欠片の軌跡⑥〜背徳の旅路

ねぎ(塩ダレ)

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第九章「海神編」

後悔

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『……変なの。』

注意深く人の無意識の間を移動する俺に、ラニが呟いた。
何かあったのだろうか?!
その割に声は穏やかだった。

「どうしたんだ?ラニ??」

『うん……僕もこっち側……個人の精神世界より奥にはあまり来ないからよくわかんないんだけど……。避けるんだよね……。』

「避ける??」

『うん……お兄ちゃんが近づいてくると、皆、道を開けるみたいに距離をとるんだ……。無意識なのに……。』

「へ??」

俺は無意識と無意識の間をカニ歩きみたいに避ける意識を持ちながら、そう声を上げた。
俺から離れるって……これで離れてんの?!
だとしたら人の無意識同士って、意外と近い距離にあるもんなんだなぁなんて思う。

「その割には結構、近くないか……?触れそうで怖い……。」

『あ、近くにあるのは多分、何らかの形でお兄ちゃんと関わりがある人の無意識だと思う。』

「そうなの?!」

『うん。お兄ちゃんが近づいてもほとんど避けないんだもん。だから多分お兄ちゃんを知ってるんだ。それが過去なのか今なのか未来なのかはわからないけど……。』

精神世界には時間が存在しない。
と言うか、まぜこぜになっている。
だから今という概念はないのだ。
それを思い出す。

「……と言うか、俺を知らない無意識はそんなあからさまに避けてるのか?!」

『うん、ヤバイものが来たみたいに。』

何だよそれ、軽くショックなんだけど……。
俺のどこがヤバイって言うんだよ?!

「……何か、地味にショックだ。」

『ごめん、僕がそう思っただけで、単に無意識だからこそ、知らない何かに近づかれるのを嫌がっているのかも。』

「だといいんだけど……。」

それならいいが、俺だから避けられるのだとしたら泣きそうだ。
ちょっと凹んで俺は立ち止まった。

『お兄ちゃん!!気を抜かないで!!』

「へ?!」

その瞬間、ズボッと片足が何かに入り込んだ。
落ち込んだせいで、俺は少し下に落ちていたのだ。
そのせいで誰かの無意識と接触してしまった。
しまった!!と思った時には、俺の意識は何かノイズがかかったように乱れ、今いる場所と別の場所が重なって見えた。

「?!」

『オニイチャン……!!』

ラニの声が歪み、引き上げようとする力を振り切るように何かが俺の意識を強く引っ張った。

ブン…ッと真っ暗な場所が視界に落ちる。

やってしまった…。
俺は誰かの無意識の中に入ってしまった。
とにかく影響を与えないように気配を殺す。

『……あれ?!』

その中で聞き覚えのある声がした。
いるはずのないその人の声に、俺は少しぎょっとしてしまう。
声はしたが真っ暗なままだ。
これはどうしたらいいのだろう?!

『……随分いい度胸だ!小童が!!』

『瞬きほどの時間しか生きておらぬ人間の分際で!表層意識のみならず!我らの「推し」の心を深く探ろうとは!!覚悟はよいな?!』

そこに聞き覚えのない、随分と猛々しい声が響き渡る。
小童って……俺が知っている限り、小童ではないはずだけどなぁ……その人……。
でも時間の概念がない場所だし、声は聞き覚えがあったけれど、俺の知ってる頃の時間とは限らない。
いつの話かわからないんだから、そういうものなのかもしれないと無理矢理納得させる。

『………………。』

突然聴こえた神々しい声に、俺の知っている人はあえて声を発しない。
固く口を閉している。
だが、その人が冷静な事は何となくわかった。
こういった事にも慣れているのか、黙して様子を見ている。

『この不届者が!!』

『この者の心が知りたくなる気持ちはわかるが!それはルール違反というものだ!!』

『そうだ!「推し」とはこの者の心がどこにあろうと!黙って推すのだ!!』

………………。

て言うか、何なの??
こっちの声の主達は??

随分と勇ましく神々しい声なのだが、言ってる事がヤバい……。
推しって……大丈夫か?!
何の話をしてるんだ??いったい……?!

呆気にとられる俺をよそに、その声達は続ける。

『全く、こういう不届者がおるから、少しの油断もできぬ。』

『本当だ。国の外に行くなどと言い出すから、我ら二人がついてきて本当に良かった。』

『まぁ、僅かな間とはいえ、今の不安定な情勢で水の神を国からお出しする訳には行かぬからな……。』

水の神??
水の神ってひょっとして水神様の事なのか??

