53 / 77
第六章「副隊長編」
雲雀
しおりを挟む
定時であがって別宮の正門に行くと、ロイさんが待っていた。
俺の顔を見て不思議そうに首を傾ける。
「お待たせしました。」
「サーク、顔がむくんでいるね?この数時間の間に何があったんだい?」
「……あ~。実は昼食の時に少し飲んだんで、多分そのせいです。」
「ふ~ん?」
ロイさんは意味深に笑って杖を出した。
そして俺の鼻先をコツンと叩く。
「君は巡りが強いから、どうしてもあちこち複雑になってきてしまうのは致し方ないところなんだろうね。」
「そうですかね?普通じゃないですか?」
どういう意味だろうと思いながら、叩かれた鼻を撫でる。
多分、むくみをとってくれたのだろう。
「ロイさんはどこに行っていたんですか?」
「買い物だよ。」
「買い物?」
「皆が、あれを買ってきてくれ、これを買ってきてくれと言うものだからね。あまりに多くて、一度鍵を使ったよ。」
ロイさんはおかしそうに笑った。
ああ、森の町の皆、何気に出不精だからな。
嬉々としてロイさんに頼んでいる様子が目に浮かぶ。
少し笑ってしまった。
「さて、それでは君のお姫様に会わせてくれるかい?サーク?」
「もちろんです。美人なんで、気絶しないで下さいね?」
「それは楽しみだ。」
そんなふざけた事を話ながら、俺はウィルのいる町の家にロイさんと向かった。
「これは……驚いた……。」
家について、ロイさんが来たことをウィルに伝えてあがってもらうと、ロイさんが一目ウィルを見るなり呟いた。
「そんなに珍しいんですか?俺の目は?」
「そうだね。ああ、失礼。私は魔術本部で資料管理をしているリロイです。ロイと呼んで下さい。」
「初めまして、ロイさん。ウィリアムです。ウィルと呼んで下さい。」
握手を交わし、軽くハグする。
ふたりともフルネームは名乗らないんだな、とちょっと面白かった。
確かにロイさんは俺と初めて会った時も、リロイとしか名乗らなかった。
だからフルネームは今日、初めて知った感じだ。
ウィルの方は、一応、家が没落した形になっているのでフルネームは変わらないのだが、本人はあれは偽名だからとウィリアムのみで通している。
このまま結婚できたら、ウィルはアズマを名乗るのかな、なんて事を考えていた。
とりあえず、ロイさんとウィルにテーブルセットに座ってもらった。
椅子は二脚しかないので、俺はベッドに座ればいいと思いながら、お湯を沸かした。
見慣れない紅茶の缶が置いてあって、少しドキッとする。
何か自分の家に恋人の好みのものが並び始めるって、何かちょっといいなと思った。
何か同棲してるって感じでドキドキするよな~と缶を手にする。
「ウィル、この紅茶、使っていいの?」
「いいよ?」
そしてこの何気ない会話がもう、何か感動的……。
俺は幸せを噛み締めた。
ロイはクスッと笑ってふたりを見ていた。
なんだかこっちが照れてしまうような感じだ。
それに気づいたウィルは、少し顔を赤らめた。
「何か、すみません……。」
「いやいや、こちらこそ突然、押し掛けて申し訳なかったね?」
「いえ……。」
「ところで、今までその目の事で、何か言われた事はなかったのかい?」
「はい。生まれた時やたら深い青の夜の宝石が産まれたと騒がれたらしいですけど、それだけです。夜の宝石は魔力があっても魔法も魔術もほぼ使えないから、普通の子供として扱われていましたよ?呪いが起こることなんて、ほとんどありませんから。」
「なら、夜の宝石が回復魔法の根源だと言うのも知らなかったのかい?」
「はい、サークに言われてびっくりしました。そんな話は谷にはありませんでしたから。ただ言われてみれば、うちの血筋は回復係のものや夜の宝石がよく出るって言われてました。でも全員がそうだった訳ではないので、何とも言えないのですが。」
「なるほどね……。」
ロイは少し考えるように間を置いた。
ウィルもじっとロイを見つめて考えていた。
「砂糖、使う人いる?」
サークがそこに声をかける。
