかったせいか砂糖を食べながらキラキラした目でアレックを見上げている。
何も知らない無垢な目が、初めて受けた優しさに心を開き始めている。
ニマァ~とそれを見つめるアレック。
………………。
それはお前の優しさだと信じていいよな?!
アレック?!
「……フフフ、旨いか??旨いよなぁ……。知ってるか?甘いものを食べてばかりいると、虫歯になるんだぞ~。」
「!!」
にっこりと満足気に微笑んでアレックは言った。
その瞬間、ポトリと氷砂糖を落とす人口精霊。
「ぴ……ぴぃぃぃぃ~っ!!」
「うはははっ!!大変だ~♪虫歯になったら、痛い痛いだ~♪」
「……ケテ……タシケテ……タシケテ……。」
蹲り、小さな手で耳を押さえて丸くなる人工精霊。
ガタガタ震えている。
鬼か、お前は?!
俺はアレックの首根っこを掴んで軽く上に引き上げた。
「アレ~ックっ!!」
「うはは!!別に嘘は言ってねぇじゃん??」
「お前なぁ!!……あ~その、そこの精霊もどきの君、大丈夫だからね?!そんなすぐに虫歯にならないからね?!そもそも君には歯がないだろ?!どうやって虫歯になるんだよ?!だから落ち着いて?!ねっ?!」
「ぴ……ぴぃぃぃぃ……。」
俺にそう言われ、そう言えばそうだと気づいたのか震えは止まった。
でも丸く蹲ったまま、ぐじぐじ泣いているように見える。
よっぽど痛かったんだな……。
身代わりになってきた虫歯治療………。
心の底から不憫でならない。
「アレ~ック……っ!!……お前なぁ……なんでトラウマをえぐるような事、言ってんだよ?!」
「ん~??だって、こいつに虫歯の痛みを移した奴らはたくさん甘い思いをしてきたんだぜ?!それで虫歯になったんだからさぁ~、こいつにも痛い思いだけじゃなく甘い思いもさせないと不公平じゃん?!」
「おい……っ!!」
俺はぎょっとした。
そんな事を聞いて、人工精霊が今まで痛みを移してきた人に怨みを持ちかねないからだ。
人工とは言え精霊は精霊だ。
感情が具現化した様なそれに、怨みを教えたらどうなるかわかったものではない。
慌てる俺をよそに、アレックはつまみ上げている俺の手を振り払い、人工精霊の周りを両手で掴んで顔を寄せた。
「お前が今後どうなんのか知んないけど、痛い痛い思いをしたんだから、その分の甘い思いはしないと損だぜ?!世界にはな?旨いもんがたくさんあるんだよ。だから今のうちに色々、食っとけよ?!ここならご馳走がたくさん出てくっから。」
「ぴ……ぴぃぃ……。」
「なんか食いもんが出てきたら、こいつの皿から取れば良いからな?!」
そう言って俺を指差す。
「おいっ!!」
「良いだろ~??少しぐらい分けてやれよ?!」
「そういうのは普通、自分の分を分けるだろ?!なんで俺のから取る前提なんだよ?!」
「俺の分は俺のだもん。」
「お前なぁ……。」
「今まで痛い目を見た分、旨いもの食ってちょっとは楽しめよ!!」
テーブルにベタッと張り付いて、鼻をくっつけるほど近くで人工精霊を見つめながらアレックはニカァ~と笑う。
うん……。
なんか悪気はないんだろうな?
むしろ好意的に接してるつもりなんだろうな??
でもその半ば捕食対象を目の前にした肉食獣みたいな、爛々とした目と犬歯を目立たせる笑い方が何か不安を煽って来るんだよなぁ……。
人工精霊もアレックがどことなく自分を労おうとしてくれているのは感じているのだが、トラウマはほじくり返されるし、何しろこの捕食対象もしくは恰好のおもちゃを見つめる様な爛々とした目で見られて困惑しきっているようだ。
「…………ぴぃ……。」
ニマァ~と笑うアレック。
しっぽが結構、勢い良く振られている。
これって明らかに、獲物を狙って興奮している感じなんだよなぁ……。
「アレック、わかったから落ち着け?な??」
「落ち着いてんじゃん??て言うか、なんでこいつ、ぴぃってしか言わないの?!喋れないのか?!」
そう言って無造作に猫のぬいぐるみを両手で掴んだ。
躊躇ないな?!お前?!
それ、さっきまで変な身代わり人形に入ってた人工精霊が憑いてるもんだぞ?!
