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第五章「さすらい編」
大型新人
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俺はバンズを掴み、並んでいる肉やら野菜やらを乗せ、ソースをかけた。
上にもバンズを乗せてかぶりつく。
うん、旨い。
「……どうしたんですか?」
そんな俺を三人がじーと見つめている。
テストの結果は合格で、俺は見習いとして預かって貰える事になった。
とりあえず昼飯となったので四人でテーブルについたのだが様子がおかしい。
次の瞬間、トムさんとレダさんが同時に話し出した。
「サーク!あれは何だ!?どうやって俺を投げだ!?」
「ちょっと!あなた!どうやって魔術を使ってるの!?」
同時に聞かれ、俺はモゴモゴしながら少し考える。
お手製バーガーからソースが垂れたので指を舐めた。
「え~と。まずトムさんを投げたのは武術です。自分より大きくても投げれます。」
「どうやって!?」
「まず、トムさんは俺に向かっていてました。その力を利用します。それから、さっき言った体幹の問題です。トムさんは少し引っ張ったら体幹ががブレて不安定になったので、後は支点・力点・作用点のノリでひっくり返しました。」
「……ごめん、何いってっかわかんねぇ。」
「まぁ、体術なんて言葉で説明してもわからないですよ。やってみてなんぼですから。」
俺はまたバーガーをかじった。
旨い。
「次は私の質問に答えて?あなた、どうやって魔術を使ってるの!?杖は使ってないわよね?指輪みたいな他の媒体も無さそうだし!?後、身体強化してるのに、シールド使えたのは何!?」
「ああ、俺は杖なしで魔術を使います。この戦い方だと杖持ってると邪魔なんで。」
「杖なしってどういうこと!?」
「だからこう言うことです。ちなみによほど手の込んだ魔術じゃない限り同時に2つ使えます。」
俺はそう言って手を左右に伸ばし、それぞれ公式を解して、右に座っていたレダさんのグラスに氷を、左に座っていたトムさんの顔に風を送って見せる。
レダさんがビックリして立ち上がった。
「えええええぇっ!?何それ!?と言うか2つってどういうこと!?」
「……へぇ~。面白い事するねぇ?」
いつの間にかマダムが横にいて、俺の魔術をしげしげと見ていた。
俺は皿に置いておいたバーガーをまた掴んで食べ始めた。
マダムがちらりと俺を見た。
「そういや一時期、噂があったね?魔術を2つ使う奴の話。確か王子の命を守って平民から騎士になったとかいう。」
「あ、それ、俺です。」
俺はモゴモゴ食べながら答えた。
マダムとレダさんとトムさんがぎょっとした顔で俺を見る。
「……は?マジかい……。」
「ならお前!騎士なのか!?サーク?!」
「はい。でも騎士って言っても、称号をもらって持ってるだけのただの平民ですよ?俺。」
「ちょっと待って!?2つ!?しかも杖なしで!?」
「はい。公式使うだけなんで、ちょっと訓練すれば誰でもできますよ?」
皆がぽかんと俺を見ている。
俺は気にせずバーガーを齧った。
何が問題なのか不思議そうな顔で食事を続ける俺を見、マダムが大きくため息をついた。
「は~。2つ魔術を使う、王子を守って平民から騎士になった男があんただとは……。サーク、あんた情報量多すぎ。」
「そうですか?」
「こりゃ、とんでもない大型新人が入ったもんだ。」
やれやれと肩をすくめるマダム。
そんな大層な事でもないんだけどな??
俺は柑橘類のソーダ水を口にした。
これもさっぱりしてて美味しい。
トムさんはビールを半分ほど飲み干してひと息つくと、俺の顔を覗き込んだ。
「でもよ?それでも一応騎士なら仕事はどうしたよ?どっか務めてるんだろ?何で冒険者なんかやってんだ?」
その言葉に俺は言い淀んだ。
まだ瘡蓋にならない傷を撫でられたような気がした。
「……今、人を探すために休職中です。」
気を取り直そうと二つ目のバーガーを作っていく。
しかし齧り付いてはみたが、1つ目のバーガーよりどうしてだが味がしなかった。
それを機械的に飲み込んでいく。
そんな俺をちらりとマダムが見ていた。
「ちょっと!ヒース!さっきから黙ってないで、何か言いなさいよっ!?」
落ち着いてきたと思ったところで、興奮冷めやらぬという感じでレダさんがずっと黙っているヒースさんに話をふった。
俺はバーガーをかじって、ヒースさんを見る。
相変わらず何か考えているようないないような顔。
本当、何考えてるのかわかんない人だな?ヒースさん……。
そんなヒースさんはじっと俺を見ながら、ポツリと一言言った。
「リスみたいだ……。」
場に沈黙が落ちる。
………………。
全員が言葉の意味がわからず思考停止する。
は?リス??
え?!俺の事!?
頬張ってるからか!?
て言うか、何の話をしてんだ!?
この人!?