「私は大丈夫だよ、サーク。」
「俺も使わない。それよりサークの天使達のクッキー残ってるだろ?保存缶に。」
「あ~あるある。今出すよ。」
自然とそんなやり取りをするサーク達に、ロイは微笑んだ。
「すでにご夫婦のようだね、ウィル。」
「え、あ……はい……その、一応、婚約しています……。」
「うん、聞いてる。おめでとう。」
「ありがとうございます……。」
「何の話?」
「婚約おめでとうって話だよ、サーク。」
「ありがとうございます。」
ちょうど紅茶を入れて持ってきたサークが話に加わったが、ウィルはサークの顔を見ることができなかった。
初々しいその様子に、ロイはにっこり微笑む。
「良ければその婚約指輪を見せてくれないかい?昼間に一度見たんだが、ゆっくり見せてもらえなくてね?」
少しおどけて言うと、ウィルはサークに目を向けた。
それにサークが優しく笑う。
「いいよ。出して。」
「わかった。ヴィオール、小さな姿で出ておいで?」
その言葉にウィルの胸の辺りから光の粒が出てきて、小さな竜の姿になった。
ヴィオールはテーブルに乗って、クッキーの匂いを嗅いでいる。
ウィルがクッキーを割って少し与えた。
その食べる姿をにこやかにロイは見守った。
「本当に精霊にして守護としてつけたんだね、サーク。」
「だって、元々、ウィルの竜だったんですよ?」
「別に俺の竜じゃないよ。」
「でもヴィオールはウィルに会いたがってた。だからウィルの竜でいいの。もう精霊なんだし。」
「うん。ありがとう。」
ヴィオールはウィルの首に巻き付いて、頭をウィルの顔に擦りつけていた。
「可愛いね。」
「触ってみますか?」
「触れるのかい?私でも?」
精霊は一種のエネルギー体だ。
だから普通は触る事が出来ない。
ある程度能力の高いものは、主とそれに準ずるものとは触れあう事ができる。
だが無関係な人間が触るには、実体化出来るほどの強い精霊でなければならない。
「ヴィオールは実体化できます。だから触れますよ、ロイさん。」
「実体化出来るとは……さすがは竜の精霊だね。」
サークは何でもない事のように言ったが、それはこの精霊が神格化に近い強さを持っている事を意味する。
竜ほどの魂を精霊にしたのなら確かに強いものになるだろうが、精霊化した魔術師の魔力と能力、そして互いの相性も高くなければ、神格化出来るほどの精霊にはならないだろう。
ロイはそれに気づいたが何も言わなかった。
ウィルはヴィオールを手に乗せると、ロイの方に近づける。
ロイは驚かさないように下から手を近づけ、ヴィオールに匂いを嗅がせた。
その手をヴィオールが舐めると、笑って顎を撫でてやった。
「竜に会えるとは思わなかったよ……。」
ロイは感慨深げに呟いた。
その目はどこか遠くを見ているようだった。
ウィルは少し悩んだ後、口を開いた。
「あの……ロイさん……。アルエットと言う名の女性を知っていますか?」
ウィルがそう尋ねると、ロイははっとしたように顔を上げた。
目が大きく見開かれ、息をするのも忘れているようだった。
「知っています……彼女は今……?」
「やっぱりそうですか……。聞いていた印象に似ていたので……そうかなと思って……。アルエットは今は谷に住んでいます。俺に外界調査の手解きをしてくれた人です。アルエットはいつも言っていました。外で人を愛してはいけない、とても悲しい別れをしなければならなくなるからと……。でも俺はサークに出会ってしまいましたけど。……彼女には息子さんが1人います。結婚はされてません。父親は谷の人ではないそうです。……そう聞いています。」
ロイはじっとその話を聞いていた。
ウィルを見つめていた目から雫が落ちる。
そして両手で顔を覆い、俯いた。
「ああ……ああ……そうなんですね……っ。」
サークもウィルも何も言わなかった。
ただサークはウィルの傍に来て、その肩に手を乗せた。
その手にウィルは手を重ねる。
ヴィオールだけが不思議そうに首を傾げ、クッキーをかじっていた。