「ほら!ぴぃ以外も何か言えよ?!」
「ぴぃぃっ!」
「ぴぃじゃなくてさ~!!ほら!何か言え!!」
そう言ってむぎゅっとぬいぐるみを締め上げてる。
容赦のなさ、半端ない。
「うはははっ!!変な顔~!!」
「アレック!やめろって?!」
「……ケテ……タシケテ……タシケテ……。」
目を輝かせて無邪気に締め上げるアレックと、混乱してジタバタする黒猫のぬいぐるみ。
多分アレックは、労ってやりたい気持ちと半獣人としての本能的な狩猟本能の両方が出ていてこうなっているようだ。
だから優しく(?)もするが軽くいたぶってしまうし、それが面白いとも感じてしまうのだろう。
俺は困って義父さんの方を見つめた。
散々、空になった身代わり人形を褒めて観察しまくった義父さんは、俺の視線に気づくとにっこり笑って首を振った。
うん、これは限度を越さない限りは様子を見ろって合図だ。
教会でも子どもたちが喧嘩をはじめたり微妙な感じになった時、昔から義父さんはたまにこの合図をしてくる。
よくわからないが、義父さんはこの人工精霊をアレックに任せてみてるみたいだ。
確かに子供の純粋さや無邪気な残忍さは精霊と通じるところが多い。
子供の扱いも精霊の扱いも長い義父さんが、このへんてこな人工精霊とアレックの関係をひとまず見守れって言うのだから、度が過ぎた事をしない限りは二人(?)に任せた方がいいのだろう。
人工精霊って言うちょっと未知のもので不安はあるが、何か起きてもここには義父さんがいる訳で。
たとえ多少変な事が起こっても大丈夫だろう。
状況が落ち着いて、各自ここ数日で選た情報交換を行った。
ファーガスさんは近隣に住む精神魔法を使える人と片っ端から会ってみたみたいだが、その殆どは軽く相手の精神とリンクして不安を取り除くなどの精神治療者で、相手の精神内部深くまで潜れる様な人物は見つからなかったそうだ。
ブラハムさんは王様の許可を経て事情をフレデリカさんに話し、魔女ネットワークを用いて精神魔術が使える人物や、それに類似する事をやっている人、その際に使うお香やハーブ等の類の情報を集めてもらっているとの事だった。
「ひとまずワシもファーガスと同じで、精神内部深くまで潜れる人物には行き当たっておらんよ。ただ、香やハーブ等の薬草調剤のプロと言われる魔女がいて協力してくれそうだよ。」
「そのハーブとかって、どんな効能があるんですか??」
「うむ、まずは場の清めだな。今回は神仕え殿も精神内部に潜る事となる。潜っている間の場の清めはアレック君やファーガスがしてくれようが、どんな事態に陥るかわからぬ。潜る人物が多ければその分、その身体に何かあった際に対応できる魔法師が必要になろう。だから場の清めなどはそう言ったもので補った方が良かろうて。」
「そうだな。少なくとも殿下と神仕え殿、そしてそれをお連れする精神魔術師か魔法師の3名分の魔法師がいる。私とアレック君、ヘーゼル医務官長は場の清めよりも降りるものの身体機能管理に集中した方が良かろう。」
そう言えば、俺がヴィオールの呪いに当てられた時、リアナもまず香みたいのを焚いて場を清めてたよな?
即座に対応していた事から考えて、竜の谷ではラニの精神魔術は頻繁に使われていたみたいで詳しいだろうから、そう言った場合どうしていたのかちょっと聞いてみよう。
アレックはと言うと、結構役立ちそうなアイテムの情報を持ってきてくれた。
魔王クラスの精神負荷を跳ね除けられるアイテムや、精神攻撃から身を守るアイテムなんかだ。
一見関係ないように思われるが、精神内部に降りると言うのは外側の防御が何もできないむき出しの精神体だけで相手の内部に入るという、極めて危険な行いだ。
そこで精神攻撃から身を守れるアイテムを使えば、降りる精神体にも多少の防御を付加できる。
少なくとも精神下で受けたダメージが肉体側に反映される事はそれなりに防げる。
最悪精神下で何かあっても、肉体まで戻ってこられれば本人は致命的な状況は免れるだろう。
「そのような物があるとは……。なかなかの効果を期待できそうだな。」
「うむ、冒険者や探求者達の秘宝と言うのは、あまり正式な魔術・魔法学的に調査はされておらぬからの……。これを機に、お互い情報交換を進められれば多くの発見があるやもしれん。」
「その辺は俺にはわかんないよ。お宝は見つけたヤツのもんだし、鑑定して良かったモンはいざって時の為に人に見せないのが冒険者の定石だしさ。」
「それでも今回、それらのモノを見られ使わせてもらえる事は貴重でありありがたい。」
「ん~、でも問題があってさぁ~。頼めば貸してくれるんだけど、リース代がかかるんだよ。情報は初回の今回はサービスって事で無料で教えてくれたけどさ??借りるとなると、結構ふっかけられると思うぜ?!」
「あ~、だろうね……。」
あの守銭奴ババア……。
アレックの言葉に俺は頭を抱えた。
今回、取り急ぎ休暇も兼ねてアレックが話を聞いて来てくれたのは、実家とも言えるトート遺跡管理棟のボーンさんと同じ地域にある拠点ギルド、つまりフライハイトのギルドだ。
フライハイトのギルドマスターと言えば、当然、がめついマダムな訳で……。
だよな?!あの人ならそうだよな?!