そのズレきった言葉に俺は固まる。
ヒースさんから、どこかで嗅いだことのあるヤバい臭いを微かに感じていた。
「レダ、俺は頭がおかしいのだろうか?」
「おかしいんじゃない?」
「サークが可愛いと思う。あれはリスだ。可愛いリスがいるんだ。」
「あんな大きくてガタイのいいリスがいたら怖いわよ!カンガルーは言い過ぎだけど!どう可愛いく見積もっても!ワラビーが関の山よ!!」
「ワラビーか……それも可愛いな?」
「……なるほど。あんたが重症なのはわかったわ……。」
俺がトムさんと銭湯に行って汗を流して戻ると、ヒースさんとレダさんが不毛な会話をしていた。
俺は見習いと言うことで、その日からヒースさんのパーティーと一緒に泊まる事になったのだ。
それにしても……。
この人、まだリスにこだわってるのか!?
俺は少し引いた。
よくわからないが牽制しておいた方が良さそうだ。
俺はヒースさんの前に立ち、完全に無表情になる。
「なんスか?ヒースさん?俺にちんこでも突っ込みたいんスか?」
思わず下世話な話を振ってみると、ヒースさんは真っ赤になった。
そしてアワアワと動揺する。
「なっなっなっ!?なんて事を言うんだ!?俺はそんな事は……っ!?駄目だ!可愛いリスちゃんがそんなこと……っ!!」
ヒースさんはまるっきり免疫が無い人のように慌てふためくと、何か訳のわからないことを言って部屋を飛び出して行った。
何となく思っていた反応と違った。
エロに免疫ないのは、ガスパーみたいだなと思った。
と言うか俺はリスじゃないし。
いい加減リスから離れて欲しい……。
「サーク……。」
ヒースさんへの牽制が終わると、ゆらり、と影が揺れた。
ただならぬ雰囲気に振り返ると、レダさんが俯いてブツブツ言っていた。
ヤバい……。
女性がいたのに、いつものノリでうっかり下ネタ言っちゃたよ……。
「レダさん!ごめんなさい!!ちょっと男ばかりの環境に俺!慣れすぎてて!!」
次の瞬間、レダさんがガシッと俺の手を掴んだ。
こ、怖い……。
逃さんとばかりに顔を寄せるレダさんの目が爛々としている。
「詳しく!!」
「……は?」
「男ばかりの環境についてもっと詳しく!!サークは突っ込まれた事はあるの!?」
……………。
やべぇ、レダさんからも、やはり嗅いだことのあるヤバい臭いがする……。
俺は少し泣きたくなった。
レダさん……こんな美人なのに……。
そしてそんなヤバい匂いしかしないふたりを見ていても、特に気にする様子もなくマイソードをにこにこ磨いているマイペースなトムさん……。
冒険者って癖が凄いんだな……。
それまでにないカオスな雰囲気に、俺は今夜はあの夢を見なくて済みそうだと思った。
上にもバンズを乗せてかぶりつく。
うん、旨い。
「……どうしたんですか?」
そんな俺を三人がじーと見つめている。
テストの結果は合格で、俺は見習いとして預かって貰える事になった。
とりあえず昼飯となったので四人でテーブルについたのだが様子がおかしい。
次の瞬間、トムさんとレダさんが同時に話し出した。
「サーク!あれは何だ!?どうやって俺を投げだ!?」
「ちょっと!あなた!どうやって魔術を使ってるの!?」
同時に聞かれ、俺はモゴモゴしながら少し考える。
お手製バーガーからソースが垂れたので指を舐めた。
「え~と。まずトムさんを投げたのは武術です。自分より大きくても投げれます。」
「どうやって!?」
「まず、トムさんは俺に向かっていてました。その力を利用します。それから、さっき言った体幹の問題です。トムさんは少し引っ張ったら体幹ががブレて不安定になったので、後は支点・力点・作用点のノリでひっくり返しました。」
「……ごめん、何いってっかわかんねぇ。」
「まぁ、体術なんて言葉で説明してもわからないですよ。やってみてなんぼですから。」
俺はまたバーガーをかじった。
旨い。
「次は私の質問に答えて?あなた、どうやって魔術を使ってるの!?杖は使ってないわよね?指輪みたいな他の媒体も無さそうだし!?後、身体強化してるのに、シールド使えたのは何!?」
「ああ、俺は杖なしで魔術を使います。この戦い方だと杖持ってると邪魔なんで。」
「杖なしってどういうこと!?」
「だからこう言うことです。ちなみによほど手の込んだ魔術じゃない限り同時に2つ使えます。」
俺はそう言って手を左右に伸ばし、それぞれ公式を解して、右に座っていたレダさんのグラスに氷を、左に座っていたトムさんの顔に風を送って見せる。
レダさんがビックリして立ち上がった。
「えええええぇっ!?何それ!?と言うか2つってどういうこと!?」
「……へぇ~。面白い事するねぇ?」
いつの間にかマダムが横にいて、俺の魔術をしげしげと見ていた。
俺は皿に置いておいたバーガーをまた掴んで食べ始めた。
マダムがちらりと俺を見た。
「そういや一時期、噂があったね?魔術を2つ使う奴の話。確か王子の命を守って平民から騎士になったとかいう。」
「あ、それ、俺です。」
俺はモゴモゴ食べながら答えた。
マダムとレダさんとトムさんがぎょっとした顔で俺を見る。
「……は?マジかい……。」
「ならお前!騎士なのか!?サーク?!」
「はい。でも騎士って言っても、称号をもらって持ってるだけのただの平民ですよ?俺。」
「ちょっと待って!?2つ!?しかも杖なしで!?」
「はい。公式使うだけなんで、ちょっと訓練すれば誰でもできますよ?」
皆がぽかんと俺を見ている。
俺は気にせずバーガーを齧った。
何が問題なのか不思議そうな顔で食事を続ける俺を見、マダムが大きくため息をついた。
「は~。2つ魔術を使う、王子を守って平民から騎士になった男があんただとは……。サーク、あんた情報量多すぎ。」
「そうですか?」
「こりゃ、とんでもない大型新人が入ったもんだ。」
やれやれと肩をすくめるマダム。
そんな大層な事でもないんだけどな??