国の外に出たのについてきた??
だとすると東の国から出て来た何かについてきたって事なのか??

よくわからない。

『あの方も……ついていくと言って癇癪を起こしかけた時はどうしようかと思ったぞ……。いくら「推し」の為とはいえ、少しは一国を護りしの王である事を自覚してもらいたいものだ。順番だってあるのだから……。』

『全くだ。いくら親衛会会長の水の神と言えど、お付き当番は当番だからな。ゆずる訳には行かぬ。』

『その通りだ!ただでさえ会員数が増えて中々回って来ぬのだ……。水の神と言えど、おいそれとゆずる訳には行かぬ。』

おいおいおいおい。
マジで何の話をしてんの?!

俺は何となく嫌な予感がしてきて、顔を引きつらせる。
俺を避けずに近くにある無意識は、俺と関わりのある人である可能性が高いとラニは言っていた。

マジか……。
俺の予想が正しければ、これはそういう事になる……。

『……して??小童、どのような意図でこの者の心を探ろうとしたのだ?!』

『事と次第によっては、その命をもって償わせる故、そう思え!!』

いきなりキリリとそれらは神様ぶってそう言った。
さっきまでジョシュア国王張りに滅茶苦茶アイドルオタクみたいな事を言っていた癖に……。
大丈夫なのか?!東の国の神様達は……?!

俺は手で額を押さえて項垂れた。
何か……色々わかってきた気がしたからだ……。
俺の知っている誰かはしばらく黙った後、特に悪びれる様子もなく告げた。

『私の「推し」に対し悪意がないかを調べる為です。』

顔は見えないが、にこ~といつもの外面のいい執事スマイルを浮かべているのが目に浮かんだ。
何なの……もう……。
本当、訳わかんないんだけど……。

『ほう…??お主も「推し」がおるのか??』

『はい。幼い頃よりの「最推し」です。』

『うむ……推しを守る為にした事という訳か……。』

『「最推し」を守ろうとしての事であるなら、致し方ない……。』

『我らとて、その為にこうしておるのだからな……。』

おいおいおいおい!!
丸め込まれてるぞ!それでいいのか?!神様?!
この人!言っとくけど、そこまで性格良くないからな!!

案の定にんまり笑う気配がした。
この人……神様まで手のひらで転がすのかよ……。
本当、信じられない……。

『私は私の「推し」を守りたかっただけです。悪意を持たぬそちらの「推し」を侮辱するつもりも傷付けるつもりもございません。』

『そうか……。』

そしてしばし沈黙が流れる。
そこにダメ押しとばかりにその人が言った。

『この方は素晴らしい方です。私は同じく「推し」を持つものとして、人様のものに……皆様の「推し」に手出しする気は全くありません。どうかご安心ください。』

その言葉を聞いた辺りで俺は物凄い力で引っ張られ、そこよりは明るい場所に引っぱりだされた。
突然、自分を取り囲む感覚が変わったので頭の中がチカチカする。

『お兄ちゃん!!』

「……あ~、ラニ……。」

『大丈夫?!』

「大丈夫、大丈夫……大丈夫なんだけど……マジか……。」

これってあの時の事だよな……。
無意識界に時間の概念がないってのは本当だな。
あの時の事がここにある事も驚きだが、あの短い間にこんな事も起きていたなんて知らなかった……。

『お兄ちゃん、何を見たかはわからないけど、今はそこに意識を向けないで!引き上げるの大変だったんだから!!』

「あ、ごめん。」

そうだ、今はそれどころじゃない。
その件も滅茶苦茶気になる事ではあるが、今考えなくてもいい事だ。

俺は気持ちを切り替えた。
この世界精神の中では、少しの気の緩みが今みたいな事に繋がる。
早く目的を達成して今回の計画の主要になっている「道」の方に戻らなくては。

だが、内容が内容だっただけに中々頭の片隅から出ていかない。
上手く思うように自分の精神体を動かせなくなってきて、俺はあえて別の事を考える事にした。

「そう言えば、どうやって海神に仮想精神空間に入ってもらったんだ??」

これはかなり気になる部分だった。
小窓から感じ取っただけだが、あれだけの強い精神体に働きかけたなら、いくらラニが精神魔術師として優れていてもかなりの危険を侵したはずだ。
だがラニは、疲弊してはいたがそこまで追い詰められ切り詰められた感じではない。

『……僕は何もしなかったよ。それが僕にできる最善だと思ったから。』

俺にそう聞かれ、ラニはちょっと困ったようにそう言った。
何もしなかったとはどういう事だろう??
不思議がる俺に、ラニは続けた。

『計画を知ってからずっと悩んでいたんだ。どうやって海様を起こして、どうやって仮想精神空間にお連れすればいいのか……。僕は風様を知っているから、海様がどういうものなのか具体的に把握できた。とてもじゃないけど、人間一人が対応できる許容量を遥かに超える存在だから、軽く働きかけただけでも僕自身が消滅する恐れがあった……。』

「そんなに危険だったのに引き受けたのか?!何で言わなかったんだ?!」

さらりと言われたラニの言葉にギョッとする。
そこまできちんと把握して理解していたのなら、どうして引き受けたのかと、何でそんなに危険な事を俺に言わなかったのかと思った。

『お兄ちゃん!集中して!!海様も危険だけど!!ここも同じぐらい危険なんだよ?!』

「ごめん……。」

思わず意識の乱れた俺を、ラニが強めの言葉で嗜めた。
うぅ、こっちに集中しようとしてこの話を持ち出したのに、同じ事になっては意味がない。
周囲とラニの意識が導く感覚に意識を集中し直す。

『……下手に接触を試みるのはかえって危険だと思った。だから僕、あえて何もしない事にしたんだ。』

「何もしない??」

『うん。僕がしたのは、王子様の精神深部世界と仮想精神空間を繋げただけだ。その後はとにかく気づかれないように意識を殺してた。』

「……どういう事だ??」

『意識って、どうしたらそこに向けられると思う??』

「ん~、呼びかけるとか、注意を引くとかか??」

『それが普通の方法だね。でもそれ以外にもある。本能的なものの働きだよ。匂いがすればそちらに意識が向くし、音がすれば振り向く。そして、目覚めた時に光が見えれば、自然と意識はそっちに向かうんだ。』

「……なるほど。」

ラニの言葉に俺は目から鱗が落ちる思いだった。
巨大な意識体に蟻みたいな俺達人間の意識がどんなに働きかけたって、押しつぶされるのが目に見えてる。
だが、相手の本能的な反応に任せれば、無理に働きかけなくとも動かす事が可能になる。

「……凄いな、ラニ。脱帽した。」

『ふふっ、ありがとう。だから本当、僕、海様に対しては何もしてないんだ。むしろ気づかれないよう細心の注意を払ったよ。向こうには海様に呼びかけようとしているおじさんがいる。意識を向けた先に何かの気配を感じれば、それが何か確かめようと意識は動くから。後は仮想精神空間を明るくしておく事に意識を向けてた。海様が入ったら主導権は保てなかったから明かりは消えちゃったけど、目的は果たせたからね。』

幼くとも流石は精神魔術師。
そんな方法、俺なら思い付かなかっただろう。
本当に凄い。
何でもない事のようにラニは話しているが、精神空間で自分を守りつつ相手の意識を導く術に長けている。

『ちょっと、おじさんに丸投げで申し訳なかったんだけど……。』

「いや、ラニは最善を尽して自分のすべき仕事をした。とても立派だと思う。」

『……そうかな?もっと何かできたかもしれない……。』

「いや、自分の役割を一番問題ない形でやり遂げたんだ。そこから先は義父さんの仕事だ。義父さんも最善を尽してくれる。だから大丈夫だよ。」

『……そうだね。僕はおじさんみたいに海様の前で堂々と自分を保っている自信はないから、本当、凄いなって思うし、僕が何かするよりおじさんに任せた方がいい結果になると思うよ。』

「それぞれ、自分の仕事に最善を尽くす。今の俺達にできるのはそれだけだ。その中でラニはとてもうまくやってくれたと思うよ。」

『……でも、予想外の事が起きた。』

「あぁ……。」

考えが甘かった。
ライオネル殿下が目覚めない事は、全く予想していなかった。

俺達は海神に対しての対策は議論してきたが、ライオネル殿下の精神に対する対策は何も話してこなかった。
殿下の精神が酷く疲弊しているとは思っていたが、まさか呼びかけに応えないほど自我の認識を損なっているとまで考えが至らなかった。

海神を仮想精神空間に送った後、眠りから覚めるよう呼びかけ表層意識まで運び、後は外からファーガスさんとヘーゼル医務官長で精神回復を行い、肉体との結びつきを戻す予定だった。
誰も殿下が目覚めないという事態を考えていなかった。