商売根性、凄まじいからな?!
相手が王国となれば、相場よりゼロを1つか2つ多くつけてくるぞ?!あの人なら!!
「……何だと?!王国の命に対し、金銭を要求するのか?!」
これに対し貴族であるファーガスさんが憤慨している。
いや、貴族でお金にも生活にも余裕がある人間にとったら、王族の命令で何か差し出せって言われても多少の痛手にしかならないし、恩を売った事で得られる名声がその後の役にも立つだろうけどさ?!
庶民はそうじゃないからね?!
王命だからって、自分の持ち物の中で一番価値のある様なモノを差し出せってそれは横暴だろ??
しかもそれをしたからって、その後の生活に別に何の恩恵も受けないんだし。
「ファーガス、それは仕方のない事じゃ。貴族であるお主が家の馬を1頭、王命で差し出したとて生活に対して影響もなかろうが、多くの国民は違う。貯蓄の多くを払って手に入れたたった一頭しか家にいない馬を奪われたら、彼らは困窮してしまう。」
俺の気持ちを代弁するように、ブラハムさんが言った。
アレックも大きく頷いて、冷めた目でファーガスさんを見ている。
「冒険者は命張ってクエストしてんだぜ?!物凄い辺境地に赴いて命と引き換えに手に入れた様なお宝をさ、税金だの王命だのって言われてぶんだくられたらたまったもんじゃねぇよ。今回の事で広く周知されたけどさ?ギルドは所在地政府離脱権限持ってんだぜ??いざとなりゃ、この国から独立できんのを忘れんなよ?オッサン。俺らだってこの国が好きだからこの国に属してその法律に黙って従ってるけどよ?あんまりにも常識はずれな事してんと、またお灸をすえられる事になるのを忘れんなよ??」
アレックは大人顔負けの啖呵を切り、フンッと鼻を鳴らした。
幼い時からトート遺跡の管理棟で冒険者として育ってきたアレックは、そう言った理不尽をたくさん見てきたのだろう。
何しろ俺が任されるまではフレッチャー公が管理してた土地だから、ボーンさんも相当理不尽を強いられて来ただろうしな。
二人にそう言われ、ファーガスさんは青くなったり赤くなったり。
何か言いたげに口を開き、でも何も言わなかった。
貴族として生きてきたファーガスさんにとっての常識ではやっぱり納得がいかないのだろう。
でもだからといって相手の言い分がわからないほど頭の悪い人でもなく、他者を思いやれない人でもないのだろう。
ファーガスさんは思ったよりいい人なのかもしれない。
……変人だけど。
「かと言ってもなぁ~、俺もアレックと同じ気持ちだけど~、あの人にリース代払うんだろ~?!」
「そこはてめぇが交渉しろよサーク。領主だろうが、一応。」
「一応って言うな!!れっきとした領主だ!!」
「業務はイグナスさんが全部やってるけどな。」
「ゔ………。」
そこを突かれると痛いんですけどね…。
俺は項垂れた。
そんな時、コンコンっとドアがノックされた。
パスカルさんが細くドアを開けると、ギルが半身中に入り何やら話している。
そして引っ込んでいった。
何だろうと思っていると、こちらに来たパスカルさんが俺達に言った。
「お話中、失礼します。コーディ書記長がお見えになっております。」
「コーディ書記長??」
事情を飲み込んだ俺はすぐに立ち上がった。
俺以外の皆は、何故ここにライルのお父さんで王様の書記であるコーディ書記長が来たのかわからず不思議がっている。
パスカルさんは続けた。
「コーディ書記長は国王陛下より事情を聞いております。中にお通ししても?」
「事情をご存知なのでしたら、入って頂いた方が早いと思うのでお願いします。」
俺の言葉にパスカルさんは頷いて、ドアに向かった。
テーブルの皆が不思議そうな顔をしているので、俺は簡単に説明する。
「コーディ書記長は、ご趣味で秘宝等を集められていたり、不思議な話や研究にとてもお詳しいのです。なので事情を明かさず、精神魔術・魔法に関わる物品や研究、言い伝えなどがないか俺がお伺いしていたのです。」
そう言っているうちに、コーディ書記長が部屋に入ってきた。
一瞬、眠るライオネル殿下を見て狼狽したが、静かに礼を尽くし、そしてこちらにやってきた。
「サーク君!会えて嬉しいよ!」
「私もです。コーディ書記長。」
そう言ってハグを交わす。
相変わらず小さくて可愛い妖精みたいなおじさんだ。
軽く禿げてるけど。(チャームポイント)
俺とコーディ書記長が親密な事にパスカルさんまでびっくりしている。
そりゃな?この国の書記のトップである国王陛下の書記、コーディ書記長と俺では接点がなさすぎるもんな。
俺は苦笑してしまった。
「コーディ書記長は同僚の父上で、趣味が似通っていた事もあり、気があって親しくさせてもらっています。」
「突然このような場に私が来て驚かれていると思いますが、まずは、我が国の清き風、ライオネル殿下をお守りくださっている事に深く謝意を示させて頂きます。」
そう言ってコーディ書記長はテーブルにつく俺達に深く礼を尽くした。
皆、びっくりしているが、特にファーガスさんは慌てていた。
「コーディ書記長!!国王書記であるあなたが、その様に頭を下げては……!!」
「書記長など仕事の肩書に過ぎません。何より私など、人の命を前にしては何の役にも立ちません。この国の第三王子であるライオネル殿下の命をお守り下さっている皆様に頭を下げるなど、当然の礼儀だと心得ております。」
穏やかに、でも信念強くそう言って、コーディ書記長は笑った。
ちょっと感動してしまった。
気さくでエステルちゃんや大好きな不思議系の話を少年みたいなキラキラした顔で話す姿しか知らなかったけれど、ライルのお父さんてめちゃくちゃ人格者だ。
その場にいた全員が、これは国王の書記に大抜擢される訳だと納得した。
眩しい、聖人的オーラが眩しい。
決して髪が少なくなった頭皮が眩しい訳じゃない。
そんなコーディ書記長の人柄に俺達が圧倒されていると、当のコーディ書記長はくるりと俺を振り返った。
「それでサーク君?!その手の話を私はここで本当にしてしまっても、ひかれないかね?!」
俺を振り返った顔は、いつもの好奇心と探究心に満ち溢れた純朴な少年のようなキラキラした顔だった。
失礼ながら可愛い。
本当、いつ見ても小さい妖精みたいなおじさんだ。(禿げてるけど)
「はい。おそらくお話して頂く事によって、コーディ書記長も聞いたことのない話が聞けると思いますよ??」
そんなコーディ書記長が微笑ましくて、俺はちょっと笑いながら答えたのだった。
「タ、タシケテ……。」
「いいから食えよ。」
「タシケテ……。」
「食えつってんだろ?!」
「ぴぃぃぃぃ~っ。」
アレックが黒猫のぬいぐるみキーホルダー、もとい、人工精霊にコーヒーシュガーの氷砂糖をぐりぐり押し付けている。
「アレック、やめなさい。怖がってるだろ。」
「いいから食え~っ!!」
「ぴぃぃぃぃ~っ!!」
こいつ……Sだな……。
怖がる人工精霊を見てニカァ~と笑っている。
猫目が爛々と開いていて、耳が少しの音も聞きもらすまいとぬいぐるみの方に向き、しっぽをくねらせている。
完全に新しいおもちゃを見つけた猫だ……。
人工精霊も可哀想に……。
……それにしても、ぴぃぃぃぃって何?!
「ほら、旨いから食ってみろって!!」
「ぴぃぃ……。」
ぴいぴい鳴きながら、人工精霊は観念してコーヒーシュガーをちっさな手で抱えた。
痛い事をされると思っているのか、ぷるぷる震えててちょっと可哀想だ。
「…………!!」
しかし口の辺りに氷砂糖を押し付けると、ぬいぐるみの目がぱぁっと明るく輝いた。
そしてそのまま、氷砂糖に口をくっつけ続けている。
ぬいぐるみだけど……食べれてるのか??これ??
アレックはその様子を満足気に眺めている。
何だかんだ、この人工精霊を気に入っているようだ。
「旨いか??」
「(コクコク)」
「痛い目ばかりだったみたいだしな、甘い目にもあっとけ。」
「(コクコク)」
アレックの言葉に、黒猫キーホルダーはコーヒーシュガーを食べながら(?)頷いている。
一見、微笑ましい光景に見えるが、アレックのニマァ~とした笑いを見ていると、微妙に不安だ。
「旨いだろ~?」
「(コクコク)」
「それは砂糖って言うんだぞ~?甘いだろ~?甘いのは幸せだろ~??」
ニマァ~と笑いながら、アレックは言う。
え??何この子??
優しくするとこう言う怖い顔になるの??
それとも何か企んでるのか??
しかし人工精霊は、今まで酷い目にしかあってこなかったせいか砂糖を食べながらキラキラした目でアレックを見上げている。
何も知らない無垢な目が、初めて受けた優しさに心を開き始めている。
ニマァ~とそれを見つめるアレック。
………………。
それはお前の優しさだと信じていいよな?!
アレック?!
「……フフフ、旨いか??旨いよなぁ……。知ってるか?甘いものを食べてばかりいると、虫歯になるんだぞ~。」
「!!」
にっこりと満足気に微笑んでアレックは言った。
その瞬間、ポトリと氷砂糖を落とす人口精霊。
「ぴ……ぴぃぃぃぃ~っ!!」
「うはははっ!!大変だ~♪虫歯になったら、痛い痛いだ~♪」
「……ケテ……タシケテ……タシケテ……。」
蹲り、小さな手で耳を押さえて丸くなる人工精霊。
ガタガタ震えている。
鬼か、お前は?!
俺はアレックの首根っこを掴んで軽く上に引き上げた。
「アレ~ックっ!!」
「うはは!!別に嘘は言ってねぇじゃん??」
「お前なぁ!!……あ~その、そこの精霊もどきの君、大丈夫だからね?!そんなすぐに虫歯にならないからね?!そもそも君には歯がないだろ?!どうやって虫歯になるんだよ?!だから落ち着いて?!ねっ?!」
「ぴ……ぴぃぃぃぃ……。」
俺にそう言われ、そう言えばそうだと気づいたのか震えは止まった。
でも丸く蹲ったまま、ぐじぐじ泣いているように見える。
よっぽど痛かったんだな……。
身代わりになってきた虫歯治療………。
心の底から不憫でならない。
「アレ~ック……っ!!……お前なぁ……なんでトラウマをえぐるような事、言ってんだよ?!」
「ん~??だって、こいつに虫歯の痛みを移した奴らはたくさん甘い思いをしてきたんだぜ?!それで虫歯になったんだからさぁ~、こいつにも痛い思いだけじゃなく甘い思いもさせないと不公平じゃん?!」
「おい……っ!!」
俺はぎょっとした。
そんな事を聞いて、人工精霊が今まで痛みを移してきた人に怨みを持ちかねないからだ。
人工とは言え精霊は精霊だ。
感情が具現化した様なそれに、怨みを教えたらどうなるかわかったものではない。
慌てる俺をよそに、アレックはつまみ上げている俺の手を振り払い、人工精霊の周りを両手で掴んで顔を寄せた。
「お前が今後どうなんのか知んないけど、痛い痛い思いをしたんだから、その分の甘い思いはしないと損だぜ?!世界にはな?旨いもんがたくさんあるんだよ。だから今のうちに色々、食っとけよ?!ここならご馳走がたくさん出てくっから。」
「ぴ……ぴぃぃ……。」
「なんか食いもんが出てきたら、こいつの皿から取れば良いからな?!」
そう言って俺を指差す。
「おいっ!!」
「良いだろ~??少しぐらい分けてやれよ?!」
「そういうのは普通、自分の分を分けるだろ?!なんで俺のから取る前提なんだよ?!」
「俺の分は俺のだもん。」
「お前なぁ……。」
「今まで痛い目を見た分、旨いもの食ってちょっとは楽しめよ!!」
テーブルにベタッと張り付いて、鼻をくっつけるほど近くで人工精霊を見つめながらアレックはニカァ~と笑う。
うん……。
なんか悪気はないんだろうな?
むしろ好意的に接してるつもりなんだろうな??
でもその半ば捕食対象を目の前にした肉食獣みたいな、爛々とした目と犬歯を目立たせる笑い方が何か不安を煽って来るんだよなぁ……。
人工精霊もアレックがどことなく自分を労おうとしてくれているのは感じているのだが、トラウマはほじくり返されるし、何しろこの捕食対象もしくは恰好のおもちゃを見つめる様な爛々とした目で見られて困惑しきっているようだ。
「…………ぴぃ……。」
ニマァ~と笑うアレック。
しっぽが結構、勢い良く振られている。
これって明らかに、獲物を狙って興奮している感じなんだよなぁ……。
「アレック、わかったから落ち着け?な??」
「落ち着いてんじゃん??て言うか、なんでこいつ、ぴぃってしか言わないの?!喋れないのか?!」
そう言って無造作に猫のぬいぐるみを両手で掴んだ。
躊躇ないな?!お前?!
それ、さっきまで変な身代わり人形に入ってた人工精霊が憑いてるもんだぞ?!
「ほら!ぴぃ以外も何か言えよ?!」
「ぴぃぃっ!」
「ぴぃじゃなくてさ~!!ほら!何か言え!!」
そう言ってむぎゅっとぬいぐるみを締め上げてる。
容赦のなさ、半端ない。
「うはははっ!!変な顔~!!」
「アレック!やめろって?!」
「……ケテ……タシケテ……タシケテ……。」
目を輝かせて無邪気に締め上げるアレックと、混乱してジタバタする黒猫のぬいぐるみ。
多分アレックは、労ってやりたい気持ちと半獣人としての本能的な狩猟本能の両方が出ていてこうなっているようだ。
だから優しく(?)もするが軽くいたぶってしまうし、それが面白いとも感じてしまうのだろう。
俺は困って義父さんの方を見つめた。
散々、空になった身代わり人形を褒めて観察しまくった義父さんは、俺の視線に気づくとにっこり笑って首を振った。
うん、これは限度を越さない限りは様子を見ろって合図だ。
教会でも子どもたちが喧嘩をはじめたり微妙な感じになった時、昔から義父さんはたまにこの合図をしてくる。
よくわからないが、義父さんはこの人工精霊をアレックに任せてみてるみたいだ。
確かに子供の純粋さや無邪気な残忍さは精霊と通じるところが多い。
子供の扱いも精霊の扱いも長い義父さんが、このへんてこな人工精霊とアレックの関係をひとまず見守れって言うのだから、度が過ぎた事をしない限りは二人(?)に任せた方がいいのだろう。
人工精霊って言うちょっと未知のもので不安はあるが、何か起きてもここには義父さんがいる訳で。
たとえ多少変な事が起こっても大丈夫だろう。
状況が落ち着いて、各自ここ数日で選た情報交換を行った。
ファーガスさんは近隣に住む精神魔法を使える人と片っ端から会ってみたみたいだが、その殆どは軽く相手の精神とリンクして不安を取り除くなどの精神治療者で、相手の精神内部深くまで潜れる様な人物は見つからなかったそうだ。
ブラハムさんは王様の許可を経て事情をフレデリカさんに話し、魔女ネットワークを用いて精神魔術が使える人物や、それに類似する事をやっている人、その際に使うお香やハーブ等の類の情報を集めてもらっているとの事だった。
「ひとまずワシもファーガスと同じで、精神内部深くまで潜れる人物には行き当たっておらんよ。ただ、香やハーブ等の薬草調剤のプロと言われる魔女がいて協力してくれそうだよ。」
「そのハーブとかって、どんな効能があるんですか??」
「うむ、まずは場の清めだな。今回は神仕え殿も精神内部に潜る事となる。潜っている間の場の清めはアレック君やファーガスがしてくれようが、どんな事態に陥るかわからぬ。潜る人物が多ければその分、その身体に何かあった際に対応できる魔法師が必要になろう。だから場の清めなどはそう言ったもので補った方が良かろうて。」
「そうだな。少なくとも殿下と神仕え殿、そしてそれをお連れする精神魔術師か魔法師の3名分の魔法師がいる。私とアレック君、ヘーゼル医務官長は場の清めよりも降りるものの身体機能管理に集中した方が良かろう。」
そう言えば、俺がヴィオールの呪いに当てられた時、リアナもまず香みたいのを焚いて場を清めてたよな?