俺の顔を見て不思議そうに首を傾ける。
「お待たせしました。」
「サーク、顔がむくんでいるね?この数時間の間に何があったんだい?」
「……あ~。実は昼食の時に少し飲んだんで、多分そのせいです。」
「ふ~ん?」
ロイさんは意味深に笑って杖を出した。
そして俺の鼻先をコツンと叩く。
「君は巡りが強いから、どうしてもあちこち複雑になってきてしまうのは致し方ないところなんだろうね。」
「そうですかね?普通じゃないですか?」
どういう意味だろうと思いながら、叩かれた鼻を撫でる。
多分、むくみをとってくれたのだろう。
「ロイさんはどこに行っていたんですか?」
「買い物だよ。」
「買い物?」
「皆が、あれを買ってきてくれ、これを買ってきてくれと言うものだからね。あまりに多くて、一度鍵を使ったよ。」
ロイさんはおかしそうに笑った。
ああ、森の町の皆、何気に出不精だからな。
嬉々としてロイさんに頼んでいる様子が目に浮かぶ。
少し笑ってしまった。
「さて、それでは君のお姫様に会わせてくれるかい?サーク?」
「もちろんです。美人なんで、気絶しないで下さいね?」
「それは楽しみだ。」
そんなふざけた事を話ながら、俺はウィルのいる町の家にロイさんと向かった。
「これは……驚いた……。」
家について、ロイさんが来たことをウィルに伝えてあがってもらうと、ロイさんが一目ウィルを見るなり呟いた。
「そんなに珍しいんですか?俺の目は?」
「そうだね。ああ、失礼。私は魔術本部で資料管理をしているリロイです。ロイと呼んで下さい。」
「初めまして、ロイさん。ウィリアムです。ウィルと呼んで下さい。」
握手を交わし、軽くハグする。
ふたりともフルネームは名乗らないんだな、とちょっと面白かった。
確かにロイさんは俺と初めて会った時も、リロイとしか名乗らなかった。
だからフルネームは今日、初めて知った感じだ。
ウィルの方は、一応、家が没落した形になっているのでフルネームは変わらないのだが、本人はあれは偽名だからとウィリアムのみで通している。
このまま結婚できたら、ウィルはアズマを名乗るのかな、なんて事を考えていた。
とりあえず、ロイさんとウィルにテーブルセットに座ってもらった。
椅子は二脚しかないので、俺はベッドに座ればいいと思いながら、お湯を沸かした。
見慣れない紅茶の缶が置いてあって、少しドキッとする。
何か自分の家に恋人の好みのものが並び始めるって、何かちょっといいなと思った。
何か同棲してるって感じでドキドキするよな~と缶を手にする。
「ウィル、この紅茶、使っていいの?」
「いいよ?」
そしてこの何気ない会話がもう、何か感動的……。
俺は幸せを噛み締めた。
ロイはクスッと笑ってふたりを見ていた。
なんだかこっちが照れてしまうような感じだ。
それに気づいたウィルは、少し顔を赤らめた。
「何か、すみません……。」
「いやいや、こちらこそ突然、押し掛けて申し訳なかったね?」
「いえ……。」
「ところで、今までその目の事で、何か言われた事はなかったのかい?」
「はい。生まれた時やたら深い青の夜の宝石が産まれたと騒がれたらしいですけど、それだけです。夜の宝石は魔力があっても魔法も魔術もほぼ使えないから、普通の子供として扱われていましたよ?呪いが起こることなんて、ほとんどありませんから。」
「なら、夜の宝石が回復魔法の根源だと言うのも知らなかったのかい?」
「はい、サークに言われてびっくりしました。そんな話は谷にはありませんでしたから。ただ言われてみれば、うちの血筋は回復係のものや夜の宝石がよく出るって言われてました。でも全員がそうだった訳ではないので、何とも言えないのですが。」
「なるほどね……。」
ロイは少し考えるように間を置いた。
ウィルもじっとロイを見つめて考えていた。
「砂糖、使う人いる?」
サークがそこに声をかける。
「私は大丈夫だよ、サーク。」
「俺も使わない。それよりサークの天使達のクッキー残ってるだろ?保存缶に。」