俺は柑橘類のソーダ水を口にした。
これもさっぱりしてて美味しい。
トムさんはビールを半分ほど飲み干してひと息つくと、俺の顔を覗き込んだ。
「でもよ?それでも一応騎士なら仕事はどうしたよ?どっか務めてるんだろ?何で冒険者なんかやってんだ?」
その言葉に俺は言い淀んだ。
まだ瘡蓋にならない傷を撫でられたような気がした。
「……今、人を探すために休職中です。」
気を取り直そうと二つ目のバーガーを作っていく。
しかし齧り付いてはみたが、1つ目のバーガーよりどうしてだが味がしなかった。
それを機械的に飲み込んでいく。
そんな俺をちらりとマダムが見ていた。
「ちょっと!ヒース!さっきから黙ってないで、何か言いなさいよっ!?」
落ち着いてきたと思ったところで、興奮冷めやらぬという感じでレダさんがずっと黙っているヒースさんに話をふった。
俺はバーガーをかじって、ヒースさんを見る。
相変わらず何か考えているようないないような顔。
本当、何考えてるのかわかんない人だな?ヒースさん……。
そんなヒースさんはじっと俺を見ながら、ポツリと一言言った。
「リスみたいだ……。」
場に沈黙が落ちる。
………………。
全員が言葉の意味がわからず思考停止する。
は?リス??
え?!俺の事!?
頬張ってるからか!?
て言うか、何の話をしてんだ!?
この人!?
そのズレきった言葉に俺は固まる。
ヒースさんから、どこかで嗅いだことのあるヤバい臭いを微かに感じていた。
「レダ、俺は頭がおかしいのだろうか?」
「おかしいんじゃない?」
「サークが可愛いと思う。あれはリスだ。可愛いリスがいるんだ。」
「あんな大きくてガタイのいいリスがいたら怖いわよ!カンガルーは言い過ぎだけど!どう可愛いく見積もっても!ワラビーが関の山よ!!」
「ワラビーか……それも可愛いな?」
「……なるほど。あんたが重症なのはわかったわ……。」
俺がトムさんと銭湯に行って汗を流して戻ると、ヒースさんとレダさんが不毛な会話をしていた。
俺は見習いと言うことで、その日からヒースさんのパーティーと一緒に泊まる事になったのだ。
それにしても……。
この人、まだリスにこだわってるのか!?
俺は少し引いた。
よくわからないが牽制しておいた方が良さそうだ。
俺はヒースさんの前に立ち、完全に無表情になる。
「なんスか?ヒースさん?俺にちんこでも突っ込みたいんスか?」
思わず下世話な話を振ってみると、ヒースさんは真っ赤になった。
そしてアワアワと動揺する。
「なっなっなっ!?なんて事を言うんだ!?俺はそんな事は……っ!?駄目だ!可愛いリスちゃんがそんなこと……っ!!」
ヒースさんはまるっきり免疫が無い人のように慌てふためくと、何か訳のわからないことを言って部屋を飛び出して行った。
何となく思っていた反応と違った。
エロに免疫ないのは、ガスパーみたいだなと思った。
と言うか俺はリスじゃないし。
いい加減リスから離れて欲しい……。
「サーク……。」
ヒースさんへの牽制が終わると、ゆらり、と影が揺れた。
ただならぬ雰囲気に振り返ると、レダさんが俯いてブツブツ言っていた。
ヤバい……。
女性がいたのに、いつものノリでうっかり下ネタ言っちゃたよ……。
「レダさん!ごめんなさい!!ちょっと男ばかりの環境に俺!慣れすぎてて!!」
次の瞬間、レダさんがガシッと俺の手を掴んだ。
こ、怖い……。
逃さんとばかりに顔を寄せるレダさんの目が爛々としている。
「詳しく!!」
「……は?」
「男ばかりの環境についてもっと詳しく!!サークは突っ込まれた事はあるの!?」
……………。
やべぇ、レダさんからも、やはり嗅いだことのあるヤバい臭いがする……。
俺は少し泣きたくなった。
レダさん……こんな美人なのに……。
そしてそんなヤバい匂いしかしないふたりを見ていても、特に気にする様子もなくマイソードをにこにこ磨いているマイペースなトムさん……。
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