即座に対応していた事から考えて、竜の谷ではラニの精神魔術は頻繁に使われていたみたいで詳しいだろうから、そう言った場合どうしていたのかちょっと聞いてみよう。
アレックはと言うと、結構役立ちそうなアイテムの情報を持ってきてくれた。
魔王クラスの精神負荷を跳ね除けられるアイテムや、精神攻撃から身を守るアイテムなんかだ。
一見関係ないように思われるが、精神内部に降りると言うのは外側の防御が何もできないむき出しの精神体だけで相手の内部に入るという、極めて危険な行いだ。
そこで精神攻撃から身を守れるアイテムを使えば、降りる精神体にも多少の防御を付加できる。
少なくとも精神下で受けたダメージが肉体側に反映される事はそれなりに防げる。
最悪精神下で何かあっても、肉体まで戻ってこられれば本人は致命的な状況は免れるだろう。
「そのような物があるとは……。なかなかの効果を期待できそうだな。」
「うむ、冒険者や探求者達の秘宝と言うのは、あまり正式な魔術・魔法学的に調査はされておらぬからの……。これを機に、お互い情報交換を進められれば多くの発見があるやもしれん。」
「その辺は俺にはわかんないよ。お宝は見つけたヤツのもんだし、鑑定して良かったモンはいざって時の為に人に見せないのが冒険者の定石だしさ。」
「それでも今回、それらのモノを見られ使わせてもらえる事は貴重でありありがたい。」
「ん~、でも問題があってさぁ~。頼めば貸してくれるんだけど、リース代がかかるんだよ。情報は初回の今回はサービスって事で無料で教えてくれたけどさ??借りるとなると、結構ふっかけられると思うぜ?!」
「あ~、だろうね……。」
あの守銭奴ババア……。
アレックの言葉に俺は頭を抱えた。
今回、取り急ぎ休暇も兼ねてアレックが話を聞いて来てくれたのは、実家とも言えるトート遺跡管理棟のボーンさんと同じ地域にある拠点ギルド、つまりフライハイトのギルドだ。
フライハイトのギルドマスターと言えば、当然、がめついマダムな訳で……。
だよな?!あの人ならそうだよな?!
商売根性、凄まじいからな?!
相手が王国となれば、相場よりゼロを1つか2つ多くつけてくるぞ?!あの人なら!!
「……何だと?!王国の命に対し、金銭を要求するのか?!」
これに対し貴族であるファーガスさんが憤慨している。
いや、貴族でお金にも生活にも余裕がある人間にとったら、王族の命令で何か差し出せって言われても多少の痛手にしかならないし、恩を売った事で得られる名声がその後の役にも立つだろうけどさ?!
庶民はそうじゃないからね?!
王命だからって、自分の持ち物の中で一番価値のある様なモノを差し出せってそれは横暴だろ??
しかもそれをしたからって、その後の生活に別に何の恩恵も受けないんだし。
「ファーガス、それは仕方のない事じゃ。貴族であるお主が家の馬を1頭、王命で差し出したとて生活に対して影響もなかろうが、多くの国民は違う。貯蓄の多くを払って手に入れたたった一頭しか家にいない馬を奪われたら、彼らは困窮してしまう。」
俺の気持ちを代弁するように、ブラハムさんが言った。
アレックも大きく頷いて、冷めた目でファーガスさんを見ている。
「冒険者は命張ってクエストしてんだぜ?!物凄い辺境地に赴いて命と引き換えに手に入れた様なお宝をさ、税金だの王命だのって言われてぶんだくられたらたまったもんじゃねぇよ。今回の事で広く周知されたけどさ?ギルドは所在地政府離脱権限持ってんだぜ??いざとなりゃ、この国から独立できんのを忘れんなよ?オッサン。俺らだってこの国が好きだからこの国に属してその法律に黙って従ってるけどよ?あんまりにも常識はずれな事してんと、またお灸をすえられる事になるのを忘れんなよ??」
アレックは大人顔負けの啖呵を切り、フンッと鼻を鳴らした。
幼い時からトート遺跡の管理棟で冒険者として育ってきたアレックは、そう言った理不尽をたくさん見てきたのだろう。
何しろ俺が任されるまではフレッチャー公が管理してた土地だから、ボーンさんも相当理不尽を強いられて来ただろうしな。
二人にそう言われ、ファーガスさんは青くなったり赤くなったり。
何か言いたげに口を開き、でも何も言わなかった。
貴族として生きてきたファーガスさんにとっての常識ではやっぱり納得がいかないのだろう。
でもだからといって相手の言い分がわからないほど頭の悪い人でもなく、他者を思いやれない人でもないのだろう。
ファーガスさんは思ったよりいい人なのかもしれない。
……変人だけど。
「かと言ってもなぁ~、俺もアレックと同じ気持ちだけど~、あの人にリース代払うんだろ~?!」
「そこはてめぇが交渉しろよサーク。領主だろうが、一応。」
「一応って言うな!!れっきとした領主だ!!」
「業務はイグナスさんが全部やってるけどな。」
「ゔ………。」
そこを突かれると痛いんですけどね…。
俺は項垂れた。
そんな時、コンコンっとドアがノックされた。
パスカルさんが細くドアを開けると、ギルが半身中に入り何やら話している。
そして引っ込んでいった。
何だろうと思っていると、こちらに来たパスカルさんが俺達に言った。
「お話中、失礼します。コーディ書記長がお見えになっております。」
「コーディ書記長??」
事情を飲み込んだ俺はすぐに立ち上がった。
俺以外の皆は、何故ここにライルのお父さんで王様の書記であるコーディ書記長が来たのかわからず不思議がっている。
パスカルさんは続けた。
「コーディ書記長は国王陛下より事情を聞いております。中にお通ししても?」
「事情をご存知なのでしたら、入って頂いた方が早いと思うのでお願いします。」
俺の言葉にパスカルさんは頷いて、ドアに向かった。
テーブルの皆が不思議そうな顔をしているので、俺は簡単に説明する。
「コーディ書記長は、ご趣味で秘宝等を集められていたり、不思議な話や研究にとてもお詳しいのです。なので事情を明かさず、精神魔術・魔法に関わる物品や研究、言い伝えなどがないか俺がお伺いしていたのです。」
そう言っているうちに、コーディ書記長が部屋に入ってきた。
一瞬、眠るライオネル殿下を見て狼狽したが、静かに礼を尽くし、そしてこちらにやってきた。
「サーク君!会えて嬉しいよ!」
「私もです。コーディ書記長。」
そう言ってハグを交わす。
相変わらず小さくて可愛い妖精みたいなおじさんだ。
軽く禿げてるけど。(チャームポイント)
俺とコーディ書記長が親密な事にパスカルさんまでびっくりしている。
そりゃな?この国の書記のトップである国王陛下の書記、コーディ書記長と俺では接点がなさすぎるもんな。
俺は苦笑してしまった。
「コーディ書記長は同僚の父上で、趣味が似通っていた事もあり、気があって親しくさせてもらっています。」
「突然このような場に私が来て驚かれていると思いますが、まずは、我が国の清き風、ライオネル殿下をお守りくださっている事に深く謝意を示させて頂きます。」
そう言ってコーディ書記長はテーブルにつく俺達に深く礼を尽くした。
皆、びっくりしているが、特にファーガスさんは慌てていた。
「コーディ書記長!!国王書記であるあなたが、その様に頭を下げては……!!」
「書記長など仕事の肩書に過ぎません。何より私など、人の命を前にしては何の役にも立ちません。この国の第三王子であるライオネル殿下の命をお守り下さっている皆様に頭を下げるなど、当然の礼儀だと心得ております。」
穏やかに、でも信念強くそう言って、コーディ書記長は笑った。
ちょっと感動してしまった。
気さくでエステルちゃんや大好きな不思議系の話を少年みたいなキラキラした顔で話す姿しか知らなかったけれど、ライルのお父さんてめちゃくちゃ人格者だ。
その場にいた全員が、これは国王の書記に大抜擢される訳だと納得した。
眩しい、聖人的オーラが眩しい。
決して髪が少なくなった頭皮が眩しい訳じゃない。
そんなコーディ書記長の人柄に俺達が圧倒されていると、当のコーディ書記長はくるりと俺を振り返った。
「それでサーク君?!その手の話を私はここで本当にしてしまっても、ひかれないかね?!」
俺を振り返った顔は、いつもの好奇心と探究心に満ち溢れた純朴な少年のようなキラキラした顔だった。
失礼ながら可愛い。
本当、いつ見ても小さい妖精みたいなおじさんだ。(禿げてるけど)
「はい。おそらくお話して頂く事によって、コーディ書記長も聞いたことのない話が聞けると思いますよ??」
そんなコーディ書記長が微笑ましくて、俺はちょっと笑いながら答えたのだった。
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