「あ~あるある。今出すよ。」
自然とそんなやり取りをするサーク達に、ロイは微笑んだ。
「すでにご夫婦のようだね、ウィル。」
「え、あ……はい……その、一応、婚約しています……。」
「うん、聞いてる。おめでとう。」
「ありがとうございます……。」
「何の話?」
「婚約おめでとうって話だよ、サーク。」
「ありがとうございます。」
ちょうど紅茶を入れて持ってきたサークが話に加わったが、ウィルはサークの顔を見ることができなかった。
初々しいその様子に、ロイはにっこり微笑む。
「良ければその婚約指輪を見せてくれないかい?昼間に一度見たんだが、ゆっくり見せてもらえなくてね?」
少しおどけて言うと、ウィルはサークに目を向けた。
それにサークが優しく笑う。
「いいよ。出して。」
「わかった。ヴィオール、小さな姿で出ておいで?」
その言葉にウィルの胸の辺りから光の粒が出てきて、小さな竜の姿になった。
ヴィオールはテーブルに乗って、クッキーの匂いを嗅いでいる。
ウィルがクッキーを割って少し与えた。
その食べる姿をにこやかにロイは見守った。
「本当に精霊にして守護としてつけたんだね、サーク。」
「だって、元々、ウィルの竜だったんですよ?」
「別に俺の竜じゃないよ。」
「でもヴィオールはウィルに会いたがってた。だからウィルの竜でいいの。もう精霊なんだし。」
「うん。ありがとう。」
ヴィオールはウィルの首に巻き付いて、頭をウィルの顔に擦りつけていた。
「可愛いね。」
「触ってみますか?」
「触れるのかい?私でも?」
精霊は一種のエネルギー体だ。
だから普通は触る事が出来ない。
ある程度能力の高いものは、主とそれに準ずるものとは触れあう事ができる。
だが無関係な人間が触るには、実体化出来るほどの強い精霊でなければならない。
「ヴィオールは実体化できます。だから触れますよ、ロイさん。」
「実体化出来るとは……さすがは竜の精霊だね。」
サークは何でもない事のように言ったが、それはこの精霊が神格化に近い強さを持っている事を意味する。
竜ほどの魂を精霊にしたのなら確かに強いものになるだろうが、精霊化した魔術師の魔力と能力、そして互いの相性も高くなければ、神格化出来るほどの精霊にはならないだろう。
ロイはそれに気づいたが何も言わなかった。
ウィルはヴィオールを手に乗せると、ロイの方に近づける。
ロイは驚かさないように下から手を近づけ、ヴィオールに匂いを嗅がせた。
その手をヴィオールが舐めると、笑って顎を撫でてやった。
「竜に会えるとは思わなかったよ……。」
ロイは感慨深げに呟いた。
その目はどこか遠くを見ているようだった。
ウィルは少し悩んだ後、口を開いた。
「あの……ロイさん……。アルエットと言う名の女性を知っていますか?」
ウィルがそう尋ねると、ロイははっとしたように顔を上げた。
目が大きく見開かれ、息をするのも忘れているようだった。
「知っています……彼女は今……?」
「やっぱりそうですか……。聞いていた印象に似ていたので……そうかなと思って……。アルエットは今は谷に住んでいます。俺に外界調査の手解きをしてくれた人です。アルエットはいつも言っていました。外で人を愛してはいけない、とても悲しい別れをしなければならなくなるからと……。でも俺はサークに出会ってしまいましたけど。……彼女には息子さんが1人います。結婚はされてません。父親は谷の人ではないそうです。……そう聞いています。」
ロイはじっとその話を聞いていた。
ウィルを見つめていた目から雫が落ちる。
そして両手で顔を覆い、俯いた。
「ああ……ああ……そうなんですね……っ。」
サークもウィルも何も言わなかった。
ただサークはウィルの傍に来て、その肩に手を乗せた。
その手にウィルは手を重ねる。
ヴィオールだけが不思議そうに首を傾げ、クッキーをかじっていた。
20
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる