欠片の軌跡⑥〜背徳の旅路

ねぎ(塩ダレ)

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第九章「海神編」

遠い国から来た神々の戯れ

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「……こりゃ不味いね。」

「ええ……仮想精神空間の為に我々もかなり魔力を使いましたからね……。」

「……あなたはどう?リゼット?」

森の街の面々が空間保護やら壁の強化やらを行う中、部屋の隅に香を焚いて回っていたリゼットは顔を上げた。
そして穏やかに微笑んだ。

「ええ、ええ。私は温存させて頂きましたからねぇ。大丈夫ですよ?ラヴィーニア様。」

「それは良かったわ。お願いできる?」

「もちろんですとも。」

老女はそう言うと杖で魔法陣を描いた。
そしてそこに占いをする様に石を撒いた。

「……ふふっ。さすがは東の国の精霊師様。面白い方の様ですね。」

「状況は?」

「さて?私は精霊師でもなければ占い師でもございませんので、そこまで正確には見えませんが……。悲観するほど絶望的でもなさそうですよ。」

「へぇ、僕はてっきり、崖っぷちかと思ったよ。」

「いえ、崖っぷちには変わりませんよ、リロイ様。ただ、持ち手のカードは悪くない。この状況でここまでのカードが揃っているなら幸運と言えましょう。」

「なるほどのぅ……。しかし……。」

そこまで言ってオービーが部屋の中心に目を向けた。
皆も同じ様にそちらに目を向ける。

そこには自分を見失い、皆のよく知るサークではなくなりかけたものと、それを防ごうとする彼の養父の姿があった。

「あの子とこういう形で向き合う事になろうとは……。」

「ええ……まったくです……。」

「避けられぬ道だったのじゃろ……。それにまだ希望はある……。」

「ええ、ええ……。ここまでカードが揃っているのは、何らかの意味があるのでしょう……。」

「それに僕らはまだいい。どうなろうとこの場で見届けられるから。」

「そうね、ブラハムは最悪の事態に備えて、王子についてるのだから気が気じゃないでしょうね。」

「あれもサークを可愛がっておったからのぉ。とにかくじゃんけんに勝って良かったわぃ。」

「ふふっ。皆様、相変わらずでございますね。この様な世界の危機とも言える状況で、その様なお戯れを……。」

くすくす笑ったリゼットに、他の三人は顔を見合わせて笑った。

「だって、仕方がないさ。」

「そう。私達がどう足掻いても、流れを止める事はできないのだから……。」

「それだったら最後まで楽しんだ者勝ちじゃからな。」

それに、と思う。
どんなにサークを可愛がっていたとしても、子を想う親の情には敵うまい。
その想いを抱えながらこの場で息子と向かい合う神仕えの心情に比べれば、自分達の気持ちなど取るに足らぬものだろう。

「……我らは我らのやるべき事をするまで。」

「そして見届ける。」

「そう、世界の流れの中で私達にできる事など、大したことではないのだから……。」














部屋に飛び込んだアレックは、とりあえず部屋を見渡し、状況を把握した。

「……何だよ……あれ……。」

チッと舌打ちする。
部屋の中央に、神仕えとおそらくサークがいる。
けれど見た目こそサークとさほど変わらないが、そこから吹き出している狂気は自分の知っているサークのものじゃない。

海神を取り込んだから?
そう言えば別人格がどうのって言っていた。
ならあれは「別人格」と言う奴か??

それは違うとアレックの本能が言っていた。

あれは別人格じゃない……。
多分あれは……。

アレックは首を振った。
自分の考えを振り払うように……。

他に部屋の中に残っているのは、魔術本部の魔術師たちと同じく魔術師で香を使う老女。
ファーガスを始めとした宮廷魔法医たちは王子についているのだろう。
そもそも魔法医として生きてきたなら、こう言った切羽詰まった戦闘状態ではまともに動く事はできない。
この待ったなしの状況で、魔法師として動けるのは自分だけだろう。
そう思った。

そして……。

「カレン?!」

「……アレック様……。」

アレックは部屋の壁に張り付くようにして、それでもなんとかこの場に踏みとどまっているカレンを見つけた。
家守りの精霊として存在がはっきりして間もないカレンには、この状況はそれなりにキツイはずだ。
顔色も悪く、まるで幽霊のようだ。
場の波動に当てられて、体も微妙に透けて見える時がある。