これは俺達チームの判断の甘さだ。
海神の大きさに気を取られ過ぎ、それに晒され続けていたライオネル殿下の人としての精神の繊細さに配慮する事を見落とした。

「……殿下の事は俺が最善を尽くすよ、ラニ。どこまでできるかわからないけれど、やるしかない。何か注意点なんかあったら教えてくれるか?」

だがまだ終わった訳じゃない。
殿下は消えてしまったんじゃない。
反応しないが、まだそこにいるのだ。
何か手はあるはずだ。

『……これは予想なんだけど、王子様が頑なに自己を切ろうとしている理由と、それでもまだ自分を保っている理由は同じものなんじゃないかと思うんだ……。』

「……どういう意味だ??」

『お兄ちゃんだよ。』

「え?」

『お兄ちゃんなんだ。王子様が自己を切ろうとしている理由も、まだ自分を保っている理由も、お兄ちゃんなんだよ。お兄ちゃんを守りたくて王子様は自分を無に返そうとしてる。でも、同じ理由でまだ自分が捨てきれないんだ。』

「………………。そうか……。」

『僕……王子様の中に潜りながら意識の断片を見た……。だから、そう思うんだ。……お兄ちゃんの呼びかけになら、何らかの形で応えるんじゃないかって……。』

「うん……。」

『……王子様、多分、待ってるんだ……お兄ちゃんが助けに来てくれる事を……。自分を切り離してもなお、お兄ちゃんが助けに来てくれる事を、気持ちのどこかで待ってるんだよ……。』

俺は何も言えなかった。

ずっと……。
出会った時からずっと、俺はライオネル殿下から逃げてきた。

その想いに気づきながらも、何らかの理由をつけて逃げてきた。
嫌だともいいとも返事をきちんと出さず、なあなあに丸く収まるように、とりあえず問題なく誤魔化して逃げてきた。

「……そのツケを、払う時が来たんだな……。」

そんな風に思う。
誰かの想いに答えを出すというのは、簡単じゃない。
相手も自分も傷付く行為だ。
そしてそれは、もう元には戻らない。

この答えで、俺とライオネル殿下の関係は終わる。

だからごまかしごまかしやってきたのだ。
そのまま、何となく過ぎ去ればいいと思っていた。

だって相手は王族だ。
下手に無下にして関係を悪化させるのは自分的にも世間的にも良くないと思ったから、俺は誤魔化して逃げてきた。
自分の気持ちなんてとっくに決まっているのに、誤魔化して逃げてきたのだ。

「……そう思うと、マダムって凄いな。きちんと王様に答えを渡したんだから……。」

マダムは王様に対して誠実だった。
逃げたりせず、正面から向き合って答えを出したのだ。
だから今でも愛されるのかもしれない。

「俺は……多分、駄目だな……。」

誠実じゃなかった。
そう思って自分を笑った。

『……お兄ちゃん、見えた……。』

「え?」

『あそこにある……。あれが、王子様の無意識だよ……。』

ラニの意識に引っ張られ、俺はそれを見た。
どうしてなのか、そこにライオネル殿下がいる事がわかる。

信じられなかった。
胸が詰まり、意識体なのに涙が溢れた。


「……殿下……ライオネル殿下……。ごめん、ごめんなさい……。俺が逃げてばかりだったせいで……。」


ラニの意識に導かれて見つけたライオネル殿下の無意識は、とてもとても小さかった。
おそらくそれまでは大きすぎる海の王を伴っていた為に、自己を極限まで小さくしていたのだろう。
その反動で海神のいなくなったその場所は極端に小さくなっていた。
そこに自分を消してしまおうとする意志が重なり、こんな姿になってしまったのだろう。
あんなに通るのに苦労した他の人の無意識なんかとは違い、ライオネル殿下の無意識は手の中に収まるほど小さかった。

俺はそれに手を伸ばした。

ライオネル殿下の無意識は戸惑うようにゆっくり、俺の手に近づいてくれた。
それを意識して自分の前で抱えるように包む。

俺は最低だ。

この人をここまで追い込んでしまった。
無意識でさえこんな姿になるまで追い込んでしまったのだ。


「……殿下、ごめんなさい……。」


自分の幸せが誰かを不幸にする。
それは仕方のない事だ。

だが、それに真摯に向き合わなかった俺は、卑怯で最低だ。

どれだけこの人を傷つけ、追い詰めてしまったのか、この目で見て理解した。
この人自身たくさんのものを抱えて苦しんでいたのに、助けるどころか追い込んでしまった。

まかりなりにも、俺はこの人の騎士なのに……。

触れるか触れないかの状況。
ライオネル殿下の無意識から、俺の方に入り込んでくる事はなかった。
俺は包むようにそれを懐き、ただ涙することしかできなかった。

俺に泣く資格なんかないのに。

そんな事を思っていた。
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