「何やってんだよ?!無理なら外に出ろって!!」

「でも……旦那様が……旦那様がっ!!」

今にも泣きそうな顔でカレンは言った。
この状況が怖くて堪らないけれど、サークを想う気持ち一つでこの場で踏ん張っているのだ。
アレックはふぅ……とため息をついた。

「……アンタの気持ちはわかったよ。だがな?何もする気がないなら、邪魔だ。出てけよ。皆、自分のやるべき事で精一杯なんだから。」

「でも……!!」

「だったら!早くやるべき事をやれよ!!」

「……え??」

「忘れたのかよ?!アンタは何でここにいる?!サークはアンタに何を託した?!」

「!!」

その言葉にカレンはハッとした。
そして部屋の中央を見つめる。

自己を見失ったサークからは、意味のわからない魔力が垂れ流しになっている。
それを見つめ、カレンはわなわなと震えた。

「……できません!!」

「はあ?!何言ってんだよ?!」

「だって!!旦那様の魔力を否定するなんて……っ!!私にはできません!!」

その言葉にイラッとしたアレックは、ダンッとカレンのもたれ掛かる壁に手をついた。
泣きそうなカレンがビクッと震える。

「あのな!!この状況でよくそんな馬鹿なことが言えるな?!」

「ですが!旦那様は旦那様なのです!!私がこうしてここにいるのは!旦那様のお陰なんです!!そんな旦那様を否定するなんて!私にはできません!!」

「……ふざけんな!!お前は何だ?!家守りの精霊じゃねぇのかよ?!」

「そうです!だから……!!」

「だったら家を守れよ!!」

「……え?!」

「サークは言っただろうが!!もしもの時はこの家を守ってくれって!!」

「それは海神様が暴走された場合の話であって……。」

「暴走してんだろうが!!海神じゃねぇけどよ?!サークが暴走してんだろうが!!」

「ですから……!!」

「家を守れよ!!家守り!!それがお前の仕事だろうが!!生まれた意味だろうが!!」

「!!」

「いいか?!もしもサークが正気に戻った時、この家がメチャクチャになってたらどう思うよ?!ラニやリアナが怪我をしてたらどう思うよ?!もしもアイツの仲間が負傷してたり!親父さんが傷ついてたらどう思うよ?!しかもそれが!!意識はなかったとしても!!自分がしでかした事だと知った時!!アイツがどう思うか考えろっ!!」

「!!!!」

アレックの言葉にカレンはショックを受けた。
確かにそうだ。
旦那様は優しい方だ。
その方が無意識に誰かを傷つけてしまったり、大切な家族に危害を加えてしまっていたり、奥様との夢が詰まったこの家をボロボロにしてしまっていたら、きっと物凄くご自分を責めるだろう。

どうしてその事に気付なかったのだろう……。

そう思った時、涙が溢れた。
それにアレックがぎょっとして慌てだした。

「え?!お、おい!!泣くなよ?!意地悪で言ってんじゃねぇんだよ?!ただ、やれねぇならここにいてもアレだから……。」

「わかっております。ありがとうございます。アレック様……。お陰で目が覚めました。」

カレンは涙を拭い、グッと顔を上げて部屋を見渡した。

アレックの言う通りだ。
家守りとしてこの家の旦那様を否定するなんてと思ったが、旦那様を……サークを思うならこそ、そうすべきなのだ。

覚悟は決まった。
カレンはグッと自分に気合を入れた。

苦しい時ほど姿勢を正し、冷静で穏やかな振る舞いをしなさいとメイド長に教えられた。

前を向け。
頑張れ私!!

そんなカレンの様子を見、アレックはほっと息を吐いた。
そして訪ねた。

「……やれそうか?!」

「やれそうかではなく、やります!!」

「はは。いいんじゃね?!」

「私はこの家の家守り!!この家と旦那様とそのご家族を守ります!!それが私の全てです!!」

「おう!何か俺に手伝う事があったら言ってくれな?!」

「いえ!もう大丈夫です!!ありがとうございます!!アレック様!!」

そう言うが早いか、フォン……と微かな音を立て、カレンの体が半透明になり光化した。
淡く輝くその存在は、実態を持たない精霊としてのカレンの姿の一つだった。
空間に軽く浮かび、風とは違った力で髪や服の裾を揺らす。
そして急激に強く精霊色を強めていった。

アレックはそれを見守った。
そして家守りの精霊が持つ特別な力。
その家の中でのみその家を守る為だけに使うある種の「魔力的治外法権」を用いるのを目の当たりにする事になった。












「サク!!」

「………………。」

「……サーク!!」

「………………。」

どちらの名にも反応がない。
名で縛る事は難しい。

神仕えの胸がギュッと痛みに震えた。

サク……忘れてしまったのかい?
私と過ごした日々を?
笑ったり泣いたりした日々を?
仲間と過ごした日々を?
皆に愛された日々を?

お前は忘れてしまったのかい?

違うと信じたかった。
今は混乱して見失っているだけだと。
そう信じたかった。

そしてもう一つの可能性。

しかしそちらを試す気にはならなかった。
息子が海神と混ざる事を防ぐ為に名付けをして生み出したもう一人の存在。
その名を呼ぶことはなかった。

それをすればその存在が固定される。
そうなれば存在を強める。

それは息子が自我を取り戻した後も、古傷の様にずっと残るものだから。
できる限りその存在を強めたくなかったのだ。

バンッと、簡易的に張った結界が破られた。
何度か「紙様」も使ってみたが、皆、しばらくすると強すぎる波動に焼かれてしまい灰になってしまう。

もう自分一人の手に負える状態ではない。

神仕えは腹を括った。
どんな手を使っても、たとえ息子を傷つける事になっても、彼を取り戻すのだと決めた。

フッと指先に息を吹きかけ、空に印を切る。

「……我が声耳に届く数多の神々よ。この声届くなら、我が呼び声に応じ……願いを叶え給え……。我が前にその力を示し給え……。」

そして懐から短刀を取り出して指先を切り、紙に血で印を描いた。
今の息子を押さえ込むには、並大抵の精霊では歯が立たないだろう。
しかし強い神を降ろすには目印と留まる為の依代がいる。
なのでそれを作ったのだ。
二枚書いたところで血が乾き、それをそのまま頭上に投げた。

ここは東の国ではない。

東の国には神々が普通にいる。
だが湖を渡ってしまえば、希にしかその姿を見る事はできない。
そしていたとしても人と関わろうとはしていないのが常だ。

果たしてどなたかにこの声が届くか否か……。

ここで神を降ろせなければ、息子を取り戻す事は難しいだろう。
だが気を強く持ち、願った。
強く強く願った。

バンッと、場が大きく振動した。
風もないのに突風が吹き降りたように場の空気が変わる。


『……遅いぞ!坊!!待ちくたびれたぞ?!』

『もっと早く呼べば良かろう……。儂らとて、呼ばれた訳でもなく手を貸す事は基本的には禁じられておるのだから……。』


そこに突如として実体を持つ精霊が現れた。
呼んだ神仕えもびっくりしたように固まった。


「え?!……ええ?!……ヤタ様?!ヤマクイ様?!どうしてこのような所に?!」


現れたのは大きな黒い鳥と巨大な亀だった。
それは東の国では教会の主神として祀られるような神々だ。

強い精霊の力を借りたいと強く願ってはいたが、東の国から離れたこの土地で、まさかそこまでの神が現れるとはさすがの神仕えも考えておらず、思わず呆けてしまった。

『訳などどうでも良かろう。其方が呼んだから来た。それに不服があると?!』

「いえ?!滅相もない?!」

『そうよ。あまり細かい事は気にするでない。第一、我らが来ねば困ったであろう?違うか?』

「は、はい……??その通りでございます……??」

神仕えは未だ状況が飲み込めず目を瞬かせる。
確かに自分が力を借りたいと願った。
けれど中央王国でまさか東の国で祀られている神々が出張して来てくれるとは考えていなかったのだ。

呆ける神使えをよそに、降り立ったヤタとヤマクイはじっと目の前のそれを見据えた。

『……全く。だから出さぬ方が良いと申し上げたのに……。』

『しかしそれは我らの王だけで決められる事ではない。全ては流れ。それにそれが必要だったのだ。そう我は聞いておるぞ?』

『だからと言えど、この様に己が何たるかもわからなくなるなど……。愚かしいにも程がある!!』

『まぁそう言うな……。その辺は我らが教えてやれば良い事だ……。』

『……まぁ、そうとも言う。』

何かにやりと笑うようにそう言われ、神仕えは少しおろおろする。

「あ、あの?!その?!」

『心配するでない。坊。少し教育してやろうというだけよ。』

「教育……ですか?!」

『そうよ。我らが直々に、な……。』

何とも……心強いと言うか……不穏というか……。
神仕えは少しばかり不安を覚えた。

『まぁ、任せておけ。』

『そうよ、悪い様にはせぬ。其方はゆっくり茶でも飲んでおれ。』

「……はぁ。」

そう間の抜けた返事をしながら、神仕えは何となくわかってきた。
どうしてこの神々が来てくれたかはわからない。
しかしサクに向き合うその感じは、仮想精神空間での海神によく似ていた。

これは……もしかして……??
サクはいい暇つぶし相手と見なされたのか??

どこかわきわきと楽しげな神々を、サークの養父はぽかんと眺めていたのだった。
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